表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/42

王様! リリィちゃんの出発ですよ!

〔王様ー! おはようございますですよー! 迷宮の『め』は、おはようございますの『め』ですよー!〕


「おはよう迷宮……だが、全く関係無いな……と言うよりも、『め』は無いじゃないか……」


〔有りますよー!〕


「どこに?」


〔皆の……心の中にですよ!〕


「……有ると良いな」




迷宮のいつも通りの挨拶を聞いてから、ふと考える……動けない……と。


両腕をシーナとリリィによって無力化され、シーナ側の足はマオにしがみつかれている。リリィ側の足は、リリィが足を絡ませている……完全に押さえ込まれたようだ。

三対一では勝ち目が無い……寝起きの頭で考えるも、やはり頭が働かず、結局三人が起きてくれるのを待つしか無かった。


ベッドを早く増やさねば……切実に。


〔ざっつあぷりちーふらわー♪〕


……朝から楽しそうな迷宮が、少しだけ羨ましかった。




「リリィはいつ頃に出発するんだ?」


朝食も食べ終わり、一息入れてから予定を聞く。

直ぐに出るならば見送りをするが、そうでないならば昨日の気になる言葉……進撃と言う冒険者について聞きたい。

シーナの気にしていること――貴族のことだが、これはリリィが出発してからで良いだろう。リリィがいると言い難いことかも知れないため、そう配慮する。


「昼過ぎに……出発する」


「そうか……なら、昼食までは一緒に食べられるな」


「うん……一緒」


一緒が余程嬉しいのか、一緒と言う時のリリィはふわふわと顔を綻ばせている。一緒か……うん、僕も嬉しいと思ってしまう……幸せになる魔術のようだな、一緒と言うのは。


「じゃあ……出発までの間に、昨日言っていた進撃について、もう少し教えて欲しいんだが……」


「うん……分かった」




それから進撃の異名を持つ冒険者のことを聞いた……が、かなり強力な冒険者らしい。

ギルドに有る、ランクと言うギルドの人物評価は、最高ランクのSらしい。ギルドを余り知らない僕にはどう凄いのかが分からないが……。


大抵の魔物の攻撃を受けても怯まず、むしろ殴り殺す。正直……進撃の方が魔物みたいだと思ってしまった。


自身の背丈と同じぐらいの大剣を振り回し、リッパーコルト種すらも真っ二つにする。鉄の剣も弾いたリッパーコルト種を両断って……。


『チャリオットマーチ』と呼ばれるギフトを所持しているらしく、戦術評価の成長率と戦術評価自体を上昇させる効果が有るとされ、その効果からか……今現在生きている人間の中で、唯一戦術評価が200を超えているらしい。……何、その化け物。


聞かされるほどに規格外だと理解させられる。

そんな冒険者が山道を数人の冒険者と歩いていたらしいが……フルトホルンの街に続く方に向かっていたようで、正直……助かったと思う。

僕たち全員で戦っても勝てないリリィが、勝てないと言う進撃に出会ってしまったら……。


……早く迷宮評価を高めよう。

迷宮評価が5で出来ることが一気に増えたのだから、10でも何かが増えるだろう……数日の内に、せめて10まではいきたいものだ。


「リリィ? この山のどこかで、鉱脈を見たことは無いか?」


「鉱脈……? ……ごめん……分からない」


「いや、良いんだよ。ありがとう」


リリィなら見たことが有るかな? と思って聞いてみたが……当然か。

リリィは魔物討伐に来たんだから……。

鉱脈は欲しいんだがなぁ……ブロンズ以上の防人たちを作成したい……と言うよりも、作成しなければまずい。

ウッドやストーンが主力では正直厳しい。マイムマイムの効果が有っても、強力な侵入者には対応出来ないだろう。

何より、マイムマイムの効果による評価の底上げを前提にすると、僕が必ず前線にいなければならない。

迷宮の急所である僕が、のこのこと侵入者の前に出るなど、殺してくれと言っているようなものだ。

それに前線にいないからこそ出来る、全体を見ながらの命令を出すことも難しくなってしまい、戦略の劣化に繋がり、結局全体的な戦力の低下を招く。


やはり切実に迷宮評価は高めたい……そのため、3階層を迷宮変化しようとも思うが……今はまだ止めておきたい。

3階層の変化方針が定まっていないのも有るが、3階層もしっかり変化させて道が入り組んでしまうと、流石に入り口までが遠い……。

少なくとも迷宮変化は、迷宮の出入りが何らかの方法で容易になってからになるだろう。




「となると……魔物討伐が必要だな」


「討伐……?」


「迷宮と僕たちの未来のために、迷宮評価を高めないといけないんだ」


「……私が……倒してくる?」


「それは嬉しいけど……」


リリィを利用しているようで心苦しい。


「私も……皆のために……何かしたい」


「……そう……だな。

じゃあ、『皆』で行こう」




「と言っていた時期が、僕にも有りました」


「お兄さぁん……」


リリィとの話し合いが終わってから、皆――僕とマオとシーナとリリィ、更にストーンマリオン5体とウッドマリオン5体で散策に出た……が、僕とシーナがいらない子になっていた。


