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167. I の好奇心

ド、ドラゴン?? え? あのファンタジー映画によく出てくるやつが居るの?? 緊迫した空気の中、正直見てみたくてワクワクする。


戦おうとするノリアス君を止めて、幌の隙間から少し上空を見上げる。尻尾が長い蛇のような生き物が、空に綺麗に円を書きながら飛んでいた。空に居るのでサイズ感が掴めないのだが、飛行機位の大きさだろうか?


タイラさんが攻撃するなと念入りに釘を刺してから馬車を降りる。もしや押すな押すな的なノリか? と思ったほどの念の入れようだがやはり別世界、みんな素直に武器を下ろす。そして、降りると空のドラゴン達に向かって話しかけている。


タイラさんの話が聞こえたのか、一匹のドラゴンがスイッと輪からハズレた。と、物凄い轟音と衝撃。思わずノリアス君を庇いギュッと抱き締める。と、ノリアス君は私の頭の上に両手を置いた。頭を守ってくれているらしい。可愛いうえに優しいとか、将来絶対モテモテだね。そのまま大きくなってね……なんて考えてる場合じゃなかった! 何があったの?


幌から顔を出せば、先程まで馬車がやっと通れる程の森の小道のようだったところが、物凄く見晴らしが良い広場になっていた。そして、広場の向こうに山が……!!?? 顔がある?? え? コレもドラゴン??


と、デッケェー!! と呑気なタイラさんの声。タイラさんは皆に武器を下ろしたままで無抵抗の意思表示をさせる。そして大きなドラゴンに向かって話しかけ、馬車を走らせた。


ドラゴンは『話したい』と言うタイラさんの声に答えてか、徐々に身体を小さくしていく。確かにあの大きさでは話しづらい……最終的には人間みたくなれるらしい。と、ドラコンの後ろに見覚えのある制服……騎士隊の人達だ!

それにハスキスさんやドラドさんも居る!! しかも怪我してる!?

あんなに大きなドラコンと戦ったのだろうか……


途中、騎士隊の人達と引き離すからと少し離れたところでタイラさんとホルスさんが馬車を降りる。回復系の魔法を使える私とマリアちゃんは怪我をした人達の下へ急ぐ。ハスキスさんとドラドさんに挨拶をし、治療に向かうとノリアス君も手伝ってくれると言う。


医療班のテントに向かうと、私を苛めていた人達が驚いたように私を見る。そして、


「なんで……? どうやって……?」


私の後ろから追うようにテントに入ってきたのは、私を酉領で薬で寝かせ、置いていったミリー。物凄く青い顔で震えながら呟いている。


「治療を手伝います! 案内して下さい!!」


言いたいことが無いわけではないが、まず何より怪我をした人達の治療をしなければ……近くに居た男性の隊員が案内してくれた。


マリアちゃんと私は魔法で、ノリアス君はお母さんから教わったと言う薬師の知識で薬を作り治療に当たった。


怪我人は多いが、重傷者は少く案外早く治療は終わった。


それを見計らったように、ミリーをはじめ私を目の敵にしていた女性陣がワラワラと近寄ってくる。不穏な空気を感じたのか、マリアちゃんとノリアス君が私を守るように前に立った。


「イチカ……あの……」


『ダーーーーン!!』ミリーが何か言いかけたところでピストルの発砲音の様なものが聞こえ、全員が反射的に音がした方に顔を向ける。


「行こう!!」


マリアちゃんとノリアス君を誘い走り出す。皆がいた所に行くと、大きなドラゴンは居らず、肩に白い可愛いドラゴンを乗せた男の人とホルスさん、ドラドさんとハスキスさんとフィルが馬車の近く。馬車の中には気を失ったセスと看病するファジール君。それぞれがそれぞれの場所である一点を見つめている。


視線の先には背中にチンパンジー? のリュックを背負い、仮面とマントを着けた人が、瓦礫でできた山の上に立って、男の人を片手で抱いて掲げている。あれ? あの抱えられているの、タイラさん??


「あー! シロオオカミの時の!! 仮面の男とムカつく猿!! なんでタイラ抱いてんの?」


「タイラ様! お助け致します!!」


ノリアス君とマリアちゃんはすぐに状況を判断出来たらしく、前にグイグイと進んでいく。私もはぐれないように一緒に近づくと、ドラドさんが前に立ちはだかる。


「イチカは少し下がってて。私の後ろに……いざというときは援護をお願いしますね。」


そう言われてしまえばこれ以上は前に行けない。


「お前達!!……………………………………………………………」


突然、馬車から声が聞こえた。久々のバリーさんの声だ。私の位置からは『お前達』しか聞こえなかったが、なにか話しているようだ。馬車の中の2人と、近くにいるフィルには聞こえたのだろうか? 後で聞いてみよう。


と、今度はバリーさんの声に答えるように仮面の人が何か言うが、やはり聞こえない。一番近くに居たマリアちゃんが質問すると、


「……国に許可無く侵入してきたので、捕まえただけだが?」


と言う答えが反って来た。どうやら国を守っている人らしいのだが、この声、もしかしてドゥクランって人?? 仮面を外して欲しい……


「ドラド様! 本部から連絡が……」


今度は真後ろから声がかかり、飛び上がるほどびっくりする。ドラドさんは私を背に隠したまま報告を聞いたのだが、内容は驚くべきものだった。


帝国内に数体の魔王レベルの魔物が出現。皆がみんな、報告を言いに来た人を見る。


「本土に? この国じゃ無くて?」


「はい。何故か通信が上手く通じず、途切れ途切れの報告ですが、本土出現との報告があり、すぐ帰還するようにとの命令です。」


「すぐ帰還? ここからどんなに急いでも20日はかかる! 月組は殆どこちらに連れてきてしまったが、向こうは大丈夫なのか?」


「ドラド様、西の王に話して転移門を使わせて頂けるように聞いてみては?」


フィルが提案する。と、仮面の男がクックックと喉の奥で嗤う。


「そうだな、願いするといい。まあ、使えるかどうかは分からんがな……」


「あっ! ダメだ! 転移門は使えない!! 部下から何故か西の転移門が解体されて使用できないと報告があった。解体の指示はお前か!」


ホルスさんが苛立たしげに言う。転移門が解体されたって事は、大陸への移動は船しか無いってことか……皆、大丈夫かな……この世界に来てから出会った人たちを思い出す。


「さて、おしゃべりはここまで! お前達、何をしている! さっさとやってしまえ! そういう契約だろ!!」


仮面の男が苛立たしげに回りを囲む魔物に指示を出す。が何故か魔物は私達の方を見て動こうとしない。


「神を魔王と間違え連れていったところで、魔物どもはお主の言うことなど聞かんじゃろうな……」


今度は小馬鹿にしたように竜王が仮面の男に言う。『神』と言う単語に、私を含め騎士隊の人達の頭に『?』マークがつく。が、フィルやマリアちゃん達は表情を固くしただけで驚いたり疑問をもったりする様子はない。


ウソ! もしかして神様にも会えるの?? 緊迫した現状より、好奇心の方が勝った瞬間だった。


読んで頂き、ありがとうございました。

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