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王様! 漁夫の利ですよ!

〔王様! 朝ですよ! 今日も頑張りましょう! ……と思っていた時期が迷宮にもありました!〕


「おはよう……って、何を言い出してるんだ?」


〔侵入者を確認しました!

入り口から侵入! 数は9体です!

迷宮は交戦状態に移ります!〕


「…………おぉ?」


身体を起こし、傍をちょこちょこと動いているマオにも挨拶をして、頭を撫でていた僕は迷宮の言葉に変な声で返してしまった。

……まだ頭が働いていない。


拳を握り気合いを入れる!

……マオは真似しなくていいんだぞ?


「迷宮! 侵入者の情報表示を頼む!」

〔了解しました! 侵入者の情報を表示します。

ゴブリン 7体

戦術評価 20

魔術評価 2

技術評価 16

思考評価 14


ゴブリンウォリアー 2体

戦術評価 34+3

魔術評価 3

技術評価 18

思考評価 15

以上です!〕


「ゴブリンたちだな……」


〔はい!

見張り役がいなくなったので再びやって来たのでしょう〕


「ゴブリンジェネラルがいないのは残念だが……迷宮パワーのためにも全滅してもらうぞ」


〔殲滅戦ですね?〕


「あぁ、2階層の大部屋に全員集合させて階段を降って来たところを包囲殲滅しよう」


必ず通る通路に射槍壁を設置したこともあり、1階層は階段部屋と大部屋だけしか防人には徘徊させていない。

そのため交戦状態に移って直ぐに戦闘! にはならない。


……余談になるが、射槍壁をどんな物かと見に行ったが……凄く分かりやすかった。

迷宮の話では、思考評価が30以上ぐらいだと簡易の名を持つ罠には、絶対とは言わないが掛からなくなるらしい。

……あれでは仕方ないだろう。




全防人が2階層での待機を終える。

マオも戦うと意気込んでいたようだったので、同じく待機してもらっている。

マオには危なくなったら直ぐに逃げるようにと言い含めている。

希少なギフト持ちだと言うのを差し引いても、マオには愛着が湧いている。

マオとの生活は僅か数日だが、ちょこちょこと僕の傍を動き回る姿を愛らしく思う。

気をつけてな?

そう思いながら大部屋に向かおうとしていたマオの頭を撫でると、いつものように両手を上げて、ぴょこぴょこと跳ねて行った。




迷宮パワーが2増えた。

射槍壁でゴブリンが1体倒れたようだ。

残りは8体か……余裕だな。包囲陣形での迎撃に因る一斉攻撃が出来る状況に加え、更にこちらは数が倍以上……。


〔王様!?

更に侵入者が現れました! 数は4体です!〕


「何!? ゴブリンの増援か?」


迷宮の言葉に、勝てると喜んでいた僕は驚きを隠せなかった。


〔直ぐに情報を表示しますね……。

ウォルグ 4体

戦術評価 25

魔術評価 8

技術評価 42

思考評価 16

以上です!〕


ウォルグとは狼に似た魔物で、後ろ足だけで立ち、鋭い爪と牙を素早く繰り出して相手を攻撃する。

それだけでも脅威だが、一番厄介なのは遠吠えである。

自分たちが苦戦すると、遠吠えに因って近くの仲間に助けを求め、数で圧倒してくるという魔物だ! ……と、迷宮に説明してもらった。


「戦術評価以外はゴブリンウォリアーよりも強いな……」


〔そうですね……。

あの速さからの攻撃は大変強力でしょう。

……ですが、一番厄介な遠吠えは迷宮内では迷宮外の仲間まで届きません。

尤も……迷宮の内外にいるウォルグが、お互いにとても近いところにいましたら分かりませんが……それほどまでにお互いが近ければ、一緒に迷宮に侵入して来ているはずですので、やはり遠吠えに因る増援の心配は必要無いですね!〕


「鋭利な攻撃と速さに加えて数まで増やされたら、かなりの被害を覚悟しなければならないからな……。

それだけでも嬉しい情報だな」


迷宮が表示する迷宮の地図の上で、ウォルグと思う印が入り口から奥に向かって動いて行く……。


……速いな!


