SUSHIとは何か。そう、我がNIPPONの誇る食b(ry part2
おまたせしましたー。今回も短いです。大体前回の続き物
運動エネルギーがゼロになった。一瞬静止したアルベルトに重力が絡みつく。
落下が始まった。重力加速度に従って速度が上がる。徐々に強くなる風。後数秒で地面に到達するだろう。
一瞬でアルベルトは動作を重ねた。
アルベルトは、落下中にも拘らず器用に姿勢を変えた。背後の城壁に足裏を設置したのだ。
落下に使われる筈の位置エネルギーを膝を曲げて太ももに集中させる。
転生によって人外レベルの身体能力を持つアルベルトは、下半身で受け止めたエネルギーを余すことなく壁に伝える。
壁を踏み込んだアルベルトは、地面に激突した鞠の如く水平に跳ねた。
滅茶苦茶な運動に振り回され、肩に担いだアリサが悲鳴を上げる。
「ぶひゃあああああああ――!? ふわっ!? ほわあああああ――!?」
城壁が見える。アルベルトは両足を広げて体勢を整えた。
着地。膝をバネにし衝撃を吸収。受け止めずに、反発して再び跳躍。
驚異的な身体能力を十全に用いた跳躍で、アルベルトは城壁を超えたのだ。
アリサは混乱の冷めぬまま、自分が連れ去られている現状を理解した。
口から光を放ったまま言う。
「うえええ!? えっ、どうなってるんですか!? 何処に向かってるんですか!?」
「ああ!? テキトーだよテキトー! あるだろほら、散歩するときテキトーに路地裏に入る感じ! あれあれ!」
「本当に適当ですね!? 散歩感覚で誘拐されたんですか私!?」
「うるせえー!」
「ゆ、ゆゆゆららららさななななななっ!」
建物の屋根に着地した。落下の衝撃を吸収し、適当に走る。
あ、これなんか主人公っぽいな、とアルベルトは思った。少なくともアルベルト基準では王城から王女を掻っ攫うという非常識行為は主人公の範疇だ。
ふっ、苦節十八年。ようやく日々の努力が実ったようだな……。とアルベルトが立ち止まって感動を噛み絞めていると、
「あ、あのっ!」
「んあ?」
肩の王女が話し掛けてきた。相変わらず口が眩しい。
「今からでも戻りませんか! 適当に走ってても捕まっちゃいますよ!」
「確かにそうだなあ」
「ですよね! だからほら王宮に戻りましょう!」
「あっ、それ無理」
「何故ですか!?」
んー、とアルベルトは考えた。端的に言えば己の目的のためだ。
SUSHIで世界を救う。なるべく面白い方向で。
馬鹿正直に答えてもいいが、それでは捻りが足りない。主人公的に。
ここは近時の目標を応えるべきだろう。それもカッコよく。
「オマエを連れて行くんだよ! ――世界を救う旅にな!」
「えええ!? 何ですかソレ!? というか仮にそれが本当だとして何で私なんですか!」
「えっ?」
「えっ」
沈黙が広がった。
アルベルトは一度俯き、うーんと唸り、しばらくして顔を上げると、
「色々考察とフィーリングが重なった結果? ちょっとそのへんの奴を仲間にしようとかそんな感じ? 後ほら、王女って響きがイイ感じしてたし」
「つまり適当ですね!? 適当なんですね!?」
「うるせえー!」
言って、アルベルトは屋根から街道に飛び降りた。
街道は王宮と首都の外壁を直線で結ぶメインストリートだ。幅が広い街道には、先程の警報を聞き及んだチラホラ人がいる。
人々は見た。黒髪の少年が、寝間着姿で頭にブラジャーを被った少女を担いで着地したのをだ。まだ人通りの少ない朝方にも関わらず起きた珍事に、集まった人々は注目する。
何故二人がそのような状態なのか理解が追い付いていないためか、人々は注目はすれども話し掛けようとする者はいない。
視線を浴びたアルベルトが言う。
「ちっ、微妙に人混みが邪魔だな」
アリサの追及を中断するため、ノリで屋根から飛び降りたはいいが、このまま足止めをくらうのはマズい。
仕方ない、とアルベルトはアリサのブラジャーを剥がしながら言った。
「王女・フラァッシュッ!!」
白光が何の罪もない目撃者達の網膜を焼いた。
「ぎゃああああああ! 彼女がいるのに寝間着姿の少女に見とれていたら目が! 目が――!」
「うぎゃあああああ! 美少女の形の良いオッパイの谷間を凝視してたら目が! 目が――!」
「ぐわああああああ! 黒髪の珍しい少年を嘗め回すように観察してたら目が! 目が――!」
阿鼻叫喚しつつのたうち回る集団を満足そうに見たアルベルトは、再びアリサにブラジャーを装着した。
担ぎ直し、外壁を見据える。
「よーし世界を救う第一歩に相応しい制圧力だ! 王女フラッシュは今後とも活用して行くとしよう」
「やめてください帰してください離してください~!」
「ハハハ! 大丈夫大丈夫! そんなしょっちゅうSUSHI食うわけじゃないから! 食料が尽きたら別だけどな!」
「私を攫ったら国中から追われると思うんですけど、どうやって食料を手に入れるんです?」
「あっ……」
「うわーん! やっぱり御家に帰してください――!」
「うるせえー!」
アルベルトは走った。
アルベルトは城に侵入して王女を攫ってから五分。
首都の出口はすぐそこだ。