第9話
楽しみにしていた奴隷少女ちゃんの更新があったから、今週も頑張れるのよ!!!!!!
今週から一ヶ月くらいはとびきり忙しくて、ただでさえ不定期気味な更新が更に遅れるかもしれません。
でも頑張るのよ!!!!!!
あと、いつの間にやらブックマークが4件に!
前に見た時は2件だったと記憶しているので、驚くとともに嬉しい気持ちで一杯です。
拙い文章と物語ですが、引き続きお付き合い頂ければ、と思います。
椎子が恋に落ちる場面まで後少し、の筈。
引き続きよろしくお願いします。
「椎子ちゃんは、ここから入ってクラスの列に並べばいいと思いますわ」
「わかりました……あの、沢渡さんはどちらへ?」
「私は挨拶がありますでしょう? 裏口というか、舞台側の入り口から入りますの。では、後ほど」
体育館の入り口前で、私は沢渡さんと別れることになった。
告げられた言葉に従い、私は体育館内へと続く重い戸を開ける。
中には、これから同級生となる生徒達が行儀よく背を向けて、つまりは舞台の方を向いて並んでいる。
男女それぞれの列が交互に連なるその光景を前にして、私は何故だか目眩を覚えた。
それは、たぶん。
この光景が、私の記憶を刺激するものであったから。だが、
――まず、人数が違う。
記憶にある光景はおよそ百人で、しかし今目の前にいるのはその倍程度の人数だ。
――それに、男女がおよそ半々なのも違う。
過去には男の子や男の人もこの街への転送の実験に志願して居たとは聞いているが。少なくとも私の期は全員が女の子であった。
そしてたぶんこれからも、女の子だけが研究対象として採用され続けるのであろう。
私に出来ることは、後に続くであろう後輩達が一人でも多くこの街にやって来れるよう祈ることくらいであろうか。
――そして何より、ここに集まっているのは、私でも簡単に命を奪えそうな子供ばかりであるところが決定的に違う。
そう、誰も彼も呑気でのんびりとした雰囲気を纏うばかりで、必死に生きようとする意志や意気を感じられない。
十三歳にもなろうというのに、この街の、いやこの世界の人間はこんなにも惰弱で、――。
「いやいや、私は何を考えているの。……これからここで、この街で中学生として生きていこうっていうのに、」
無意識に腰の辺りに伸びかけていた手を引っ込めて、私は首を振る。
その行動は、つまりはナイフを手にするということは、外地に居た頃にはある意味で自然で当たり前の行為だった。
そうしなければ、私の命が危なかったという場合だって多かった。
そうでなくとも、私は戦えると意志表示をすることこそが大事であった。
私に手を出すと痛い目を見るぞと周知出来なければ、生きていくのがややもすると厳しい世界でもあったのだ。
だが、ここは外地ではない。
周囲にそんなアピールをする必要は全くないし、そもそも眼の前で無防備に背中を晒しているのは牙を研いでもいなければそもそも生えてすらいない子供ばかりなのだ。
だから、私は自分の無意識の行為にゾッとする。
そんな子供を相手にナイフを抜いて何をしようとしていたのか、と。
そもそもそこに、愛用のナイフはない。この街には持ち込めなかったし、自衛用だとしても持ち歩く方が面倒事の種になる。
「……駄目ね、頭を冷やさないと」
独りごちて、私は深呼吸を一つ。
「……私のクラスはどこなのかな」
クラスメイトの顔は、沢渡さん以外に覚えていなくてわからなかったので、とりあえず適当に女子の列に並ぶことにした。




