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王様! 大部屋での決戦ですよ!

東側の通路から、大部屋まで攻め込んで来たゴブリンたちを睨むように見る。

……そういえば、迷宮と契約する前も直接見たことは無かったな。姿については町の図書館に薬草なでの知識を深めるために行った時に、山の中で遭遇するかもしれないと思って一応調べていた。

……運が良かったのか、一度も遭遇はしなかったが……。


閑話休題。


腰にボロボロの布を巻いただけのゴブリンが1体いる。

そのゴブリンの傍には、腰には同じボロボロの布だが、銅の剣を持ち胴体に革の鎧を着ているゴブリンが2体いる。体格もゴブリンにしては大きく、背丈は95~100セントは有るんじゃないだろうか?……恐らく、あの2体がゴブリンウォリアーだろう。

最後の1体はゴブリンウォリアーと同じ銅の剣と革の鎧と腰布の他に、革の帽子を被っている。体格はゴブリンの平均より少しだけ大きいようだが、ゴブリンウォリアーに比べると小さい。後方にいることから、奴がゴブリンジェネラルだろう。


「ゴーレムたちはゴブリンウォリアーに攻撃しろ! マリオンたちはゴブリンを……って、おい!?」


命令する前にマリオンたちとゴーレムたちが動き出し、ゴブリンとゴブリンウォリアーも突撃して来る……。

……思考評価か。

見敵必殺の考えが1番強いのだろう。乱戦になってしまい、待機しているのは僕とゴブリンジェネラルだけ……あれっ?


1体のストーンマリオンが僕の近くで待機していた。ゴブリンジェネラルと乱戦を警戒しながらも、そのストーンマリオンを横目で見る。

こん棒を渡せなかったストーンマリオンだった。そのストーンマリオンは顔をこちらに向けている。


見敵必殺の思考評価しか無いはずなのに何故動かないんだ?


「……僕を守れ」


「…………」


まさかと思って命令してみる……ストーンマリオンは動き出して、ゴブリンジェネラルと乱戦から僕を守るように立つ。


「……迷宮? 何でこのストーンマリオンだけ命令を優先してくれるんだ?」

〔不思議ですね……〕


ストーンマリオンだけでなく、自分でもゴブリンたちを警戒しつつ迷宮に聞いてみるが、迷宮も分からないらしい。


「こいつのだけで良いから評価を出してくれ」


〔了解しました! 情報を表示します。

ストーンマリオン

迷宮コスト 1

戦術評価 23

魔術評価 12

技術評価 20

思考評価 21

です!〕


「……何で評価が上がってるんだ?」


〔可笑しいですね……。

生物でしたら変化は有りますけど、人形は変化しないはずです……〕


「生物なら変化するのか? だけど、ゴブリンたちは同種なら皆同じ評価だったぞ?」


〔ある程度、評価が近い者たちは纏めて平均値を出しているんですよ。

ゴブリンたちの中であまりにも突出していて評価が変化してしまう場合は、その個体だけ別に表示します。ですが、基本的には同種で纏めます〕


「ならこいつは?」


僕の前でじっとしているストーンマリオンを指差しながら聞く。


〔分かりません……。人形ですから身体は固定です。ですから鍛練させても変化はしません。

心なども無いはずですので、経験しても記憶に残らないので意味が無く、やはり変化しません〕


「なら、ますます分からないな……。

おっと、考えるのは侵入者を討伐してからだな……」話の間にウッドゴーレムの拳がゴブリンに当たり、ゴブリンが吹っ飛ぶ。

グシャッと壁に叩き付けられて動かなくなった。数秒後、ゴブリンの身体が地面に埋まっていく。迷宮パワーが2増えた。


……迷宮パワーって、死んだ奴の身体ごと吸収するのか……。

……えぇー。


〔いえ、任意ですよ?

死体から迷宮パワーだけ貰って、死体だけ残すことも出来ますが、放置しておくと邪魔ですし、腐敗されたりすると困りますし、王様だってお嫌だと思われるでしょうから土に還すだけです〕


迷宮が、僕の考えていたことが分かっているかのように言ってくる。

……いや、不思議なストーンマリオン同様、今はどうでもいい。戦闘に集中しよう!


……しかし、自分で言うのも何だが、やけに落ち着いてるなぁ。ゴブリンたちが大部屋に来る前まで……いや、大部屋に来てから少しの間は身体が震えていたはずだけど……。

土壇場に強いのか……それとも、守られているからか……?


相変わらず不思議なストーンマリオンは、僕を守るように立っている。




ゴブリンを倒したその後、ゴブリンウォリアーの斬撃で1体のストーンマリオンの首が飛ばされた!

更にゴブリンウォリアーは、鈍重なウッドゴーレムを撹乱するように動き回り、攻撃を受け続けた1体のウッドゴーレムが土に還された。


「キィー!」


もう1体いるとはいえウッドゴーレムを倒し、数で勝っていることで勝てると判断したのだろうか?

東側の通路付近で待機していたゴブリンジェネラルが、ゴブリンウォリアーに加勢する。


『拳大の石が無造作に転がっている』大部屋の中央で乱戦は続く。

2対3になったことで、更に防人が劣勢になっているが、何とか奮闘してくれている。

「防人作成!

ストーンマリオンを8体だ!」


〔交戦中のため、必要迷宮パワーが5倍になります。

ストーンマリオンに必要な迷宮パワーは120、石材は8ですが作成しますか?」


「やってくれ!」


かなり高くついた……。だが、命には変えられない!


直ぐに視界に映る石が8個、地面に沈んでいく。その間にもう1体のウッドゴーレムが土に還される。

最後のストーンマリオンがゴブリンジェネラルに斬られる寸前! 足を『何か』に引っ掛けたゴブリンジェネラルが転けて、ストーンマリオンを斬るはずだった剣が空を斬る。


起き上がったゴブリンジェネラルを5体のストーンマリオンが包囲している。ゴブリンウォリアーには2体ずつ張り付いている。


防人作成を伏兵として使い、包囲陣形を作り出した!


「倒せ! 逃がすなよ!」


戦術評価が低いとはいえ、こちらは相手の3倍の数で8体は無傷である。

更に、後から参戦したゴブリンジェネラルはともかく、ゴブリンウォリアーは連戦で疲弊している。


不思議なストーンマリオンも僕の声に反応して、ゴブリンウォリアーに突撃する!


勝敗が決まった瞬間だった。


それでもゴブリンたちは奮戦し、ストーンマリオンを3体道連れにしていったが……。迷宮パワーが70増えた。




〔侵入者の全滅を確認しました。

交戦状態を終了します!〕


後に残ったのは不思議なストーンマリオンを含む7体と、銅の剣が3つと革の鎧が3つと革の帽子が1つ。

……そして、ストーンマリオンに装備させていた木のこん棒が2つだった。







迷宮情報 3日目


迷宮評価 3

迷宮パワー 133 毎日+7

迷宮コスト 7

迷宮階層 全1階

迷宮部屋数 全5部屋


防人一覧

ストーンマリオン 7体


罠一覧

無し


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