<外出許可>
その日は久しぶりに外出許可が出た。外出許可書を受け取り、俺は基地から一キロほど離れたジュウゴという町に向かった。ここは敵の国になるためそこにある町も当然敵の国民となるのだが、守備隊や憲兵が常駐しているので比較的安全な町になっている。
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「夕方まで」
「あいよ。これが鍵ね」
俺は鍵を受け取るとある建物の一室に入る。ここは町にある普通の宿屋だ。ラッパの音も聞こえない、訓練の音も聞こえない、誰も入ってくることのないまさに陸軍とは隔離された場所で一人ゆっくりしたいと思ったのだ。
「ふあぁ~、すー・・・はー」
あくびをしたり、深呼吸をしたりしながら時間をただ無駄に過ごす。
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一方その頃、アリアは基地内の資料室で今までの戦いを調べていた。訓練ではアレックスと互角だが、実戦というものを知っておくことによって実戦配備となった時に有利に動けると考えたのだ。結局、アリアの一日は資料に総当たりするという作業で過ぎ去った。
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「いつもより一日が早かったのです」
「そうだね」
「でも楽しかったよ、ねー」
「ねー」
それぞれ基地に戻って夕食を共にした俺たち六人は兵舎へと戻るため歩いていた。シルヴィアやルカ、ティノとティカが楽しそうに話しているが、4人もそれぞれ外出を楽しんだようだ。
半分、というより完全な盗み聞きとなるがルカは町を観光、シルヴィアは甘味を食べ歩き、ティノとティカは両親に送る写真を撮ってきたそうだ。アリアは様子から見て基地から出ていないのだろう。まあ、休みの楽しみ方とは人それぞれだ。
こうして俺は今日という日を満喫しながら過ごした。