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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔女の条件

魔女の条件4~見捨てられたモノ

作者: 源 三津樹

※ 単語だけではありますが、女性に対して残酷な描写が入る事がございます。この後に進みたいと思われる方は承知の上でお進みください。


 さて、貴方は誰かを守っていますか? 何かに守られていますか?

 知っている事、知らない事、沢山の事が存在する。

 だけど忘れてはならない。

 貴方は存在するだけで誰かの力となり、何かの敵となり。

 また、逆であるのだと言う事を。


 城を見上げて、密かに彼女が微笑みを浮かべた事を知っているものはいなかっただろう。

 登城するにしては質素だが、立派と言えば立派だ。入っている紋章は、この付近の国が奉っている神殿のもので丈夫である事だけが取り得に見えるが、実際は見た目だけで判断してはいけないと言う事を知っている者はほとんどいない。

 彼女ですら知ることになったのは随分と時間がたってからだったのだから、そんな事を想像も出来ないだろう。この城の者達などは。

 そう思えば、長年の辛酸を舐めるような日々も溜飲が下がるとほくそ笑む。

 彼らにとっては「当然」である事が、彼女にとっては「異質」であり。

 彼らにとっては「異質」である事が、彼女にとっては「当然」である。

 ただ、それだけの話なのだ。


「わざわざ呼びつけた割りには……随分と粗雑な扱いだこと」

 城が改造や改築をしていなければ、通されたのは皇族だけが使える奥の宮殿の更に奥。

 彼女の立場を考えれば謁見の間で大々的に持て成すのは当然と言う見方もあるが、扱いに関してはお冠の様だ。

「控えよ! 皇帝陛下の御前であるぞ。お前は……」

 謁見の間に比べれば狭い、皇族の居間的な部屋だ。

 調度品は煌びやかで、何の為にわざわざこんな所に飾ってあるのかと懐かしさすら覚える。

 そこに居たのは、現皇帝と皇太子の二人。そして、豪華に着飾った女が一人。

「よい。その者は余の実祖母だ」

 耳と言うより頭に響く声だと思っていたし、化粧もきつければ無駄に飾り立てたドレスも着ていると言うよりは着られている感じがする。バカみたいに付けたアクセサリー類を見て顔を顰めそうになったが、そう思った直後に興味を無くしていた。

「え……!?」

 この国の皇帝は、すでに80を越えているのは周知の事実だ。

 その姿は髪に白いものが混じり皮膚に皺も寄っている。他の80を過ぎた老人達に比べれば遥かに若々しい様子を保っているとは言っても、寄る年波に勝てないのは確かだ。

「で、でもこの女……いえ、彼女は……!」

「そなたには関係がない、去れ」

「な……!」

 皇帝に比べれば、質素と言えるほどのシンプルな服に身を包んだ神殿の者は20代……10代と言っても差し支えないかも知れない。化粧の一つもしないから余計に若く見えるのだろう、この世界では珍しくもない黒髪黒眼をしているが、神殿の衣装で顔以外はほとんどが隠されている。

「光貴姫、貴方はお疲れの様だ。自室で休まれると良いだろう」

 城門から入った馬車は、慌て隠すように奥へと通された。

 そうして、中に乗っていた女性……と言うには幼い顔立ちをした、少女と言っても差し支えない女性を引きずり出すように。まさしく、連行するように騎士達が張り付いて護送するかの様についてくるのだから、歩き難い事うっとうしくてたまらない。

「ですが殿下!」

 彼女は、豪華に着飾った姫と呼ばれた女を蔑むような眼で一瞥してから視線を外してから二度と見なかった。

「陛下……!」

「下がれ」

「陛下……殿下ぁ!」

「姫を部屋へ送ってくれ」

 いい加減に言う事を聞かないと踏んだらしく、皇帝は目線だけで息子に急がせるように伝え。息子の皇太子はそこいらにいた騎士に姫と呼ばれた女を預けると流石に観念したのか「後ほど、教えてね?」などと急にしな垂れてくるあたりは……。

「酒場のホステスか場末の売春婦って所か……」

 ぽつりと呟かれた言葉は皇太子や皇帝の耳に届いていない事はなかったが、そのあたりについては特に何も言われなかった。

 しかし、何が面白いのか「くすり」と笑みが浮かんでいるのを見咎めるような視線を向けられたのは感じたらしく「何か言いたいことでもあるのか」と言う。笑みを浮かべたままで。

「いや……ヴァイオレット殿は変わらぬな」

「煩い、少しはましな口の利き方を覚えろ糞ガキ」

 皇太子は目を丸くして、目の前の光景を見る。

 父……とは言っても、皇太子は随分と後になって生まれた為に皇帝と皇太子の間には結構な年齢差がある。とは言っても、皇帝には多少なりとも高い魔力が内包されている関係で若干見た目の年を取り難いと言うのがあるのを皇太子は知っている。

