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11. I の散策

ここが! あそこが! と異国情緒溢れる街並みを紹介されながら屯所へ向かう。


服装等はヨーロッパの民族衣装のようだが、行き交う人達の髪の毛は非常にカラフルだった。


緑や青、グラデーションで頭の天辺がボルドーで毛先がピンクなんて人もいる。


そして驚いたことに、猫耳や角、尻尾を着けた人達が普通にお店を開いていた。


ここだよ。と教えて貰った建物は石造りで、観音開きの扉が正面についている。今は全開で中が丸見えだ。


日本にある交番の様に、入って直ぐに机があり、白の制服を着た兵士が訪ねて来た人の相手をしている。その奥には階段と棚が少し並ぶだけで、後は土がむき出しのだだっ広い空間が広がっている。訓練所を兼ねているそうだ。


屯所の隣は寮と馬屋があり、一日中交代で見張りをし、有事の際は直ぐに出動出来るようになっていると教えて貰った。


ちょうど交代の時間なのか、兵士は一人しかおらず、その一人も対応中なのでキョロキョロと見回してみる。


兵士の腰にぶら下がっている剣を見つけて冷や汗をかく。フィルソンさんに突きつけられた剣先を思い出す。土産品のオモチャだと思っていたが本物だった可能性に思い当たったからだ。


っぶなかったー。やめてくださいよー、なんて言いながら払い除けてたらスッパリ切れてたかも知れない……


ちょっと慎重に行動しよう。と決心すれば、訪問者は兵士との話を終えたらしい。入れ替わりで兵士に声を掛けようと立ち上がると先程の訪問者にガシッと腕を捕まれた。


「お前の探してる物はない。」


フード付きのロングコートを着たような男は屈んで私の顔の前でそう言った。

横にいるリベルさんが男のフードを外し、


「脅かすんじゃないよ、セレネス。イチカが怯えてるじゃないか。で、頼んだことは終わったのかい?」


先程の話に出てきた宿屋を営む兄弟のもう一人らしい。フィルソンさんより細いが、流石兄弟、良く似ている。目の色が若干セレネスさんの方が濃いが目を閉じると顔だけでは見分けがつかない。


「終わった。ついでに屯所に昨日の夜から今まで変わったことがなかったか聞いてから帰るつもりだった。西の屯所にも寄ってたから思ったより遅くなった。」


「宿の方はフィルがやってるさ。面倒な事を頼んで悪かったね。」


「いや、大丈夫だ。とりあえず家に帰ろう。話は後だ。」


結局、私はただの散歩をしただけで宿に帰った。


宿に戻ると体調はどうだい?と聞かれたので特に悪いところはない。と答えると食堂の手伝いをする事になった。学生時代のアルバイト経験を遺憾なく発揮し、ホールに皿洗いにと店内を駆けずり回った。なかなかの繁盛店らしい。


◇◇◇◇


最後の客を見送り一息着くと、私の分も夕飯を用意してくれた。


「今日は手伝ってくれてありがとうね。」

「助かった。」


リベルさんとセレネスさんが労ってくれて、フィルソンさんがこれも食えとリベルさんと私にデザートまで出してくれた。


リベルさんは随分優しいじゃないか! とフィルソンさんを見て驚いている。習慣なのか、食べながら今日のお客やメニューについて一通り話すと、3人が不自然に口をつぐむ。リベルさんとセレネスさんがアイコンタクトをすると、セレネスさんが私に話を振ってきた。


「どこまで聞いた?」


ザックリとした質問だが、朝の話の続きだろうと辺りをつけて返事をする。


「ここが、私のいた国とは違う国なんじゃないか、ということを……」


他の二人は黙って話を聞いている。


「そうか。で、実際どうだった? やっぱり違った?」


「違うと思います。但し、国ではなく世界そのものが違うと思います。」


「………どういうこと? 世界が違うって双子神の世界とは別の神の世界から来たってこと?? なんでそう思った?」


「人も建物も、この、今食べている食材も見たことがありません。何より、私がいた世界には獣人さんはいませんでした。」


3人とも驚いた顔をする。そして、セレネスさんが話し始める。


「この世界には、神が創ったとされる種から人が生まれてくることがある。その人達は大概特殊な技能や飛び抜けた才能を持っていることが多い。そして、そういう人たちを天に住む神が創った人と言う意味を込めて天創人(テンソウジン)と我々は呼ぶんだ。天創人は見つけ次第国の規定の鑑定を受け、選別される。」


「選別?」


「そう、生かすか殺すかの選別をされる。」


嫌な予感がする。


「…………神が創った才能ある人達なのに殺してしまうんですか?それに、天創人とはすぐ見分けがつくものなのですか?」


「生まれてくるのはいいものばかりじゃない。この国に悪い影響を与える奴らも居る。だから選別は必要なんだ。どこで生まれるかも分からないが天創人には特徴があって、必ず黒い髪に黒い目を持っている。暗い色合いの髪を持つものはこの国にも希に居るが、黒い目は居ない。目も真っ黒は天創人以外会ったことながない。ただ……… …… … 」


……種から生まれるとはよく分からないが、黒い目と黒い髪の特徴は当てはまる。ならば私はこちらで天創人と呼ばれる存在なのだろうか? こちらの世界に呼ばれて何かしら秀でた所を与えられた?? でもいいものばかりじゃないとも言っていた。悪影響は良くわからないけど、いいものでなければ殺される可能性が高い!?


リベルさんが、大丈夫? と覗き込んでくる。考え事をすると周りの声を一切遮断して集中してしまう。悪いクセだ……


大丈夫です。 と顔を上げれば、フィルソンさんが食後のコーヒーだろうか? 匂いはコーヒーだが、見た目はトマトジュースのように赤い飲み物を出してくれた。


一口飲みむとやはり味はコーヒーだった。頭を切り替え、話の先を促す。


「………選別の基準は何ですか?」


「天に住む双子神のどちらの神が創った種かで決まる。」


「双子神……?」


「この世界の神話だ。が、それよりもまず、今話した通り特徴が当てはまるものとそうでないものがあるから、イチカが天創人かどうかが俺らじゃ判断できない。」


「そうね。天からじゃなく、こことは違う世界から来たっていう話だしね。」


良く分からないが、殺される可能性のある天創人とやらとは違うのならそれにこしたことはない。

あと、先程の天創人の話には続きがあったのか……ヤバい、聞いてなかった。何処が当てはまらないのだろう?


「そういうことなのでイチカ、オヤジ殿に会って貰いたい。」


そういうことがどういうことなのか理解するために、説明の後半部分をもう一度お願いしてもいいだろうかと悩むところだ。

※天創人等のゲームの内容に関する記述は、後々詳しく書くので、今はザックリと読んで下さい。


読んで頂き、ありがとうございました。

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