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19. I の暇つぶし

食事を終え、部屋に戻る。テーブルの上には先程は無かったカラフルな糸や針山、丸い輪っかと畳まれた布。本が数札とその横に他のメイドさんとは微妙に違う服を来た夫人と呼びたくなる様な雰囲気の女性が立っていた。


聞けばメイド長なのだそう。彼女は何も持たない私の暇潰しを持ってきてくれたらしく、刺繍セットと、この国の神話や街で話題になっている物語の本を用意してあった。


残念ながら刺繍も出来ないし、本は気になるがこの国の字が読めないので諦めるしかない。それを言うと、では! とメイドさんに指示を出し1人の女性を連れてきた。ドレスのデザイナーさんらしく、何故か私の体を採寸し、どんなドレスがいいか等と希望を聞いてきた。


ドレスをつくる気はないと言えば、先程のお詫びに旦那様が何着か作るように指示を出したそうだ。採寸だけして勝手に作ってもいいが、どうせなら希望を聞いてくれるという。


本当にいらない。と思うも当主が注文したのなら私が断ったところで勝手に作って持ってくるのだろう。ならば少しでも動きやすいものを! とガンガンリクエストを出しておいた。ホントならパンツスタイルの服がよかったのだが、こちらの世界では女性はスカートが通常で、パンツは男性と女性の王族を守る為の女性騎士だけの装いだという。


リクエスト通りならドレスと呼べるか微妙なラインの服が出来るが、ぜひ希望を聞いて欲しい。いらないと言っていた割には楽しみになってきた。


そこからまた、やることが無くなったので本を手に取る。字が読めないので挿し絵だけをペラペラと探してみてみる。



白と黒の色違いで書かれたそっくりな2人の人がボールを持ち、芽吹いたばかりの種を手からボールに注いでいる絵。


並んで寝転がりながら頬杖を付き、微笑みながらボールを眺める2人の絵。


二人がケンカをして、ボールが少し黒い煙に覆われている絵。


ボールがマーブル模様になり、白い人が光輝く剣を1本、黒い人が芽を出した黒い種をボールに乗せようとしている絵。


黒く長い髪と目を持ち、顔にアザがある男性と黒いドラゴンや頭が3つある犬、包帯を全身に撒いたミイラや大きなお饅頭に目と口が付いた者達に剣を翳す人達の絵。


大きな怪獣と数人の人が戦ってる絵


戦っていた人達と魔物や魔人が背中合わせになっている絵


ボールに手を翳す二人の絵。



その本の挿し絵はそれだけだった。


コンコンと扉を叩く音。返事をすればお茶はいかがかとメイドさんが来た。ありがとうございますと受け取り、本について質問する。


「この国の神話の物語です。」


「神話?って双子神でしたっけ。ああ、だからそっくりな二人の絵ね。字が読めないから絵だけしか見てないけど、時間があったらどんな話か教えて貰ってもいい?」


少々お待ちを、と一度部屋を出てすぐに戻ってきてくれた。上役の人に許可を取ってきたらしい。では、と一つ咳払いすると語ってくれた。


「この世界は、誕生のお祝いに大神様から双子神に与えられた世界だそうです。双子神が神力を使い、生き物の始祖の種を作り育て管理しておりました。しばらくすると人や動物になり、そのもの達の生活をただ見守りつつ必要に応じて新たな種を植えるヒルダ神と、もっと世界に新たな種を植え、自分好みにしたいヨルダ神がケンカになり、ヨルダ神の負の感情によりこの世界に魔素と呼ばれるものが生まれました。魔素は集まると魔物を生み出し、その魔物は人や動物を襲うようになりました。」


話すと喉が乾くだろうと、一緒に紅茶を飲もうと誘うと断られてしまった。たが、片やソファーに座り紅茶を飲みながら話を聞いて、もう1人は横で直立不動で話続けるというシチュエーションがこの世界の人間ではない私には我慢ならない。どうにか言いくるめてソファーに座らせて、メイドさんに自分用の紅茶を用意してもらい、話の続きをせがむ。


「魔物は人や動物を襲うとに自らに取り込み、強くなり、また人を襲います。その強くなった魔物を人々は魔王と呼び恐れました。見かねたヒルダ神が魔王をを倒すため、特別な力を与えた人の種を作り、魔王を倒す事にしました。しかし、それに気づいたヨルダ神が今度は魔王を守るために魔人の種を作り世界に下ろしました。」


私の膝のうえにある本の挿し絵を見ながら説明を続ける。


「特別な力を持ったヒルダ神の創った人は勇者と呼ばれ、仲間とともに魔物を倒し、死闘の末に魔王も倒すことが出来ました。しかし、双子神のケンカは収まらず、魔素は生まれつづけます。長い時間、魔素がこの世界に溶け込んでしまった為に人も魔素を吸い込み魔法を使えるようになり、動物の一部は人の形に変化をするものが表れました。勇者とその仲間の子孫は、それぞれ別れて大陸に渡り、国を作って魔物を管理し、この世界は安定しました。」


ペラペラと本をめくり最後の挿し絵のページを開く。


「ただ、ケンカは未だに続き、ヒルダ神はこの世界が発展するために必要な人を生む種を植え、その種に似せてヨルダ神が魔人を生みだす。それが良い天創人と悪い天創人だと言われております。」


おお!ここで天創人が出てくるのか。つまりは双子の兄弟ゲンカ。なまじ神様なんてスケールの大きな人達のケンカだから、それに振り回されるのがこの世界自体。


いい迷惑なんて一言で片付けるには被害が大きすぎる。しかも現在進行形ときたもんだ。


ふぅ。とメイドさんが紅茶を飲みため息を付いた。


「ありがとうございました。やはり絵だけよりお話が聞けると楽しいですね。」


「お役に立てたようでよかったです。」


そういうとスクっと立ち上がり自分が使ったティーカップのセットを持って頭を深々下げて失礼します、と出ていってしまった。

~解説メモ~

魔族について


魔物→ヨルダ神のワガママで出来た魔素が固まって出来たもの。人や獣人等を襲い、倒したのちに体ごと吸収し、レベルアップする。


魔王→魔物がレベルアップし、一定以上の強さになったものを呼ぶ。


魔人→ヨルダ神がヒルダ神に対抗して作った天創人。特徴は丸っきり同じなので、鑑定系のスキルがないと見分けられない。

基本、人は襲わない。が、守るべき対象の魔物が攻撃されると戦う。倒した人や獣人が持つ魔力や魔素のみ吸収する。



読んで頂き、ありがとうございました。

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