 先代の皇帝は、もっと長く……それこそ数百歳から千歳前後まで生きたと聞いた。

 ちなみに、一般市民はせいぜい100から120歳くらいまでが寿命だ。

「口が悪いと言う話は史実に残っているが……本当に口が悪いのだな」

「生まれが悪い、育ちが悪いと言って王家とこの国が人の事を強姦未遂、拉致監禁、冤罪、強盗、暴行の上に島流しにしてくれやがった過去は忘れねえぞ」

「え……?」

 皇太子が眼を丸くして驚く姿を見て、女……皇帝にとっては祖母、皇太子にとっては曾祖母にあたると言う女性を見つめてみる。

 確かに、神殿の衣装を身に着けている割りには口が悪い。

 どうやら、皇太子が知っているのは表立って王家に頭を下げる程度の神官しか相手にしてこなかったと言う事なのだろう。

「おい、お前私の孫息子の癖に曾孫にもっとマトモな教育の一つもどうなんだ? 洗脳するにしたってこの程度じゃ後々の修正が面倒になるだけだろうが。頭使え、役立たず」

 本当に口が悪いものである。

「……少しは口の利き方に気をつけたらどうだ、私はこの国の皇帝だぞ」

 流石に、いかに己の実祖母とは言っても80超えた老人が見た目10代にすら見える女に罵られるのは面白くないと言う事なのだろう。判らなくは無い。

「それを言うなら、私が居なければお前は生まれなかったが? 年長者を敬うくらいしろ」

 いや、外見的にそれは無理です。なんて事は言えない。

 言えないが、どうやら親子揃って顔に出ていたらしい。

「手前ぇのやってきた行動に結果で今があるのに、それを棚上げして人ばっか強行してんじゃねえっつうの……今回だって来なくたってよかったんだぜ」

 ぽりぽりと頭を掻いている彼女……ヴァイオレットと呼ばれた女性は、ソファにどかっと座ってから足を組む。

 とは言っても、神殿の衣装は引きずるほど長いので足を組んでも見えたりすることはない。

「それは……どう言う意味だ……」

「はん! どうせお前らは召喚した巫女達の魔力が下がってきた原因でも知りたいから呼んだって所だろう?」

 わざわざ来てやったと言わんばかりの台詞で、テーブルの上においてあるお茶を飲む。

 本来はおく予定は無かった筈だが、ヴァイオレットが出せといったので出したのだ。

「まったく……この万魔殿は相変わらずだな。神殿の巫女相手に毒殺かよ……と」

 ふわりとカップの上でヴァイオレットがくるりと回すと、そのまま躊躇う事なくお茶を飲む。

 暖かな湯気を立てているが、口から出る言葉は物騒だ。

「お前らなあ……別に皇族の宮だからって訳じゃないけど、平然と毒入り茶出されて沈黙してるんじゃないっての。お前らの体に効くか効かないか知らないけど、これが私じゃなくてもっと違う人が相手なら一口で死ぬぞ、コレ」

 言いながら、ぐびぐび飲んでいる辺りは信憑性にかけるが。お茶を用意したメイドの顔が真っ青になっている所から間違いではないのだろう……皇帝の意を汲んだらしい騎士がメイドを取り押さえて連れ出す際にメイドが大声で何かを叫んでいたが、途中で部屋の扉が閉まってしまったので音は聞こえなくなった。

「しかも、このお茶とお菓子用意したの宰相じゃねえか……上下関係まで駄目駄目かよ、つっかえねえなあ。

 大方、さっきのバカ女に毒盛って子供できないようにって言う腹積もりなんだろうけど。こりゃメイドの暴走だな……生まれは妾腹の最近取り立てられたって所か」

 ぺらぺらとしゃべりながら、それでもぐびぐびとお茶を飲んでぼりぼりと出されたお菓子を口にしている。

 普通ならば、ほんの僅かな量を薄めた上で女性の飲ませると子供が生まれなくなる症状が出るものだが、一気に原液をまとめて飲ませると命に関わる薬であると言う割りに平気な顔をしている。

「私はねえ……少しはこういう術にも精通しているから何とかなったけど。あの子はね……ちょっと無理なのよね、だからなんだけど」

「あの子……ですか、曾祖母様」

 少しばかり皇太子を一瞥したが、それだけだった。

 ただ、その表情は良いものではない。

「ヴァイオレット……様、何かご存知であるのか」

「無能」

 ぐさりと一言の元に切って捨てる姿は、一部の女性から非常にウケがよさそうだとか頭のどこかでぼんやり考えてしまう程度には皇太子は現実を逃避したくなった。

「お前もだ、チビじゃり」

「ち……曾祖母様に比べれば大きいですよ、これからもまだ大きくなりますし」

「小さいな、身長程度に拘ってるようでは……潰すか」

 ぼそりと言われて、皇太子の米神に青筋が立ったのはともかく。皇帝は内心で大汗を掻いているのを感じており……このヴァイオレットと呼ばれている女性は、滅多に表に出て来ない割りに有言実行である事は一部の人たちには有名事実だ。正直、裏の世界では物凄く恐れられている割に滅多に出てこないものだから、一般市民には名前も顔も知られていないのが唯一の救いと言うものだろう。

