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17. T の声

乱雑に詰め込まれた机の引き出しからヘッドセットを探して装着する。


「マリア、聞こえる?」


小声で話してみる。テロップにそのまま俺の話した事がながれる。


「……聞こえます。」


テロップに返事がくる。驚いた事にキャラクターと会話が出きるようだ。誰ですか? とマリアに聞かれ、咄嗟に 神だ! と答えてみた。


と、マリアが蒲団から起き上がってベットから出ようとする。


「まって、待て待て待て待て。ベットから出ないで。そのままでいいから聞いて。」


「よろしいのですか?」


「うん。多分ベットから出ちゃったら声が届かないかも。」


「そういうものなのですか……!? あの、それで、失礼ですがどちらの神様でしょうか。」


そうだ、この世界は双子神のヒルダとヨルダが治める世界という設定。とりあえず、人類の味方のヒルダ神を名乗る。


「ヒルダ神様。お声をかけて頂き感謝致します。」


「あ、うん。そんなに畏まらないで…… えーっと、あの、マリアちゃんにお願い「ヒルダ神様、どうか! ローナを、ローナを助けて下さい!!」………」


「あーー、そうだね。ローナちゃんか。魔人に捕まってるんだよね……うーん、そっちは君の頑張り次第でなんとか「頑張って助けに行きます! ヒルダ神様ならローナがどこにいるか分かりますでしょうか? どうか、ローナの居場所を教えて頂けないでしょうか?」……」


マリアちゃん、グイグイくるな。出来れば話を聞いて欲しい。あと、食い気味に話すの止めて欲しい。テロップ読みづらい。


「………まず、話を聞いてくれる?」


テロップの流れが止まった所を狙って話しかけてみる。


「あ………申し訳ございません。」


少し落ち着いてくれたようだ。早速お願いをする。


「マリアちゃんに カゲノ イチカ という女性に会って貰いたいんだ。この後、君はお屋敷の当主と話をすると思う。その後に出来たら『チョトツモウシン』という街の宿屋に行って欲しい。」


「カゲノ イチカ……『チョトツモウシン』」


「そう、その………………」


会話が強制終了させられた。誰かが来たようだ と表示が出た。その後は話しかけても俺の言葉がテロップには流れない。マリアのキャラもベットの横で待機状態だ。仕方がないので、扉まで行くと呼びに来たメイドと勝手に屋敷内を歩く。イベントが始まったようだ。当主の部屋に向かう。この屋敷がグリン・ド・ウリーボ公爵邸、リベル達の実家だと分かった。


当主はマリアに、肩にあるアザが勇者の証でアザが確認されてからずっと見守られていたこと。ローナがいる商隊はマリアの様子を知らせてくれる公爵家の使いなのだと言うことを話している。そして、ローナは自分と間違われて連れ去られた事を知る。マリアはローナを助けに行きたいと言うと、グリンは勇者として王様に会う事を進める。予定通りの進行。


ここでマリアが動いた。俺からの指示を神託だとしてグリンに伝えている。話を聞いたグリンが宿には使いを出すからと告げるとメイドが出て来て強制的に部屋案内され、寝かされてしまった。



◇◇◇◇



フウッとため息をつき、ヘッドセットを外す。


「面白い事をしてるねぇ。」


真横から声が聞こえた。俺が勝手に師匠と崇める先輩プログラマー、ハルさんがゲーム画面を覗き込んでいる。因みに、今はクリエイターとしてこのゲームの統括をしている人だ。


「ベースをコピーして改良したの?」


「いや、あの……」


「見つかったら規定違反で処罰されちゃうよ?」


ちょっと意地悪な顔で言う。既に見つかってしまっているので素直に 分かってます。といえば、そうだよねぇ~。と言いながら、ならばなぜやったと言わんばかりに睨まれた。


どうしたもんかと悩んだが、とりあえず信じて貰えなくても正直に話すことにした。


中断セーブをし、休憩スペースに移る。お誂え向きに誰も居ない。コーヒーを二人分用意し、信じて貰えないかもしれません。と前置きをして昨日から今日までの話をする。


始めはフンフンと聞いていたが、そのうちに呆れを含んだ投げやりの相槌に変わった。言い訳はいいと言わんばかりだ。


説明だけだと今一伝わらないので現物を見て貰おうと、休憩室を出て二人でブースに戻りゲームを再開する。物語を始める前に、履歴をざっと見せるとハルさんは驚いた顔をした。


真っ暗な画面に就寝中の音楽が流れ、画面が明るくなる。マリアがベッドから起き上がり待機を示す。コントローラーで部屋を出ると廊下にメイドが立っていた。


話しかけると旦那様がお待ちです。と食堂に行くように言われる。食堂に着くと、グリン・リベル・セレネス・フィルソンが勢揃いしており、イチカと会わせてくれると言う。


目標が達成出来そうでホッとしてハルさんの顔をみる。


「イチカってのが、昨日君が会って倒れちゃったって人と同姓同名で突如現れたキャラクターって事なんだよね?うーん、やっぱり俄には信じられないな。これ以前の履歴はないの?」


「マリア視点になった時点でイチカのものは消えました。」


「んーーーー、そうだ、これ、2Dじゃなくて3D仕様にしてみて!あと、画面を保存しながらやって」


少しは興味を持ってくれたのかゲーム好きが顔を覗かせたようでいろいろと指示をくれる。了解です、と操作すると屋敷が平面から奥行きのあるものに変わる。目の前で食事を取るフィルソンもイケメン仕様の絵に切り替わった。


ゲームを続ける。食堂にいる人達と話をし部屋に戻ると、この大陸でのもう1人の攻略者、黒っぽい灰色のツンツンヘアーのキャラ、バリー・ファン・ピカクールとグリンが訪ねてきた。


バリーはマリアのステータスチェックをし、グリンに勇者で間違いないと告げる。


本来ならこのまま城に行き、勇者の道具を手に入れ、攻略対象者2人の内の1人を選び、リベルと共に3人で旅立つ。迄が第1章のシナリオだ。が、二人はしばらく待つように言うと部屋を出ていってしまった。


そして、入れ違いにメイドが入ってきた。ドレスアップのミニゲームが始まる。上手くやればステータスの魅力値等が上がり、イケメン攻略も戦闘も有利になる。MAXは最大3づつ上がる仕様だ。


数回チャレンジした。マリアの魅力は最低限しか上がらなかった。


読んで頂き、ありがとうございました。

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