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37. F の心配

イチカを屋敷から連れ出す事を三人で決め、俺は馬車の手配、リベルはイチカの誘導、そしてセスが後処理を担当することになった。今は使われていない裏口に幌馬車を用意し、日が暮れてから屋敷の外で待機していた。


魔物と魔人の襲撃という予定外の事態もあったが、イチカとリベルは無事に屋敷を出て、今は馬車の中でスヤスヤと寝ている。俺は起こさないように少しゆっくり馬車を走らせた。


◇◇◇◇


周りがうっすらと見えるようになった頃、リベルが御者を代わってくれた。


少しでも休むように言われたが、すぐ横にイチカが小さくなって寝ている。寝られるわけがない……が、休まねばと体を横たえた。


………リベルがイチカを起こす声で俺も意識が覚醒する。何だかんだと言いながらもよく寝られたようだ。寝起きに想定外の事が起きてかなり焦ったが、まあ、悪いことでは無かったのでよしとしよう。


その後、国境近くの村で朝食をとり、街道から外れて森に入った。馬車を外し馬に荷を移す。ここから馬で移動の予定だったのだが、驚いたことにイチカは馬に乗れないらしい。


仕方がないので置いていく予定だった荷も馬に乗せて東に向かい歩きだす。


始めは楽しそうに話していたイチカだったが、暫くすると口数が少なくなり、肩で息をしながら歩いていた。しかし、弱音は一切吐かず、馬に乗るように言っても一人だけ申し訳ないと、我々に付いて歩き続けて来た。……のだが、先程からイチカの呼吸音が少しおかしい気がする。リベルも気づいたようで休憩を提案した。


イチカはホッとした顔をして承諾し、敷物を敷くと同時に、ハァー……とため息をつきながら一番に腰を下ろす。


朝、立ち寄った村でサンドウィッチを作って貰っておいたのだが、食欲がないらしく殆ど手を付けなかった。もう一度馬に乗るように言うもやはり断られた。


道の状態によっては、俺と2人で馬に乗り、もう一頭を牽きながら行けるかも知れないと、リベルと2人で少し先まで見に行くことを提案し、イチカには休憩しているように言う。


暫く進んだが、やはり、木の根がむき出しになっている場所やぬかるんだ様なところが多々あるので、2人で乗るのも難しいかもしれない。という結論に達した。イチカにはもう少し頑張って貰わなければいけないだろう。



◇◇◇◇



先程の場所まで戻って来ると、優雅に寝そべりながらサンドウィッチを食べるデカイ虎と、プルプルと震えながら小さくなって、肩にハムスターを乗せたイチカが居た。


先程リベルが連絡したトラット領のアモイが案内としてマレーを寄越してくれたらしい。それは分かるが、何故、バリーまで居るのか……?


話を聞けば、(おおやけ)ではないが、アモイもバリーも我々に協力してくれるらしい。ありがたい。が、バリーは何故イチカの肩に乗っているのか? あまつさえ、髪の中を通って反対の肩に移って遊んでみたり、腕から膝へ、膝から腹、胸を通ってまた肩に戻る遊びを繰り返すことにイライラしてしまう。


イチカもイチカだ、中身はバリーだと教えたのだから、少しは警戒というものをした方がいい。全く、心配過ぎて目が離せない。


まあ、中身は気に入らないが、ハムスターだかは可愛らしく気に入ったのか笑顔が増えた。体調も良くなってきたようなので先へ進もうとするとアモイが別荘を貸してくれて、そこまでマレーがイチカを乗せてくれると言う。これでだいぶ進みが早くなるな。 と、思いながら俺達は別荘にむかった。



◇◇◇◇



別荘に着くと、イチカとリベルは楽しそうに全ての部屋を確認していた。俺はと言えば、荷物を中に運び、持ってきた食材の荷解きをした。


一通り見終わったリベルが2人で使う部屋に荷物を持っていき、俺も早々に通常サイズに戻ったマレーに一言言ってから部屋を借りる。ベットに横になりたい衝動に駆られるが、寝てしまえば、明日まで起きない自信がある。我慢し、夕食の支度だ。


部屋を出ると、何故かイチカがマレーをガシガシと撫でながら話をしていた。お礼を言っているようだ。


お礼を言い終わると夕食の手伝いをすると言うのだが、昼間大分疲れていた様なので風呂に入ることを勧めた。


部屋に戻るとリベルにも同じ事を言われたようで、恐縮しながら風呂場に向かっていった。慣れた手つきで3人と一頭と一匹分の飯の用意をする。……虎は何となく分かるが、ハムスターは何を食べるのだろう……


寝ているハムスターのエサを後回しにし、まず人間用の用意を始めたところで後ろから声がかかった。


「お風呂先に頂きました。夕食の支度、手伝うよ!」


風呂上がりにとてもいい匂いをさせて、頬を上気させたイチカがすぐ後ろから声をかけてきた。本気でもう少し自重して欲しい。無防備すぎる。もしや、イチカの世界では男が危険な生物だと教えないのだろうか!? ならば頃合いをみて、俺が教えなければ……


食事中、イチカの様子が少しおかしいことに気づいた。無理に笑っている様に見えたのだ。


具合が悪いのか? と聞いても頷かない。が、リベルが言い聞かせるように聞けば頭が重いと言う。どういう症状なのなのか今一よく分からないが、早めに休ませてやれば、その夜、イチカは熱を出した。


リベルが明け方、熱が下がるまで看病していたそうだ。

読んで頂き、ありがとうございました。

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