「お前達、あのバカ女はもう駄目だ。使えない。

 言っておくが、こっちには寄越すなよ? 寄越したところで捨てるか売る程度にしか使えないからな」

「……巫女姫の事か?」

「バカは寝言で一昨日言え……お前達、この世界がなんで召喚術なんてやってるか知ってるか?

 所詮は無駄に洗脳されてボケた事しか詰め込まれていない、学習意欲も能力もゼロなお前達だ……どうせ知らないとか気にしないとか、生まれる前からやってたからとか、その程度の答えしか用意してないだろ? どうだ?」

 まさしく「答えられるなら答えてみろ」といわんばかりだが、一国の帝国皇帝と皇太子を捕まえて物凄い言い草であるにも関わらず答えられないのは答えに詰まったからである。

 お菓子がなくなっても注ぎ足されたポットのお茶に、皇太子は「あれ、さっき注がなかったっけ?」と思いつつも皇帝は気にならないようだ。気が付かないのか、それとも現実を無視しているのかは皇太子にはわからなかったけれど。

「召喚術はなあ……要するに人攫いの術だ。適当な所に釣り針着きの糸をぶら下げて、引っかかったら吊り上げる釣りと同じ。対象が水中の魚か、それ以外だってだけの話。そこに5って数字がつくのは、単に貴族の爵位の問題だな」

「あれ……でも、この世界における神からの賜りものでは……」

「きゃはははははははははははははははっ!

 お……おま、それ……本気で言ってるのかよ、どんだけだよお前!」

 カップのお茶を零れないように器用に平行に保ちながら、腹を抱えて笑うというのは技術が必要なものだと相場が決まっている。しかし、ヴァイオレットは涙をちょっぴり浮かべながら笑いつつ、いっそげほげほと咳をし始めていた。

 どうやら、笑いを超えたらしい。

「ああ……笑いすぎてしんどい……。

 ばっかだなあ、チビじゃり。本当に神とやらがお前達に猫の子みたいにぽんとくれるなら、なんだってわざわざこの国の魔法使い達とはぐれ神官が雇われて儀式なんてやってんだよ。言っておくけど、総本山のうちの神殿は一切宮殿や王家に関わる奴らは……少なくとも、能力が高い奴らは貸し出ししてないんだよ。呪いかけて世に放ってるからな。道をはぐれたか崩れた奴程度しか、力があって市井にある奴はいないの。判った?」

「な、なんでそんな事を……!」

「当たり前だろうが、そんな生贄をわざわざ用意してやるほど神殿(私)は甘くない。

 他所の世界から拉致って来て巫女姫なんて言ってるくせに、元の世界に戻す手段もない。一定期間の間は城で保護して、どの貴族に押し付けるか決めて、世話してやったんだから国の為に役立てって一方的に強姦させて、しかも孕ませようとする奴らなんかに勿体無いっての……そんなの自前で用意しろっての!」

 言い方は悪いが、言語さえ変えれば皇太子にも内実は理解出来たのだろう。

 皇帝など、すでに顔が真っ青になって一言も口を開くこともできない。

「そもそも論としてえ……なんで巫女姫が5人居るか判って言ってるわけ?」

 年齢が離れていても、親子なだけに首を横に振る姿は一緒だ。

「世界は四大元素と言うか……始まりの力とされているのが、お前達も知ってる通りに火、水、風、土だ。

 お前達の言ってる巫女姫って奴らは、そう言うのの操作能力に長けてる奴らって事になる。たまたま、拉致られる時に5人が側にいたから拉致ったってわけで、最初から何かすごく理由があるわけじゃない。

 ところが……だ。じゃあ、5人目はなんだと思う?」

 そんな事を言われても、神殿系に関してはあまり資料がない為に皇帝親子には何の事だかさっぱりだ。

 先ほど、ヴァイオレットが言ったように神殿はヴァイオレットが神殿に送られてから徐々に神殿からの介入が無くなっていった。各国の王にしてみれば、他所の国との橋渡しもしてくれるが事ある毎にお布施を要求してきたりして目障りな部分もあるので神殿が各国から王や貴族から手を引いてひっそりしてくれるのならば無駄が省けると思ったのも事実だった。

