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1. Tの災難

初投稿

目標::完結!


岡本平良(オカモトタイラ)、職業、ゲームプログラマー。運なし、暇なし、彼女なしの3重苦を背負いながらも懸命に現代社会を生き抜く28歳デス。」


「先輩……痛々しいのでそのノリ止めて下さい。」


新規のアルバイトに混じってふざけて自己紹介をしたら、久々に会った年下の同僚からかなりの塩対応を喰らう。


おととい、新作のゲームがやっと組上がり、1日休みを貰って飯も食わずに蒲団で惰眠を貪り幸せを噛み締めたのもつかの間、気付けは大量にセットした目覚ましがけたたましく鳴り響く。


ゴミ捨て場ですれ違ったお隣さんに睨まれながら挨拶を交わし、重い体を引き擦り出社。待ってましたとばかりに、満面の笑みのプロデューサーに捕まり、デバッガー(出来上がった作品に不備やバグがないか実際やってみる人)が足りないからと出来たばかりのゲームを1日中やる。


不具合が見つかれば直ぐ様修正。昼飯は簡単に摘まめるもので済まし、ひたすら遊ぶとは程遠いゲームをやる。



いい加減、目と肩と腰が悲鳴を上げ始めたので散歩がてらコーヒーを買いにコンビニに向かう。すっかり夜である。お気に入りのコンビニコーヒーとおやつ、それに栄養ドリンクを買って店をでる。


チビチビとコーヒーを飲み、はぁっとため息をつくと、駐車場の端から背の低いおねえちゃんが歩いてくる。


道の向こうにある、近所で話題のイタリアンレストランで結婚式の二次会でもあったのだろう、綺麗な格好をしてカツカツと歩く姿は凛としていてちょっと格好いい。ただ、残念なことに物凄く不機嫌そうな顔をしている。


「もったいねぇ……」


顔立ちはドストライク。すれ違いざまに、綺麗ってよりどちらかというと可愛い系だな……笑ったら可愛いだろうななんて思いながら会社に戻る。


「いたっ!」


後ろから声がしたので振り返ると、さっきのおねえちゃんが足を触っている。捻ったのか足首を気にしている。放っておいてもいいが、お近づきになれるかもという下心で声をかける。


「大丈夫?」


おねえちゃんが俺を見上げる。痛そうな顔をしているが、ありがとうございますと呟きながら見上げる顔はやっぱり可愛い。と目が合った瞬間、おねえちゃんはその場に崩れ落ちた。


えっ? えっ? と焦り、ねえ、大丈夫? どうしたの? と声をかけるも反応はない。やたらと触ると後が怖いのでコンビニまで戻り店員に事情を説明する。


幸い、コンビニには客がおらず、バイトのお兄ちゃんと奥で休憩していた女の子が居たので一緒に来てもらい、女の子に女性の様子を確認して貰った。


呼び掛けても揺すっても意識が戻らないようなので救急車を呼ぶ。会社に戻ろうとすると、コンビニにお客が来たからとお兄ちゃんは店に戻り、女の子の店員には不安だからいて欲しいと頼まれ仕方なく倒れた女性を2人で見守る。



救急車と共に何故か警察も一緒に来て、違う警官が同じ質問を繰り返す。風貌からか出歩くとよく職質は受けるが、まるで何かの容疑者扱いで辟易した。さっさと帰ればよかった。


暫くすると、疑いが晴れたのか警察の態度が若干フレンドリーになり解放された。コンビニに買い物に行っただけなのに、会社に戻ったのは3時間後だった。


やる気も何も削がれてしまったが、とりあえずキリのいいところまでやってしまおうとゲームを再開する。



画面が立ち上がると、何故か最後にセーブしたはずのポイントとは別の背景。記憶のないキャラクターが街の道路に寝転がっている。そのキャラの頭側に1人、上に乗っかっているキャラ1人がおり、テロップには 女は意識を失っている の文字と始まっているはずのゲームに ゲームを開始しますか? する・しない のコマンドが表示されている。



イタズラ……? 誰か俺がいない間にゲーム触った? なにコレ。こんなイベントあったか??

イベントが始まる前に中断したはずなんだけど……



とりあえず確認をするために 開始する。を選ぶ。と同時に肘が飲みかけの栄養ドリンクに当たり、中の残りを派手な音と共に床にぶちまけた。


就業時間は終わっているので殆ど人が居ないとはいえ、水分厳禁のブースで飲み物をぶちまけてしまえばごまかしは効かない。


「あー! もうっ! なんだよ!!」


広がっていく栄養ドリンクの片付けと、この後こっぴどく説教を喰らうことを思うと、ついつい大きめの独り言を言ってしまった……


読んで頂きありがとうございました。

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