「……!!」


「うん……いるね」


散策の最中にマオが指差し、それにリリィが同意すると、直ぐにリリィが消え、数秒も経たない内に再び姿を見せる。


「あっち……ウォルグ」


そんな言葉を伝えながら……。


行ってみると、首無しのウォルグの死体が倒れていた。

直ぐにストーンマリオンとウッドマリオンに頼んで運んでもらう。

数体で、よいしょ……よいしょ……と迷宮の入り口まで運んで行く。


その後も、マオが指差し、リリィが消え……再び現れると魔物が倒れている……の繰り返しで、ウォルグを4体、リッパーコルトを3体、ランバウトを2体、迷宮へと運び込んだ。


「……僕たちはいらないな」


「そうですね……あっ! お兄さん、ワタタン草を発見しましたよ。

採取しましょう!」


「……迷宮の主、迷宮の外に出たら駄目男である……。

何だろう……目から汁が止まらない」




その後、迷宮に帰り運び込まれた死体から、迷宮パワーを手に入れる。迷宮パワーが62増えた。


「どうだ迷宮? 迷宮評価は上がったか?」


〔うぅ~……まだみたいです〕


「そうか……なら、魔物をまだ倒さないといけないが……しかし」


「魔物……もう……見つからない……」


迷宮評価がまだ上がらないため、魔物を倒したい……が、リリィの言った通り、魔物が見つからない。

リリィが近辺の魔物を殲滅したこともだが、進撃たちも山にいたことから、魔物討伐をしていたと思われる。

強力な二組の討伐者が、同時に魔物討伐に当たっていたのだから、当然魔物の数は少なくなっているはずだ。

ゴブリンたちも一切見掛けないことから、ゴブリンたちも討伐されたと考えるべきだろう。


「迷宮、魔物はまた増えるのか?」


〔そう……ですね。魔物が少ないと言うことは、敵対勢力が少なく自分たちの領域拡大が容易と言うことですから……暫く経ちますと、再びこの山に魔物が住み着くと思いますよ。

その上、王様もいらっしゃられますから、かなり早い内に魔物たちが増えると思いますよ?〕


「そうか……なら、暫くは散策しながら魔物を探すか」


……侵入者が来ないからって、侵入者を探す迷宮の主……微妙に可笑しい気がするが……仕方ない。


暫くの間、朝から昼前までは散策に励むか……。




「じゃあ……依頼完了……報告しに行く」


今後の方針を決めてから、昼食を食べ終わった昼過ぎにリリィが出発する旨を伝えてくる。

依頼内容は、フルトホルンの街とラントペットの町を結ぶ山道付近の、魔物の殲滅であり、魔物が極端に姿を見せない以上、依頼内容を完遂したと判断しても良いらしい。


……そうリリィに聞いたが、嘘か本当かを証明することが出来ない依頼なため、信用出来る人物にしかこのような形での依頼はしないだろう。

その依頼を頼まれるほど、リリィは信用を得ているのだろう。

尤も、リリィと少しでも接したら、誰だって彼女が信用出来る人物だと気付くだろうが……。




「リリィ、気をつけてな?」


「リリィさん、頑張って下さい!」


「……!」


〔リリィちゃんの出発ですよー!〕


「うん……頑張る!」


むんっ! と拳を握って意気込むリリィを皆で見送る。胸の前で拳を握っているため、二つの果実が形を変えている。

シーナ……リリィの顔を見ようよ。


そのまま、名残惜しそうに歩き出したリリィに言葉を掛ける。


「リリィ、いってらっしゃい!」


「リリィさーん! いってらっしゃい!」


「……!!」


〔いってらっしゃいですよー!〕


「あっ……!」


一瞬、何を言われたか分からないと言うように、顔をきょとんとしていたが、直ぐに理解して……。


「いって……きます!」


見てるこっちが幸せになるような、幸せだと伝わってくる笑顔と共に、そう言ってくれたのだった。







迷宮情報 22日目

迷宮評価 9

迷宮パワー 678 毎日+14

迷宮コスト 39+2

迷宮階層 全3階

迷宮部屋数 全10部屋


住人一覧

シーナ シビリアン

リリィ アル・ワルキューレ (不在)


防人一覧

マオ ストーンマリオン

ウッドマリオン 20体

ストーンマリオン 5体

ブロンズマリオン 5体

ストーンゴーレム 2体

ストーンガーゴイル 2体

ブロンズガーゴイル 1体


罠一覧

簡易射槍壁 12個


施設一覧

畑 規模(小) 2反


人物一覧

無し

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