 ところが、目先の欲望に目が眩んだ人々は後から後悔する部分が出てくる事になる。

 つまり、常に関与しているのならば相手の出方やら何やらがある程度は何とかなるが、滅多に会わなくなった為に交渉ができなくなる。しかも、貴族や王家から要請があると神聖術や魔力を以って対抗。その為、バカ高い金額などを要求されても呑まざるを得なくなる。

 簡単に言えば、保険の契約を切ってしまった為に医療金が全額自腹みたいなことになる。

 どちらが安上がりかと言えば……実の所を言えば、なかなかに難しい話だ。

「そうだな……私も5人目だったから、よく判る。

 私は、虹香ちゃんほどの能力は無かったから、少しは自分自身の為に能力を使う事が出来る。もし、虹香ちゃんがこの国で幸せになれたのであれば帝国は数千年の繁栄を虹香ちゃんの存在と引き換えに出来ただろう。

 でも、もう帝国も僅かでオシマイだ」

「……どう言う、事だ」

 必死に搾り出した声を、いっそ哀れみさえ向けた顔をしながらヴァイオレットは言葉を紡ぐ。

「4人の巫女姫は精霊達の象徴……5人目の巫女姫は、『力の結晶体』と言っても良い。

 つまり、本来は5人目の巫女姫の体内に秘めた能力を外部へ顕現させる為の鍵が4人の巫女姫だったと言うわけだ」

「馬鹿な!」

「そおんな事が……あるんだぜい?

 お前ら歴史の勉強もしてないだろう? 神殿(ウチ)から幾ら引き上げたって言っても自治省や魔法省なんかには昔の記録があるだろうに……隠匿したか隠蔽したか、まあそのあたりはどうでも良い。

 元来、5人目の巫女姫は4人の巫女姫が能力を行使する為の……そうだな、ため池の様なものだ。どちらがどちら、と言うわけではない。ただ、4人の巫女姫が能力を使うためには5人目の巫女姫……そうだな、結晶体の姫とでも言うか? その5人目が居て初めて使えるものなんだ。

 確かに、私が召喚されて1000年以上たっているが……私は手前ぇの腹を痛めた子の事があるから最低限はこの国に心を傾けた。お前達は、私の慈悲のおかげで先代の4人の巫女姫の力を受けたってわけだ。

 とは言っても、結晶体の姫の心が向かなければどれだけ4人の巫女姫が力を行使しようとしても力は完全に使う事は出来ない。地獄の業火を起こそうと思っても力の源である結晶体の姫が居なければ、ろうそくの明かりにもならない。

 ま、私の時代のやつらがどれだけ知っていたかは知らないけど……少なくとも、私をハメて神殿送りにして腹の子を取り上げる程度には鬼畜だったからな。この国をどれだけ呪いたかったことやら……」

 にわかには信じられない事を聞いてしまったのは、この国の皇帝と皇太子。そして、僅かに配置された信用ある護衛騎士だ。他にも数名の文官と武官が居るけれど大方の者は話している言葉の意味が判らないらしくきょとんとしているので皇太子は本気で代わって欲しいと思った。

「……という事は」

「お前らが無能姫と呼んでいた虹香ちゃん……彼女にだって幸せになる権利はあるんだよ?」

 今回呼ばれた、5人の巫女姫。

 それぞれ、先ほどの光貴姫と呼ばれた娘を筆頭にそれぞれ美しさを誇り。また使える能力も高かった。

 慣例に従い、それぞれの貴族に下げ渡されると言う事になって光貴姫は現在の皇太子妃筆頭候補だ。何しろ巫女姫だから他の有力貴族などよりよほど立場は有利だ。

 その中で、たった一人だけ能力が使えない姫が存在した。

 元の世界では仲原(なかはら)虹香(にじか)と言う名だったが、発音できなかった人々は「無能姫」と呼んでさげすんだ。巫女姫達も元々は知っている者ではなかったから蔑む事はなかったのだが、光貴姫と呼ばれた榎木(えのき)貴子(たかこ)が貴族達にすりより、一人能力が開眼しなかった虹香を無能扱いしたのが始まりだった。

 でも、今のヴァイオレットの言葉が真実であるならば……無能姫は、虹香は「開眼しない事こそが能力」と言う事になる。

「無能姫……彼女は、今どこに……?」

 声を絞り出したのは、皇太子も同じだ。

 何しろ、当初は無能であっても虹香と共にある事を考えていたのだ。

 知らない世界へ浚われ、貴族の世界にあって変わって行った他の姫達に比べて虹香は前向きで。けれど、諦めたくないと、いつかもとの世界へ帰りたい……それが叶わぬなら、せめてこの世界を見て回りたいと強い瞳で語った虹香は、顔こそ平凡的な日本人顔ではあったけれど強い意志と瞳をしていた。