ウォルグの印はとてつもない速度で、迷宮内を進んで行く。

連携も出来ているらしく、4つの印は同じ距離感を保ち続けている……。

ゴブリンたちの印は、階段部屋前の大部屋の北側――階段部屋への通路に差し掛かっている。

そこに、ウォルグの印が合流する……。


……どういうことだ?


通路に差し掛かったゴブリンたちの印が、大部屋に戻って行く……?

ゴブリンの印とウォルグの印が、大部屋の中で絡み合っている。


意味が分からずに呆然と印を見ていると……印が1つ消え、

迷宮パワーが2増えた。


……まさか!


「迷宮! 僕は魔物について全然知らない……だから教えて欲しい!

魔物は……別種では……争うのか?」


〔はい! その通りです!〕




「魔物は互いに攻撃する……のか?」


地図を眺めながら、もう一度迷宮に尋ねる。


〔はい! 魔物は互いに攻撃します!〕


「だが……別種とはいえ、同じ魔物だろう?」


〔えっと……人間も同じ種族で争いますよ?〕


「いや、そうだが……」


〔分かり難いかも知れませんが、魔物たちも人間と一緒で、お互いに共通の敵がいましたら協力します!

ですが、今回のような場合はお互いが同じ獲物を狙っています。

そのため、邪魔者として倒そうとしているんですよ!〕


「……何と言うか、人間臭いな……」


〔結局、どちらも『生物』ですからね。

一番大事なのは自分たちですよ〕


「はぁ~……。

奥が深いと言うか、僕が無知過ぎると言うべきか……」


〔その分からないことを、迷宮が知っている範囲で王様にお教えするのが、迷宮の役目ですよ!

ど~んと聞いて下さい!〕


「…………あぁ!

これからもよろしく頼むな?」


〔お任せ下さい!〕


僕と迷宮が話し合っていた間にも、戦闘は続いていたようで、印の数が6つに減っていた。迷宮パワーが18増えた。

……まだ、命令を出さない。

暫く経つと更に印の数が減り、1つになった。迷宮パワーが26増えた。


「全防人! 1階層の侵入者に突撃だ!」


1つの印に向かって19体の防人が突撃する。暫くすると迷宮パワーが10増えた。

防人は1体も減ることなく、侵入者を殲滅したのだった……。


〔侵入者の全滅を確認しました。

交戦状態を終了します!

漁夫の利ですね?〕


「良し! 一番良い勝利方法だったな。

人形とは言っても極力死なせたくは無いからな」


マオ以外も何だかんだで愛着が有る。

お伽話の勇者のように、死なせない! などと馬鹿なことは言わないし、死なせてしまったら死なせてしまったで割り切るけど、死なせないで済むならそれに越したことはない。

自分のために頑張ってくれる者が死んだら、やはり悲しいからね。




その後は、いつも通りに戦利品をかき集めてもらった。ゴブリンウォリアーたちの戦利品である銅の剣2つと、革の鎧2つ。それと、ウォルグの戦利品であるウォルグの鋭牙を4つ。

剣と鎧はストーンマリオンたちに装備させて、そのストーンマリオンが持っていた木のこん棒をウッドマリオンたちに装備させた。

……ウォルグの鋭牙は何に使えば良いんだろうか……?

魔物の素材って売るんだよな?

今度街に売りに行こうか……。いや、途中で魔物に襲われそうだから止めておこう。


……街か。

そういえば、僕が薬草を売っていた道具屋の娘さんは元気かな……。

若いのに一人で頑張っていたからなぁ。

元気だと良いな。




考えに耽っていた僕は、考え始めてから数分後に、いつも通りに僕の周りをちょこちょこと動くマオに気付き、その後、マオとストーンマリオンとウッドゴーレムを連れて、迷宮の近辺に採取に向かったのだった。




……マオ? どうして集めた物は全部毒持ちなんだ?







迷宮情報 5日目

迷宮評価 5

迷宮パワー 110 毎日+10

迷宮コスト 11

迷宮階層 全2階

迷宮部屋数 全7部屋


防人一覧

マオ ストーンマリオン

ウッドマリオン 10体

ストーンマリオン 6体

ウッドゴーレム 2体


罠一覧

簡易射槍壁 10個

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