第20話
星の欠片の物語、クリアしました。
いやぁ謎解きが楽しかったです。
ただ、振り返ってみればボリュームが……
プロローグ版みたいな位置付けだそうで、そのあたり仕方ないですね。
手放しで誰にでも勧められるものではないですが、VRの環境があって、かつあの値段でボリュームもかなり短めですが、手を出してもいいかなと思うなら是非。
PC版も最近発売になったそうですし、この流れで完全版的なの制作してくれないかなぁと思う次第ですよ。
「……えっと、その、見えてるのは見えてるよ? ただね、ガイチっていう言葉がちょっとわからなくって」
「あ、なんだそういうことですか」
それは確かに、そうだ。
この街でその言葉を知っていて意味が通じる人間は……居ない訳ではないが圧倒的少数でしかない筈だった。
もし三吉君がその言葉を以前から知っていたのだとしたら、私は最大限の警戒をしなければならなかっただろうが、そんな話はない。
であるならば、今ここでは外地について簡潔に説明しておくのが筋というものだろう。
「外地っていうのは、この街の外。三吉君だけが見えている、その世界のことです」
最低限で、最小限の説明に限っておこうと思ったのは、先の不幸な未来の想像を避けたいという私の個人的な願いであるのもまた事実ではあるが。
聡明なのか愚鈍なのか、三吉君はその短い說明で何を納得したのか、あるいは納得しないながらも理解したつもりでいるのか、
「ふぅん、そっか。……でもあれ? 皆川さんは見えてないのに、何でそんなこと知ってるのかな?」
そんな質問が投げ掛けられた。
「何でも何も、答えは一つしかないと思いますけれど。……私は、そっちからこの街へと引っ越してきたんです」
「へぇ……、となると、皆川さんは異世界からの来訪者、みたいな? あはは、まるでアニメか漫画の世界のお話みたい」
「異世界っていうほど異なった世界でもないと思いますよ。ただこの街というか、ここの世界が平和なだけで」
私の口から出る言葉は、意図せずとも棘のあるものになっている。……彼に当たってもどうしようもないというのに。
でも彼は、三吉君はそんなこと意にも介さずに、いや気付いていてもスルーしてくれているのか、
「やっぱり、向こう側は平和じゃないんだね。なんとなく不穏というか、戦ってるような光景もたまに見るし、巨大な生き物が空飛んでたりするみたいだしね」
それらが見えているというのに、危機感の欠片も感じられない彼はあろうことか、
「だからさ、やっぱり僕はそっちの世界に行きたいんだ。だから、ほら、行こう?」
「あ、ちょっとやめて、」
私の手を取って、強引に引っ張って街の外へと、境界線を超えて、
「え、あれ? なんで?」
何かに阻まれるように弾かれた私の腕。その現象の意味を理解できないのも、ある意味で当然だろう。
私にだって、どういう理屈でそうなっているのか理解なんてできてないのだ。
でも、だからこそ伝えておかなければならないことがある。
「……ごめんなさい。私、この街から外に出ることが出来ないみたいなの」
彼が、もう一度私を街の外に連れ出そうとしない内に、釘を刺しておかなければいけないから。
私がこの街にとっての異物であるという現実を、体感させられる形で突きつけられるのは、もう嫌だから。




