45. S 、ダンジョンへ
詳しい話を聞くことになり、村長の家に入る。
洞窟の周りや中に生息する魔物や、珍しい薬草の話。それと、洞窟の場所と形状。話を聞く限り、倒すことはそう難しい魔物では無さそうだ。オヤジ殿に手紙を書き、急ぎで兵士を何人か送ってもらえば……
「任せて下さい! 私がちゃんと倒して来ます!!」
ええー?この子返事しちゃったよ……。
「ありがとうございます! 勇者マリア様!」
「いえ、これも勇者の務めですから。」
承諾してしまったなら2人で行くしかないか。
支度をして宿の食堂で腹ごしらえをしてから出発する。
「早く退治してイチカ様を探さなきゃ! ですからね。頑張ります!!」
イチカの事を覚えてくれていて何より。マリア嬢が言うとおり、さっさと片付けて、早く合流しなければ。
食べ終わると早速洞窟に向かう。夜にも関わらず、我々が洞窟に向かうことを聞いた村人達が次々に話しかけてはよろしく頼むと頭を下げていく。マリア嬢は一人一人に声をかけ、村長にも笑顔で行ってきます。と挨拶をしていた。
道中はやはり魔物が道を塞ぎこちらを見つめている。どうせ襲ってはこないので馬が通れる幅の魔物だけ魔法の風で吹き飛ばすだけにしたようだ。我々が通った跡には魔物が山になっていた。
案外近くにお目当ての洞窟があり、目につく珍しい薬草を収穫する。マリア嬢がズンズンと洞窟の奥に入っていってしまうので急いで追う。漁師町で育ったからか、私より体力はあるようだ。
魔物は街道や森の中程多くはなく、すんなり住み着いたというウインドウルフの元までたどり着いた。
マリア嬢は剣を構え、向かってくるウルフへ一閃したと思うと、胴体が真っ二つになっていた。依頼達成である。もしかしたら素材が何かの役にたつかもと持って帰った方が良いかも。と言えば、マリア嬢の腰袋にそのまま吸い込まれた。
洞窟から出ると、何故か私の相馬ヤックとだーくが魔物に囲まれていた。だーくは平気そうだが、ヤックは怯えていた。急いで魔物を蹴散らしヤックをなだめる。
長居は無用だと村に向かって戻ろうとするも、魔物は森から沸いて出てくる。街道は道なりに進むだけなので馬の幅だけ退かせばいいのだが、森の中は村人が作ったであろう獣道を探しながら進むため、魔物で道を隠されると進む方向を見失ってしまう。
仕方がないので、街道に出るまでは徒歩でマリア嬢が先導し、私が2頭の馬の手綱を握り後を付いていく。来たときの倍の時間をかけて街道まで出ると、馬に乗り、来たときと同様、通った跡に魔物の山を作りながら進んだ。
村に着いたのは今日も夕方だった。村長に依頼の達成報告をすると、驚きの話をされた。
北の国の王家からイチカを追うために軍が出されたそうなのだ。しかも、報償金付で……
そんな事態を防ぐために、オヤジ殿と一芝居うってマリア嬢と二人で追って役を引き受けたと言うのに……何があったのだろう。
「何処の軍か聞いたか?」
「と、おっしゃいますと?」
「誰が管轄している軍だったのだ?」
「申し訳ございません、そこいらは全く疎いので……」
軍は国が管理する軍と、陛下や王太子、親王など各々が管轄する軍がある。
「話をしに来た兵士に葉のマークがあっただろう? その葉の数を覚えていないか??」
「あぁ、確か、肩に2枚と4枚の葉が付いた絵がそれぞれ書かれておりました。」
第2と第4王太子の軍か。女好きと研究者……どうあってもイチカを捕らえたい二人か、組み合わせ的には最悪だな。
「わかった。ありがとう。我々はすぐにでも出立して軍を追う。」
「お待ち下さい!! お二方共に今お帰りになられたばかり。こちらの都合で洞窟の魔物まで退治して頂いたのです。ささやかながら宴の用意もしております。どうぞ、もう一晩こちらにお泊まり下さい。」
申し出はありがたいが、軍が動いた以上急いでイチカを探さなければ!
「ぅわぁ! ありがとうございます! 宴、村を出て以来なんで楽しみです!」
…………マリア嬢。もう少し神託を重要視して頂きたい……。
読んで頂きありがとうございました。