「おや、気になるのかい? お前達が苛めて苛めて蔑んで、あげく殺そうとした娘を?」

「そ……れは……!」

 最も能力の行使に長けていた光貴姫は、恐らくプライドの高い女なのだろう。

 始まりは噂的な感想で、能力が開眼してからは巫女姫の頂点に立とうとし、実際に頂点に立っていると本人は思っているだろう。皇太子妃になるには少し年上ではあるけれど、所持している魔力量が多ければ年齢差はさほど気にするほどではない。数百年単位で生きる人から見たら何十年程度の年の差ならば、そんなものは気にするほどの大差ではない。

「ですが、巫女姫達の事は異世界から現れた彼女達自身の間で片付けるべきだと……」

「後宮ならね、それもあったでしょう。でも、それはあくまでも後宮が開いていて正室と側室が存在すればって話であって巫女姫達はお前達の道具じゃない。生きた人類だって知ってた?」

 でも、行使する事に長けていた光貴姫は次第にメイド達や下男を使って虹香を追い詰めていった。

「諌めるようには言った」

「ばっか、お前が謁見の間で台本に書かれた台詞言ったってバカ女が聞くわけないだろうが。

 侍女もメイドもバカ女に仕切られて『我こそが未来の皇帝妃だあ』なんていってるんだから、しかも巫女姫で一番怒らせると罰が厳しいんだぜ? 一般の貴族の女が逆らうと思うわけ? 普通の娘さんに逆らえって?

 出来ると思う?」

 最初は、それぞれの姫に宛がわれたメイドや調度品をこっそり取り上げる程度だった。けれど、そうやって虹香の周りに人が調度品が無くなって行き「無能」である事が知られてゆくと明らかに嫌がらせが始まる。

 特に、何の能力も開眼する事のない虹香を皇太子が気にかけていると言う事が一番怒りに火をつけた。

 無能だと見かける度に言い、それが人々に流れてゆく。

「無駄に報告だけ上げられても『そのうちなんとかなるだろう』とか言って放って置いたお前達がやった事は、あのバカ女がやった事と対して変わらないっての!

 神殿(うち)が引き取るの言わなかったら、今頃この国はほとんど潰れてたね!」

 何も出来ないからと言って、無駄に生きていると言って。

 虹香が必死に、何も出来ないなりに嫌がらせを受けても耐えていたのは単に言われた事が事実だから受け入れたのと。その事で王家が動かなかったからだ。少なくとも、皇太子も皇帝も内実は知っている筈なのに、光貴姫の暴走とも取れる皇太子妃であるといわんばかりの態度も。虹香を擁護するでもなく追い出すでもなく放置して置いた事もよくなかった。

「それは……どう言う……?」

「さっきも言ったけど、5人目の結晶体の姫は4人の巫女姫が能力を行使する為の原動力。んで、5人目の姫だって使われたから誰にだって能力を使わせてくれるわけじゃない。結晶体の姫の思う相手、愛する相手、心の向いた相手の為に能力は使われる。4人の姫が外に向かう能力であるなら、5人目の姫は体の内側に向かう能力と言っても良い」

 でも、事件は起きた。

「この国が今まで何とかなっていたのは、同じ結晶体の姫である私がこの国を少しは思っていたから。

 血肉を分けた、生まれた直後に腕に抱く事もなく取り上げられた我が子の事を思っていたからに過ぎない。もう孫もでかくなったし、曾孫も可愛くないけど大きくなったし、あとはお前達が自分で何とかしろ? 神殿(私)はどっちにしても手出さないからな?」

 嫌がらせを受けていた虹香が中庭の池に落とされた際に、宮殿内から全ての水が消えたのだ。

「ちょっと待て……それは、どういう事だ?」

 光貴姫は最初に叫んだのだ「これは無能な姫の存在が興した呪いだ」と。そんな事、ある筈もない事は誰もが知っていたが、無能姫な虹香を擁護する様な一言でも言えば後宮で生きて行く事は出来ないと判っていた。

「と言うより、なんだってそんなに詳しいんです?」

「んなの、この国と言うか各国をスパイしてたからに決まってるじゃん。神殿舐めんなよ?

 この国程度の結界なんぞ、幾らでも透視できるからな? 勿論スパイも混じってるけど。

 いやあ……虹香ちゃんを死なない程度に守らせるのって大変だったわあ。あのバカ女、結構情け容赦なく虹香ちゃんの事をえぐる様にいじめてたからな! 下手すると強姦輪姦当たり前、そのうち権力持ったら虹香ちゃんを売春宿に売って収益を吸い上げる気まんまんだったぞ、女は怖いな!」

 水を司る巫女姫にも全く理由が判らず、他の巫女姫も恐慌状態に陥り、当然の事ながら光貴姫や使用人たちも驚き叫び声を上げて、初めてようやく王家は虹香が死に掛けている事を知った。

「なんて地味な……だが、恐ろしい……」

「それは……事実、なのか?」

「出入りの商人に娼婦一人売りたいって算段付けてたからなあ……すでに何人か下働きの子売り払って手に入れた金で新しく宝石買ってたし? この間、もっと金寄越せって言われて却下しただろう?

