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25. T の発見

「なんか……本編にイチカを追うシナリオが追加されましたね……」


「そうだねぇ。追加されたねぇ。」


顎をさすりながらハルさんが画面を見つめている。王様からサラッとイチカを追う指令が勇者へと言い渡されているテロップを見ているのだろう。


「本編だとこのまま東の国に行くんだっけ?」


「そうです。そこで寅の兄妹の妹がライバルの令嬢として出て来て一悶着と、卯の公爵領で盗まれた勇者の証を仕舞った場所の鍵を取り戻すイベントですね。」


「イチカのキャラ、居ると思う?」


「次の国で会うかどうかは分かりませんが、シナリオに組み込まれてるなら何処かで出てくるでしょうね……」


「だよねぇ。ホント、誰が組んだプログラムなんだろ……キャラと会話型のゲーム。面白いとは思うけど、キャラの制御が効かないんじゃゲームとしては失敗だよねぇ。」


「そうですね……こちらからの指示には従わないですし、コマンドの選択も限定的過ぎます。」


ハルさんと話しながら、玉座の間で待機状態のマリアを操作し部屋に居るキャラ達と話し部屋を出る。部屋の外にはセレネスが待機していた。話しかけると、どういう訳か一度宿に戻ろうと言われる。本編ではこのまま東に向けて度に出るはずだ。コマンドで選択肢があるわけではない。ただの会話なので無視して進む事も出きるが……


ハルさんを見れば、こちらをチラッと見てから画面に視線を戻し


「宿、行ってみようか。」


「はい。」


セレネスのキャラを引き連れながら城下町でセレネス用の装備を揃える事にしたのだが、不思議なことに稼いだ覚えの無いお金を大量に持っていた。しかも、あくまでモブキャラなのでどうやら闘う事に特化した鎧や武器、防具が身に付けられないようだ。試しにマリアがウリーボ領で揃えた初期の武器、防具等を付けさせたらそれは普通に装着した。無いよりましなのでマリアに新しい物を買い、セレネスにお古を装備させる。


町中の店を見て回り、一通り話も聞き終わったので一度城下町を出て森に向かう。魔物などが出た場合、セレネスのコマンドがどうなるか見ておきたかったからだ。ウロウロと森の中を歩くと魔物と出会う。スライムが一匹。マリアには身を守らせ、セレネスのみで闘わせる。と、普通に魔法も剣術も使えたのでホッとする。ただ、Hp等は攻略対象のフィルソンやリベルに比べるとだいぶ少ない。死なないように上手くやらなければ……


少しレベルを上げようと森をくるくると回っていたら、画面の隅に家のマークを見つけた。もちろん寄ってみる。


地図から家の周辺をにズームした画面に変わる。道が一本、その両脇に畑があり、奥に赤い屋根の家の絵がでている。


家に入ると魔法使いのようなローブを着たキャラがいた。話を聞くとどうやら人間嫌いの薬師らしい。纏まったお金が必要になったので、薬と家に居る馬を買って欲しいと頼まれた。要求された金額は所持金の約1/3。


「シナリオは?」


「こんな小屋自体ありません。もちろん薬師も出てきません。」


「お金も稼いだ訳じゃないし、とりあえず買っておこうか。」


賛成。心のなかでハルさんの意見に賛同し、頷いて薬と馬を買う。買い取った薬を見ると、全て上級と付くポーションや麻痺や毒等の解毒剤、それにスキルアップに使える種と名前がバクっていて読めない種が手に入った。バクっているものに関しては説明もバクっていて読めないので全くもって何の種かは分からない。


馬に関しては名前をつけられるそうで、ハルさんと相談しようと隣を見れば、


「ダークホースでしょ。あ、平仮名のだーくにしよう!だーく君。」


「ダークホースって……何の一発逆転を狙うんですか? まあ、いいですけど……」


名前を入力し物語を進める。と、驚いた事に森を進むスピードが上がった。馬に乗って移動してる設定なのだろうか。だれだか知らないが、そういうところは変に拘りが強いらしい……と密かに苦笑いした。


宿に向かうため、城下町に向かって進むと魔物が出てくる時の曲に合わせて画面が切り替わる。


ムーとアヤナが現れた! と出ている。キャラ的には人と同じ容姿らしい。初めて見る魔物だ。コマンドを見るとマリアは闘う・逃げる・魔法・スキル・アイテム といつも通り。とりあえず闘うで様子を見るを選択し決定。セレネスはと言えば 話す・アイテム の二つしかない。


ん? 少なくね?? と思いつつ、話すで決定してみた。すると、またテロップか勝手に流れ始める。話をしているのはセレネスとムー。しかし、戦闘中の曲は流れたままである。


流れるテロップにたまにアヤナの攻撃、流し目。誘惑。に対し、セレネスには効かないようだ。とマリアは呆れているようだ。の文字が戦闘中を現すくらいで、普通の魔物との闘いのように装備品や魔法で何かする訳では無いようだ。話の内容からすると、どうやらマリアの装備品に着いての話らしい。


俺とハルさんは疲れた目をほぐすようにグリグリと押さえながら必死に画面上の文字を追った。


読んで頂き、ありがとうございました。

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