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王様! 出るに出られないですよ!

〔王様! 朝ですよ! 今日も一緒に頑張りましょう!〕


迷宮の元気な声にも慣れてきた……。


起き上がるとマオがいた。

……じっとこちらを見ている。

目は無いが、顔をこちらに向けているから僕が見えているんだろう。他のマリオンやゴーレムたちもこっちに顔を向けていたな……。


「おはよう迷宮、おはようマオ」


〔おはようございます! 王様!〕


「…………♪」


小屋で1人暮らしだった時は挨拶をすることが無かったこと、昨日までは反応しそうな相手が姿の無い迷宮だけだったことから、挨拶をしていなかったが、マオがいたため何となく挨拶をする。


迷宮からは元気な声が返ってきた。

マオは話せないが、両手を上げて万歳をすることで挨拶を返してくる。

…………上手く言えないけれど、何となく良い気持ちになった。




「良し! とりあえず、食料と水、素材を集めに行ってくる!」


〔頑張って下さい!〕


「……!」


迷宮の言葉と、マオの胸の前辺りで手をグッと握る動作……ガッツポーズ? を受けて迷宮の外に向かう。

自分の飲食物はもちろんだが、素材も集めなくてはいけない。

迷宮コストなどを考えると、余り防人が増やせない。

そのため、もう一つの方法で侵入者に備えなくてはならず、その方法に素材が必要だ。




迷宮の出入り口の扉を開けて……直ぐに閉める!


〔???

王様? どうしました?〕


「……?

……♪」

迷宮の外に行かなかった僕を不思議に思う迷宮の声と、出入り口近くまで見送りに来ていたマオが出迎えてくれる。


マオ……違うからな? 帰って来たわけじゃないぞ……。


お帰りなさいと(出てもいないんだが)言わんばかりに、僕の周りをちょこちょこと動くマオの頭を撫でる。……ちょこちょこ動きにぴょこぴょこ跳ねるが加わった。


昨日の今日でマオの感情的な意味での成長が目覚ましい! ……名前を付けたからか? まあ、良いことなので気にしないことにする。


「いや、行きたいんだがな……。

外の茂みにいるんだよ……」

〔何がです?〕


「……ゴブリン」


〔……見張りですかね……?〕


「恐らく……な」


どうしよう……。




あれから、もう一度扉を開けてゴブリンのいる場所を観察すると、見えたのは2体だった。

幸い、距離の問題か扉が有ったからか、ゴブリンたちはこちらを見るだけで向かっては来なかった。

……代わりにマオが、僕が困っていると感じたのか銅の剣を右手に持ち、ゴブリンたちに向かって突撃しようとしたが、出入り口で何かに当たり、ポーン! と音がしたかのように綺麗に迷宮内に跳ね戻って来た。

……やっぱり防人はまだ、外に出られないらしい。


どうしようも無いため、一旦寝室に戻って考える。


「そういえば、僕がいない状態では迷宮はどうなるんだ?」


仮にゴブリンたちに迷宮の外で襲われても、逃げれば良い。

迷宮パワーは僕の中に有るはず、迷宮を放置しても問題は無いんじゃないか?


〔最初にご説明した通り、王様がいない状態でも問題は有りませんが、防人はともかく迷宮は何も出来ませんので、王様が帰って来たら魔物の巣窟になっていたりしますよ?〕


「それじゃあ、駄目だな。帰る場所が失くなるのはまずい。

どうしたものかな……」


〔……困りましたね〕


「……」


仕方が無い……。

迷宮変化で迷宮評価を5まで上げよう。


昨日の交戦で、戦闘でも迷宮評価が上がることが分かったから、『今は』迷宮変化よりも戦闘で上げたかった。理由としては、昨日の交戦で迷宮パワーをかなり消費してしまい、現在の迷宮パワーが乏しいからだ。

迷宮コストが怖いが、防備のために防人作成で最低でも5体、ウッドマリオンなら10体は必要だ。

更に、もう一つの対処方法である罠も作成したい。設置するため交戦状態では動かせないが、迷宮コストが無い分迷宮パワーに優しい。


防人と罠、二つ合わせれば必要迷宮パワーは少なくとも、20~30は必要になる。

それに加えて、迷宮変化をしてしまうと、迷宮パワーが三桁を下回るはず。

迷宮評価が1から2に上がった時に使った迷宮パワーが、確か……17だったはずだから、3から5に迷宮変化させるには、単純に考えても40は必要だろう……。

合わせて70は必要になる!

余りにも厳しい……。しかし、外にゴブリンがいてどうしようもない今! 迷宮変化をやるしかない!




「迷宮変化!!」


〔迷宮を変化させます! 王様、どうしますか?〕


東西の部屋から更に通路をのば〔あっ! 王様! 無理です!〕……し。

「…………何故だ? と言うか、考えを読むな」


〔迷宮変化の間に想像したことだけは読めますよ。

読めなければ変化出来ませんから〕


「そうか……そうだな。

それで? 何故無理なんだ?」


〔迷宮の領域が狭いんですよ……。

ですので、これ以上は拡げられません!〕


「何だそれは……。

迷宮なのに、こんなにも狭いのか……。

ん? 迷宮? そうか!

下に拡げるんだな?」


〔はい! 今の迷宮評価ならば、地下3階まで作成可能です!

更に! 1階は地上ですので領域が狭いですが、2階からは今の倍は拡げられますよ!〕


「良し! なら、2階層を変化させよう!」




2階層への階段は、今の寝室に設置する。迷宮の規定? のような物が有るらしく、各階層を繋ぐ階段は大きめでなくてはならないらしい。

理由は迷宮自身も分からないようだ。具体的にはマリオンたちが、5体で手を繋いで横に並んでも通れる大きさだ。

そのため、寝室は階段部屋と言った方が良いぐらいに階段しか設置出来なくなった。


2階層の階段は降りたら、1階層の大部屋と同じぐらいの大きさの大部屋の中央に来るようになっている。

2階に降りたら直ぐに、防人に囲まれている! と言う状況なのである。

その大部屋から伸びる通路は一つだけにする。その通路からは迷路のように枝分かれさせる。

僕は迷宮によって地図が直ぐに見えるし、防人たちには僕が命令を出せば良いから、2階層は文字通り巨大迷路にした。


2階層を纏めると、北側に(1階の階段部屋が北だから)大部屋があり、大部屋の南に通路がある。

その通路から数十以上の通路に枝分かれして、枝分かれした通路の一つだけが、2階層にある新しい寝室に到達出来る!

……迷宮パワーが貯まったら、その迷路に大量の罠を仕掛けよう!

罠で弱ったところを防人で攻撃する!

……何だか凄く迷宮っぽい!


2階層はこれで良いだろう!




〔部屋に必要な迷宮パワーは6です。

通路に必要な迷宮パワーは32です。

合計で必要な迷宮パワーは38ですが、変化させますか?〕


……防人も罠もまだなのに、二桁を切ってしまった!

……ゴブリンジェネラルに切実に来て欲しい! 今の状態では確実に負けるだろうけどね!







迷宮情報 4日目

迷宮評価 5

迷宮パワー 95 毎日+10

迷宮コスト 7

迷宮階層 全2階

迷宮部屋数 全7部屋


防人一覧

マオ ストーンマリオン

ストーンマリオン 6体


罠一覧

無し

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