 虹香ちゃんの分の金もがめてる癖に、がめついね!」

 流石にやりすぎである事もあって、光貴姫は口頭で注意をされたが自分自身こそが被害者である。この無能姫は災厄しかこの国には運ばない、中庭の水が全て干上がったのが証拠だといわんばかりに叫んだのである。

 どうする事も出来ないと事態を重く見た王家が困っていた……あくまでも5人の巫女姫は神からの賜り者であって無能力者であっても殺すには対面が悪かったからである。そんな時に、折りよく偶然宮殿に滞在していた神殿の関係者に5人目の巫女姫を預かって欲しいと言い出し……意外なことに、その依頼は快諾された。

 ろくな栄養も与えられず、たいして休息すら取れず、粗末な服のままで着替えもなく、与えられていた部屋は取り上げられ物置部屋に押し込められ、しかも通りすがる者達は口々に嫌味を上げ、すれ違う度に痛めつけ、それで「無能なんだから働け」と押し付けられた下働きの仕事が遅れれば虹香のせいにされた。

 もし、池に落ちた虹香がそのまま水の中に浸かっていたら今頃は命がなかっただろう。

「そんな……まさか、そこまで……」

「でも、皇帝は知ってたよ? 皇太子ににはそこまで話が行かないようにしてたけど」

「父上っ?」

 膝の上で、握り締めた手は白くなっていた。

 全てではないだろう、その情報を入手していた事は見ての通りだ。

「流石に殺すところまで行くとは思わなかったから基本放置だったんだろうけど……どっちもやりすぎたね。

 だから、私は腐ったお前達を許さない。虹香ちゃんには幸せになってもらう。

 お前達は、あと何年持つかな?」

「どう言う……事だ……!」

「お前、もしかして皇帝がなんでもかんでも許されると思ってるんじゃねえだろうな?

 虹香ちゃん強姦しようとして失敗したからって、バカ女が何しても『死んだら別にいっかあ』的なつもりで居たなんてナンセンスも良い所なんだよ」

 言われて、皇帝はショックを受けた顔をする。

「父上っ?」

「あ、言っておくけど他の巫女姫達はもう食った後だからね?」

「曾祖母様っ?」

「どうせ、他の重鎮達に『これは代々の慣例ですから』とか『せっかくですからたまには違うものを』とか適当に言いくるめられたんだろうけど……お前、その年でまだ子作りするか!

 んで、子供が出来たのは他に三人の巫女姫達は他の貴族に下げ渡し。バカ女が孕まなかったのは他の貴族から差し入れられた子供が出来ない薬入りのお茶を飲んでたから。都合の良い事に、このお茶って女にしか効かないから性質悪いよね! おまけに、あのバカ女初めてじゃなかったし!

 まあ、だから虹香ちゃんで口直ししようとしたんだろうけど? 虹香ちゃん襲いに行った時にはもう、調度品とかメイドの事とか知ってたもんねえ、鬼だよねえ、悪魔だよねえ、鬼畜だよねえ、お前の大叔父さんとジジイそっくりだね!」

 ケタケタ笑っているヴァイオレットではあったが……皇帝親子は、初めて知った。

 彼女は、ヴァイオレットは心底怒っているのだと言う事を。

「よかったな、皇太子! お前の弟妹がまた増えるぞ!」

 最も皇太子妃に近いとされている女は、80を越えた父親のお手つきで。しかも、すでにこちらの世界に渡る前だったのか、渡った直後だったのか初めてではなくて。

「しかもさあ……『彼女達に任せた』とか言う理由が『夜這いかけ損なった逆恨み』ってスバラシイ鬼畜さ加減だよね!」

 こうなると、もう己の父親と妃にと望まれている女性のどちらを恨めば良いのか皇太子には判らない。

 ついでとばかりに、ヴァイオレットは他の三人の巫女姫を相手にどんなやり方をしたとか、どんな風に苛めたとか、どんな言葉を吐いたとか全てさらしてしまったのだから皇太子は魂が抜けるのを感じた。

