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第6話

区切りの関係で、短めです。


「クラスは違えど、私達はもう友達。……ね?」

 だから笑えと、長野さんはそう言った。

 私は、そんなに酷い顔をしていたのだろうか。

 たかだが、長野さんとも三吉君とも同じクラスになれなかったというだけで。

「……友達、」

 その言葉は、私の心の奥底でチクリとした痛みを生んだ。

「そそ、友達。なんというかさ、この街って田舎でみんな顔見知りみたいなもんだし、なんだろ、マンネリって言うの? どいつもこいつも顔見飽きたよ、特に佑輝」

「おいおい、それは僕の台詞。またこの一年同じクラスで顔を合わせるかと思うと……」

「んん? 思うと……? なにかなぁ?」

「なんでもない! なんでもないよ! 忘れて!」

 そんな軽妙な遣り取りを交わす二人を見ていると、なんだか暗く陰りがちだった心が晴れていくような気がする。

「仲が良いんですね、本当に二人とも」

「いやそんなことないし」

「そうそう、そんなことないわ」

 私は自然と笑みがこぼれ、釣られるように長野さんも三吉君も笑っていた。

 そんな温かい空気に包まれた、春の日差しの暖かい春の朝。

 私に、この街で初めての友達が出来たのだった。


***


「えっと、一年二組……ここですね」

「私らは一組だから、隣同士だね。……うん、たまには遊びに行くよ。もちろん、皆川さんが来てくれても良いよ?」

 長野さんとそんな友達らしい会話を交わし、教室の前で別れる。

 三吉君は、特に何も言わずにただ後ろ手に手を振っていた。

 ちょっと見た目カッコイイような気がしないでもないけれど、アレって、私が見てなかったらむしろカッコ悪いような。

「あのさ佑輝? それ、皆川さんにカッコつけてるつもりだろうけど、正直カッコ悪いよ? ほら、皆川さんも微妙な顔してるし」

「……くっ、そういうことは思っていても言わないのが優しさってもんだよ……?」

「幼馴染としてはさあ、いくら冴えない佑輝であっても、それなりにカッコよくあって欲しいのだよ」

「……いや、誰目線なの友香は……?」

 夫婦漫才を繰り広げつつ、二人の姿が一組の教室に消えていく。

 その様に、どこか寂しさを覚えつつも、私も教室へと足を踏み入れる。

 私がこれからここで一年を過ごすのだと、そう気持ちを新たにしながら。

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