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王様! 考えることがいっぱいですよ!

「……何とかなったな」


〔そうですね……。

王様……その……申し訳ありません〕


「うん? いきなり何だ?」


〔マリオンとゴーレムたちでも大丈夫と言って直ぐに、このようなことになってしまいました……〕


……今回の侵入者たちが、かなり危険だったことを迷宮なりに気にしているようだ……。

だが、僕からすれば、ゴブリンの住み処が近くに在っただけのことで、迷宮は外の状況を知らなかっただけだ。迷宮に迷宮外のことで責めるのは可笑しい。そんなこと、考えなくても分かる。


「迷宮の外のことで、迷宮を責めるのは違うだろう?

むしろ、交戦中の助言や補佐を感謝している、ありがとう」


〔…………!!!

うぅー! 王しゃまー!!

優しいお言葉、ありがとうごじゃいましゅ!!〕


な、泣き声!?

……迷宮って泣けるんだ……って言うか、この迷宮ってやけに人間くさいよな……。他の迷宮もこんななのかな……?

……想像したら怖い。


〔こ、これかりゃも、頑張りましゅ!!〕


「よ、良し! そ、その意気だ!

一緒に頑張ろう。

……それより、今回の交戦で問題が出てきたから、その問題を潰していこう……」


〔ぐしゅぐしゅ……うー。

……問題ですか?〕


「あぁ……まずはこいつだな」


僕が指差す先には、7体のストーンマリオンがいる。

その中の1体……、あの不思議なマリオンについてだ。迷宮の話では、人形族は評価が変化しないらしい……。

だが、あの不思議なマリオンは評価が上がっていた。

とりあえず、調べるために不思議なマリオンを呼ぼうとして…………どれがあのマリオンだろう? 全員同じに見える……。


「……どのストーンマリオンが、あの不思議なマリオンなんだ?」


7体のストーンマリオンとお見合いをすること数十秒……迷宮に聞いてみる。


〔えっと……あの子です! 1番前にいる子ですね!〕


「うーん……やっぱり違いが分からないな……」


改めて見ても違いが分からない。首を傾げて考えていると、カクカクとぎこちなく不思議なマリオンも首を傾げる。

……不思議過ぎるだろう。


〔王様! 王様! 言い遅れましたけど、先程の交戦によって迷宮評価が3になりました!

3になったことで、王様と防人だけになりますが、表示される情報が増えました!

具体的には、ギフトが表示されるようになりましたよ!〕


「ギフトの表示……それを確認すれば、このマリオンについて分かるかも知れないな」


ギフトとは神様からの賜りモノとも呼ばれる……簡単に言えば才能のことだ。

剣術の才能や魔術の才能、料理の才能など様々だ。

評価と違い、ギフトは子供の頃にお伽話などで聞かされるから、親がいる者は誰でも知っている。

更に、教会などでも教えてもらえるようだ。

……僕も病気で両親が亡くなる前、子供の頃にギフトに関するお伽話を聞かされたことがある。


ギフトは先天的に備わっているが、努力やその他の要因からも得られるらしく、確率は極めて低いが、後天的にもギフトを持つことが出来るらしい。

ギフトは希少であり、持つ者は1000人に1人ぐらいと言われている。

ギフトの効果は凄まじく、同種ではギフトを持つ者に、持たない者は絶対に勝てないとまで言われている。

それ程にギフトを持つ場合は他との差が出るモノだ。


このストーンマリオンに、何らかのギフトが有れば、それが評価の変化の理由に関係しているはず。


「迷宮! このマリオンの情報を表示してくれ」〔了解しました! 情報を表示します。

ストーンマリオン

迷宮コスト 1

戦術評価 23

魔術評価 12

技術評価 20

思考評価 23


ギフト一覧

ブリキハート

です!〕


「ブリキハート?

何だこれは?」


〔解析しますね!

…………え~っとですね。

ブリキハートは人形族固有のギフトのようです。生物のように感情や評価が育つらしいですよ?〕


「……正にこれが理由だな」


〔ですね!〕


「他の6体はギフトは無いのか?」


〔そう……ですね。

無いみたいです〕


「なら、このマリオンが特別なのか……。

うーん……恐らく希少なようだから、他のマリオンと区別するために名前でも付けようか……」

〔良いですね!

是非、そうしましょう!〕


「そうだな……。

マリオンだから……。

…………マオだな」


〔……略しただけにしか聞こえません〕


「何か言ったか?」


〔いえ、何も……〕


「良し! 今からお前の名前はマオだ。

改めてよろしく頼む」


「!? …………♪♪♪」


最初は名前を付けられたのが分からなかったようだけど、直ぐに理解したようでぎこちない動きで万歳をする。

喜んでいるストーンマリオン……マオに、ゴブリンジェネラルからの戦利品である革の帽子を被せる。


「見た目だけでは、他のストーンマリオンと区別が付き難いからな。装備してくれ」


「……♪」


カクカクと頭を上下させるマオに、更に銅の剣と革の鎧を装備させる。

……銅の剣をブンブンと振りながら、ちょこちょこと動くマオは、子供が勇者ごっこをしているようにしか見えない……微笑ましい。

……いかんいかん!


「マオに装備させて気が付いたが、ゴブリンたちの腰布は無いんだな?」


〔えっ!?〕


「えっ?」


〔……必要でしたか?

ゴブリンの下半身を隠すために使われていた、『あの』腰布ですよ……?〕


「……いや、いらない」


〔ですよね!〕


…………。




その後、とりあえずストーンマリオンに命令して東西に落ちているはずの、ゴブリンたちの戦利品である木のこん棒を拾いに行ってもらい、全戦利品の銅の剣2つと木のこん棒4つ。革の鎧2つをストーンマリオンたちに装備させた。




「次の問題だが……。

防人の数と貯蓄素材や、僕の食料についてだな」


素材は外に採取に行けば、木材と石材は簡単に手に入る。

食料も贅沢を言わなければ、小屋での暮らしの時のように山の動物を狩ったり、山の幸―――キノコや木の実―――を食べればいい。

飲み水に関しても、最初の素材集めの時に迷宮の近くに川が流れているのを見つけたから問題無い。


問題は防人の数だ。

今回のような事態に対する予防として、数は欲しい。

だが、数が多ければ迷宮コストが増え、迷宮パワーを圧迫する。数が少なければ、今回のような事態になった時、交戦状態で作成しなければならず、結局迷宮パワーを圧迫する。

難しいな……。




結局、良い案が思い浮かばず、初めての交戦に因る疲れから今日は眠ることにした。

ストーンマリオンたちに警戒してもらい、マオには寝室の中で待機してもらうことにした。






迷宮情報 3日目

迷宮評価 3

迷宮パワー 133 毎日+7

迷宮コスト 7

迷宮階層 全1階

迷宮部屋数 全5部屋

防人一覧

マオ ストーンマリオン

ストーンマリオン 6体

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