「それで……無能姫は、今。どこに……」

「あん? お前なあ……口の利き方がなっちゃいねえって言っただろうが?」

 ぶるぶると震えながら、羞恥なのか怒りなのか判らない青黒い顔色の皇帝を見ながらヴァイオレットはにやりと笑いながら答える。

「今頃は幸せになってるんじゃね?」

「……どういう、事だ!」

「虹香ちゃん、惚れた相手が出来たから巫女扱いで還俗させてあげて。今頃は幸せの旅に出てるよ」

 がたんと立ち上がった皇帝親子は、事の重要性を始めて認識したらしい。

 と言うより、実感がわくのはこれからだろう。

 ヴァイオレットは、一人ほくそ笑む。

「衛兵! 無能姫を捕らえよ! 一歩も神殿から……この国から出させてはならぬ!」

 我慢出来なくなったらしい皇帝は、泣く子はもっと泣き出しそうな顔をしながら勢い良く部屋を出て行った。

 けらけらと笑い続けているヴァイオレットは、長椅子に転がりながら器用にお茶を飲み続けている。

「あれ、お前はいかねえの?」

「……曾祖母様、ヴァイオレット様」

「なんじゃい」

「どうして、今頃そんな話をしてくれるんですか?」

「ああ……復讐かな?

 そのうち勉強すればわかる事だけど、さっきも言った通り巫女ってのは元々いた世界から拉致られてこの世界に来る。元の世界に返す技術もなく、探すつもりも無いくせに、拉致ったあげく自分達の為に死ねってこの世界の奴らは言う。しかも、元々は違う世界に居たからこの世界に固定する為にって大義名分で強姦する事も普通。

 大抵は、大貴族か王が手を付ける。私はお前の曾祖父である先代の王が相手で、虹香ちゃんは何とか免れていた。その事も結晶体としてですら開眼しなかった理由のひとつでもあるんだけど……お前も知ってる通り、神殿はこの国から行くには数日かかる。そして、神殿には幾つかの抜け道がある。

 この国だけの問題じゃないけど、私と言う加護を失ったこの国の次の加護を与えてくれる存在が虹香ちゃんだった。私はもう、孫の代以降になるお前達に関してはほとんど興味がないと言っても良い。

 自分で腹を痛めた子供は一度も抱く前に取り上げられ、一生を洗脳されて私を恨んだまま生涯を終えた。一応は善政を敷いたことになってるから良いけど……そうなると、もうね。育ての親がアレだったからマシな育ち方をしたとは思うんだけど」

 ヴァイオレット曰く、神殿には沢山の直通道路がある。

 国は王都以外はほとんど整備をしないので、各村や町が基本的に整備を行っているので、直通道路や専用道路を作製、優先的な使用をする事で神殿が地方の道路を作っていることは多い。

 虹香が神殿に預けられて回復して行き、そのうちに出入りをする小隊の中に居た冒険者と恋仲になった。

 虹香は神殿にお世話になっている身の上だし、と言う事で行けないと言ったが相手が情熱的な地域の人だとかで努力と根性だけで虹香を求め、それがヴァイオレットの耳にまで入ったから……。

「虹香ちゃんをプレゼントしたくなってねえ……頭の悪い孫と、出来の悪い曾孫が迷惑をかけた。

 もう、虹香ちゃんは十分苦しんだ。自由になってもいいじゃないか?

 この国は数百年と立たずに滅ぶ事になるが、それは当然の事だ。こんな事が数千年続いただけでも良しとしなくちゃいけないんだよ。お前達自身が平和に暮らすためだけに他所の世界から娘さんを攫って殺してしまうなんて……そんな事で栄え続ける国なんて、私は認めない」

 つと、姿勢を正したヴァイオレットが曾孫に向かって言う。

「良いかい、皇太子?

 私も5人目の姫の一人だった。私の力は虹香ちゃんほど強くなかったから、少しくらいは自分自身の為に使えるけれど、それでも誰かを思って、思ってくれる相手が使ってくれる力は何倍だって強い。

 私が植木すみれと言う名前だった頃、私は色々な目にあった。その事を忘れるつもりはない」

「ですが……曾祖母様、こうなる前に教えてくださってもよかったのではないですか?」

「甘いね、皇太子……言った所でお前達が耳に入れるわけはないだろう?

 第一、私は皇帝が変わったことすら知らされず。登城する事さえついこの間まで許される事はなかった。

 そんな私が、一体どうしてお前達に何かを言う事が出来る?

