表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/266

31. T のやる気

「……2人とも、お疲れなんじゃ無いですか??」


ハイテンションがウリのプロデューサーに、ローテンションかつ、ひどく心配そうに言われてしまった。


「そうだよね……疲れてるのかな……」


えぇ! ハルさん、そういう反応??


「疲れてはいますけど、しごく真面目な話です。プログラムに組んだ覚えの無いイベントやムービーの画像も外部の機材に残してあります。」


「誰かのイタズラの可能性は?」


「否定は出来ませんけど、キャラの名前が彼女とまるかぶりなのと、ムービーではボイスがきちんと最後まで入ってます。声優さん達が、何の役にも立たないイタズラに付き合ってくれるとは思いません。」


「そんなしっかりしたものなの? 話からしてアニメーションだけなのかと思ったんだけど……」


「フルで出来上がってました。ってか、見てもらった方が分かりやすいかと思いますけど……」


そりゃそうだ!とばかりに3人して部屋に戻る。


部屋に入るなり、録画を再生。イチカとマリアの出会いのアニメーションを見せる。続いて他のキャラの自動会話等も見せると絶句していた。で、結論から言えばノリノリで話に乗ってきた。


「キャラとリアルイチカちゃんとの関係確認ねー……さっきのムービー、もう一回見せて。」



◇◇◇◇



同じシーンを5回。イチカがマリアのマメという呟きを聞き、何故かテーブルの方を振り替える。そこにマリアが悪魔めー! とイチカに襲いかかる。目線は髪飾りが付いた耳の後ろ辺りを捕えだんだんとイチカに近づく。今は6回目を再生中。気づいたのだが、イチカはマメと聞いて豆で出来た菓子でも探そうと振り返ったんじゃないかと勝手に思っている。


「ここ!! ここ止めて!! この首! 首筋に黒子がある。」


突然プロデューサーが騒ぎだし、俺達はあたふたする。


「……? うん、あるね。だから?」


「もう! キャラの特徴として泣き黒子なんかを書くことはあっても、こんな目立たない所に黒子なんか付けない。仮に付けるとしても、誰かをモデルにして忠実にキャラを設定するか、この黒子によほどの意味を持たせない限り、顔以外に特徴なんか持たせない。」


なる程ね。とハルさんが納得してる。


「よほどの意味を持ってるかもしれないよ?」


「そこは否定出来ないですけど、こちらのイチカさんにも同じ位置に黒子があれば、名前も同一ですし、少なくともモデルになっているのは間違いないと思います。」


ハルさんの質問にもプロデューサーはしっかり答える。こんな小さな点、よく見つけたなぁと感心してしまう。


「で、黒子はあったの?」


へ? と間抜けな声で返事をすれば2人して俺に期待の眼差しを向けていた。


「いやいや、知らないっすよ。 コンビニで会った時も顔しか見てないですし。」


「可愛かったの?」


「そうですね、モロ好みのど真ん中でした。」


ハルさんと話ながら彼女の顔を思い出す。呆れた顔をしたプロデューサーが、まあ、そんなもんか。とまた考え始めた。


「彼女、まだここにいるの?」


「そうですね。目覚めない原因が分からないので、施設が揃った病院でさらに詳しく調べてから、多分自宅療養になると思うって言ってました。その病院への移送の手続きがあるから何日かは今いる病院で様子見だそうです。」


「じゃあ今のうちね!」


「何が??」


もう!! とプロデューサーは理解が遅い俺にイラついた様に説明する。


「今なら御加減いかが? って花でも持ってお見舞いに行ってもおかしく無いでしょ!!」


「……あぁ! そこで黒子を確認すればいいのか!」


確か、話の流れで運ばれた病院の話は聞いている。早速明日にでも……


「ただ、黒子だけじゃ弱いのよねー。」


「え? ダメですか??」


「そうだねぇ。これだけじゃぁただキャラクターのモデルになっただけ、って話になるよね。」


「あ、そうか……彼女が彼女の中身である証明が必要って事ですよね?」


自分が、自分を証明することは難しいって聞いたことがあるが、この場合、どうすれば証明出来るのだろうか……


何を言っても本人から聞いてキャラを作ったのではないかと疑われる気がする。そう2人に話せば、


「それはキャラのイチカに話を聞ければすぐ解決でしょ? だってあんたと会ったかどうか聞けばいいんだもん。」


「俺?」


「そうだよねぇ。ゲームに入ったとすれば最後に見たのは平良の顔だろうからね。」


2人とも天才かよ!? 言われれば確かにその通り。彼女が意識を失う前に見たのは俺だった筈。俺を覚えてなくても、どこで何をしてたか聞ければ証明出来る!


いかに凄腕のプログラマーでも、たった3時間でこんな大がかりなゲームの改竄が出来る筈が無い。


「じゃあ、どうにかしてイチカを探さなきゃ!!」


「そうだねぇ。」


「そうね。」


ゲームに向かう俺に対し、2人は部屋を出ていこうとする。


「え? 進めないんですか?」


2人は振り返ると、何事も準備が必要! と言って出ていった。

どうやら徹夜をするためにシャワーやら夜食やらの準備をするらしい……


「やる気満々ですね……」


俺も2人に続いて部屋を出た。

読んで頂き、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