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<懇親会>

 三日後、どうやらガルシアは歩兵部隊の人員を選定し終えたようだ。そこで全員が集まって懇親会が開かれることになった。


 「皆さん大きいのです」


 隊でも一番小さいシルヴィアは尻込みしてしまっている。実際、肩で俺の身長と同じぐらい大きいのもいる。一体どんな奴なのか見てみると、そこにいたのは見覚えのある顔だった。


 「お久しぶりです」


 その相手は先日あった兵長である。どうやらこの兵長はワイラーというようで、配属されることになった兵士たちの一人としてここに来たようだ。俺は軽く挨拶を交わした後再びウロウロしながら全体を見渡す。それにしても、会としては盛り上がりが少し足りない。陸軍はあまりこういった派手なことはしないとは聞いていたが、やはりこうなったかという感じだ。これが海外の軍ともよく交流している空軍や海軍であればこう少し華やかになると思うのだが陸軍となるとこういったことになれていないのだろう。それに全員の着ている服は緑を基調とした迷彩服だ。それが一層場を暗くしているように感じる。


 ガタン!


 「ご、ごめんなさい!」


 どうやらシルヴィアが躓き、転びかけたところを受け止められたようだ。受け止めたのはあのワイラーのようだがシルヴィアも小さいとはいえ、正面から転びかかってくる相手を受け止めるとは大したものだ。



・・・・・



 翌日


 「食中毒だね」


 リック軍医の診断によれば懇親会に参加した全員が食中毒になった、ガルシアを除いて。


 「食中毒にならないとか人間じゃないだろう」

 「でも准尉殿の話を聞いたことがありますけど、生身の装甲歩兵みたいな人ですよ」

 「どんなんだよ」


 俺は隣のベッドにいるワイラーと話しながら暇をつぶしていた。あの日に懇親会に出たほとんどが医療棟の病室に詰め込まれている。レイチェルやアリアなども例外ではなくほかの病室に入れられているはずだ。



・・・・・



 一方、ガルシア准尉は同じく食中毒になったハインズ大佐のもとを訪れていた。


 「まあ、そもそもお前は実験部隊の隊長だけだったからな。どうせ基地の運営にはほとんどかかわってないんだろ」

 「ええ、ほぼ中佐に任せていますよ」


 そもそも、ハインズが大佐まで出世し基地司令官とまでなったのは本人の実力ではない。陸軍は装甲歩兵を実戦投入するにあたり、戦地での性能を確かめるためにハインズやレイチェルを実験部隊として派遣した。しかしそこへ攻めてきたのが敵の装甲歩兵だ。

 この時ハインズは戦うわけでもなく、機密情報を焼却するわけでもなく、ただ倉庫の端で震えていた。一方のレイチェルは装甲歩兵の中に籠るという現実逃避を行っていた。二人とも実戦経験のない人間であったからこそであるが、その対応があまりにもひどすぎた。

 結局この敵装甲歩兵は基地に駐屯する歩兵や工兵によって撃退に成功した。しかしこれに慌てたのが上層部である。装甲歩兵は高い期待を込めて開発が進められていた上、新しい兵科としての青写真もほぼ出来上がっていたのだ。しかも、このままでは削減することになった戦車兵たちへの示しがつかない。

 そこで上層部は戦果を実験部隊の装甲歩兵によるものとした。そしてこれを装甲歩兵の増強と同時にプロパガンダとして利用したのだ。こうして上層部の意図から恩恵を受けたのが実験部隊の隊長であったハインズなのでである。


 「実際あれで敵よりも高性能な装甲歩兵を開発できて、敵よりも優位に戦争が進んでいるのは間違いないな」

 「そりゃあ、そうですけど。実際に戦果を挙げたあなたにとっては面白くないんじゃないんですか」

 「いや、基地司令官を顎で使えるのであればそれはそれでいいじゃないか」


 あの日、実際に指揮を出して装甲歩兵を撃破したのは当時曹長だったガルシアであった。上層部によってその戦果を改ざん、横流しされた形となるが逆に上層部の弱みを握ることになった。

 当時部下として動き、実際に戦果を挙げた約250人を説得して今の今まで改ざんが表ざたにならなかったのはガルシアの力でもあるのだ。


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