 お前見たいなバカ女に騙される程度の無能な曾孫が居るって言うのに、どうやって直接攫う以外の手立てが使えた? 逆に聞きたいね」

「……言葉もありません、ヴァイオレット様。

 でも、一つだけ……もし、ニーカ姫に会うとか連絡がつくような事があれば……私は、本当に貴方に救われていたのだと伝えてくれませんか?」

「お前達……相変わらず日本人の名前が発音できないんだね……。

 どっちにしてもごめんだよ、そんなのお前が自分でやりな」

 ヴァイオレットの言葉は、きつい。

 きついけれど、色々と打ちのめされた皇太子の神経はそろそろ麻痺に近い。

 だからと言うわけではないけれど、少しきついと感じる程度しか判らなくなっていた。

「今、ニーカ姫はどちらに?」

「さあ? 海の向こうじゃないか?」


 ある所に、ある国があった。

 周辺諸国と共に最も崇められている神殿には、(よわい)数百年を越えて生きる化物とも聖女とも呼ばれる存在が伝説として残っている。

 かつて、近隣では最も勢力を誇っていた国は突如として勢力を失った。

 その国には伝説があり、神に見守れた証である5人の巫女姫が降り立つというものだった。

 だが、ある時期を境に巫女姫は姿を消す。

 国としての力を失い、解体され、姿を失い、いつしか国があった事さえ伝説になった頃。

 その場にあったものと言えば、かつて城があったと言う遺跡だけだと言う。


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植木すみれ=ヴァイオレット

先代の5人の召喚者のうちの一人。

この世界に気まぐれに起こるといわれている天変地異を沈める為に呼び寄せられた5人の巫女姫の一人にして、5人のうち唯一の「力の結晶体」でもある。その体内に内包されている魔力は絶大で、先代の結晶体が力尽きる前に次代の結晶体が呼び寄せられる事を歴史を調べて知った。しかし、時の王子と恋仲にあったが皇帝と皇弟に手を出されそうになった所を拒絶された事を恨みに冤罪を着せられて腹に子供がいたが神殿へと半ば追放され、生まれた子供を取り上げられた、ある意味で悲劇の女性。

己が過ごしてきた人生に対して王家に恨みを持っている事と神殿と王家に主従関係がないにも関わらず「王からの要請がない限り一切の接触を禁ずる」と命じられている。神殿に半ば引きこもりに近い監禁だったが逆に神殿を王家に気づかれずに掌握。情報は全て握っていたりする。

長い間を神殿で過ごしてきて、実際の所を言えば数百歳前後だが未だに二十歳にも見えないと言う脅威の童顔。と言うより、内包していた魔力の強さにより成長が止まっている為に神殿では近隣諸国への影響力は絶大なものとなっている。



仲原虹香なかはら・にじか=無能姫

近代の5人の召喚者のうちの一人。

外見も元の世界での立場も極ふつーの女の子。5人のうち最年少の中学生。

すみれと同じ結晶体型だが能力はべらぼうに高かった為にわずかでも己の為に能力を発動させる事が出来ない、所謂「電池タイプ」の能力者であり、彼女が産み落とす子供は史上最強の能力者になる筈だった。ただし前述の為に自らの意思では欠片も力を使う事が出来ずに神殿に預けられていたが、すみれの幇助により恋した男と己の能力を知らずに海外へ旅立った。その為、技術型の能力者である夫と共に幸せな生涯を過ごす事が決まっている。



榎木貴子えのき・たかこ=光貴姫

虹香と同じ5人の姫の一人。22歳で大学生。

光や炎系の能力が得意で元の世界でも金持ちだった為セレブ志向が強く浪費癖がある。

虹香を無能と率先して罵っており、顔立ちもこの世界で受け入れられ易く人に取り入るのが上手いが格下と認めた相手への辺りはものすごくきついと言う、ある意味判り易い存在。

王家へと擦り寄っていたが、巫女としての能力が格段に減って来た為に苛立ちを隠せず侍女達に八つ当たりをする為にすこぶる評判が悪い。

最期は皇帝にも皇太子にも見捨てられて適当な貴族の下へ下げ渡されるも不満。巫女姫としての能力を失い恨みながら没年は寂しく死ぬ事となる。



皇帝

86歳。すみれの孫息子で、ある意味わかりやすい為政者。

祖母の事は人伝手にしか聞いておらず、会いたいと思っていても周囲に止められていた為に初めて邂逅を果たすも感慨はない。

この年で夜這いをかけようとして逃げられたことに腹が立って貴子が虹香にしていた嫌がらせを止めなかった為にすみれから怒りを買ってしまう。最終的に帝国が滅ぶまで生きていたあたり生命力が強い。



皇太子

すみれの曾孫息子。15歳。お金持ちのおぼっちゃまよろしく育てられたが、意外と行動力があったので曾祖母の存在を知って会いに行くと言う事もしていたのは、単に他に色々な意味での兄弟達が沢山いるからである。もっとも、彼らも権力争い等で半分以上は自滅した為に欲しくも無かった皇太子の座が転がり落ちてきてしまったので辟易していた所を虹香に会って癒されたが、虹香が無能である事や貴子にころっと転がされた為に目が眩む。

そう言う意味では超残念な王子様。

すみれとは割と仲良く喧嘩するタイプだが、最終的に自業自得で皇帝の座について子供に権力を譲った後は普通に静かに眠りに着くことになる。


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