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王様! 純潔のリリィですよ!

〔ぐっもーにん♪ ぐっもーにん♪ 朝です♪ 朝です♪ おはようですよ~♪〕


「……おはよう。

……もう良いよな?」


〔何がです!?〕


「そもそも『ぐっもーにん』って何だ?」


〔突如、迷宮の頭に飛んで来た言葉で、ぐっどもーにんぐ! を略した言葉ですよ!

言うべき時は今ぞ! と、言われました!〕


……誰だよ言ったのは。




「ご馳走さまでした。

昨日に続いて今日もアッタメ草入りだったけど、美味しかった」


「お兄さんに少しでも暖まって欲しかったんです」


「十分暖まったよ……シーナありがとう!」


昨日は身体を冷やしてしまい、寒気を覚えたため、昨日の夕食と今日の朝食はアッタメ草をふんだんに使用したスープだった。アッタメ草は余りこの辺では採れず、迷宮内でも繁殖しないため貴重だったが、身体を壊すわけにもいかないため使うことにした。


アッタメ草の効果からか、身体はポカポカと暖かく、寒気も無くなっている。




「じゃあ、今日も散策に出発しよう」


「……♪」


「はい!」


〔行ってらっしゃいですよー!〕


僕とマオ、シーナとストーンマリオンたちとストーンガーゴイルの、昨日と同じ人数で散策する。


「お兄さん! 今日はどこに行きますか?」


「昨日は川の方に行ったからな……今日は川の逆方向に行こう」


「はい!」


「…………」


「マオ……?」


迷宮の外に出て直ぐに、マオは見上げるように顔を上げる……昨日と同じだ……。


マオに倣って上を見上げ……直ぐに真後ろを見上げる。


「あぅ……!?」


……白い何かが木の上に見えた!

しかし、小さな声を残して直ぐに消えた……。


間違い無く……何かいる!


「お、お兄さん? どうしました?」


「……いや、何でも無い……」


見間違えとは思えないが、シーナを不安にさせるわけにはいかない……。


それに正直な話、今はまだ大丈夫だと思える。

今の白い何かが魔物ならば、迷宮内に侵入して来るはずだし、侵入しなくても今の僕たちを攻撃して来るはずだ。

にも関わらず、白い何かは何もしない。


……仮に冒険者や、思考評価の高い魔物の偵察だとしても、昨日のマオの警戒と僕が感じた視線……それに迷宮の直ぐ近くの木の上にいたことからも、迷宮の場所は完全に知られているだろう。


ならばジタバタしても、どうしようもない。今は白い何かが、何もしてくる気が無いことを祈るだけだ……。


「……!」


「うん? どうしたマオ?」


マオがいつものようにむいむいと押してくる。

マオの方に顔を向けると、やはりいつものように手を上に上げて、任せて! と伝えてくる。


どんな敵が来ても、絶対に負けない! 頑張る! とマオが意気込んでくれているのが分かる。


……そうだな。

家族で頑張れば負けるわけが無いもんな。


「頑張るぞ!」


「……!!」


マオと一緒に手を上に上げる!

来るなら……来てみろ!!

ストーンマリオンたちとストーンガーゴイルたちも万歳している。


「えっ? えっ? 何ですか? 何ですか?」


……シーナだけ置いてきぼりにしてしまったので、抱き上げてみる。


「えっ? ……えへへっ♪

良く分かりませんが嬉しいです!」


「……!」


抱き上げられて喜ぶシーナを見て、マオも抱っこ! と伝えてくる……ので片手でそれぞれ抱き上げる。

……正直辛い……が! 家族の重みに負けるわけにはいかない!


頑張って抱き上げる! しかし……まさかのストーンマリオンたちもしがみついてきてしまい、皆で地面に倒れてしまった。


「……流石に……無理だろ」










…………ゴブリンの住み処に向かわせていた奴らが殺られていた。

ゴブリン共の住み処に辿り着くことも無く、人間共が使う道から少し離れた場所でゴブリン共と一緒に死んでやがった。

……使えねえ雑魚共が。


ゴブリン共の住み処に、別の道から向かった奴らも帰って来ねえ……。

俺様以外の上位種の奴らも行ったはず何だがな……。


他の魔物に殺られたか? とも思ったが……この山の中の他の魔物共も少なくなってやがる。

人間共の冒険者って奴らでも来やがったのか? くそっ! 忌ま忌ましい!


ゴブリンキングが殺されて、漸く俺様たちが好き放題出来ると思ったのによ……。

まあ良い……今の俺様は最高に運が良い。

ここ数日、隠れながら獲物を探していたが……遂に美味そうな人間を見つけた……流石は俺様だ!


見つけたのは人間の雌だ! 近くに人間の雄が1匹と、石で出来た人形? のようなやつが何匹かいるが、俺様に取っては所詮は雑魚だな!

久しぶりの獲物……あの人間の雌は柔らかそうだ! 絶対に喰ってやるぜ!!







れた後、張り切るマオとそれに釣られて張り切っている(ように見える)防人たち、ニコニコしているシーナと一緒に散策を続ける……その最中に遂に聞こえてきた。


「グルルッ!」


魔物の吠える声が……!

声がした方に視線を向けると……1体のウォルグが見えた。

だが、普通のウォルグよりも体格が良い。普通のウォルグの体長が一メルト六十セントぐらいに対して、目の前のウォルグは二メルトに届くぐらいの体長は有る……ウォルグの上位種か?

1体だけだ……にも関わらず、奴は涎を垂らしながらギラギラとした眼でこちらを……いや、シーナを見ていた。

シーナを……僕たちの家族を食べれるとでも……思っているのか?


そっとシーナを視界に映す……顔を青ざめて僅かに震えている。

大丈夫だと言う気持ちを込めて、震えるシーナの手を握る。

握られたシーナはハッとして……直ぐに手を握り返してくれた。まだ震えは伝わってくるが……とりあえずは大丈夫だろう。


「ストーンマリオン3体は僕とシーナの護衛を頼む!

マオと2体のストーンマリオン、ストーンガーゴイルは攻撃をしてくれ!」


「……!」


「カッ!」


僕の合図に、3体のストーンマリオンは僕とシーナを守るように囲み、マオとストーンマリオン、ストーンガーゴイルが一斉にウォルグに殺到する…………が、奴は……ニヤリと笑うかのように……口角を吊り上げる!?


「ガアァーー!!」


深く深く身体を落としたウォルグは、咆哮と共にその体勢のまま、こちらに向かって疾走して来る!

地面すれすれを疾走するウォルグに、マオたちは攻撃を当てることも出来ずこちらに向かわせてしまった。

ウォルグはその勢いのまま2体のストーンマリオンも躱し、僕とシーナへ距離を詰める!


「なっ……! くっ!」


慌てて銅の剣を腰から抜き、応戦しようとするも、構える間も無く弾かれる。


…………駄目か? だが……せめてシーナだけは守ってみせる。


シーナを胸に抱き寄せ、ウォルグの攻撃から守るように腕で包み込み、来るだろう鋭い痛みを想像し、思わず目を瞑る……。


目を瞑る瞬間……肉薄するウォルグの、勝ち誇ったような笑みが見え……その視界の隅に、『翼のような物』が生えたマオが鉄の剣を構えた姿と……白い何かが目に入った……気がした。







「……大丈夫?」


……直ぐ傍から声が聞こえる。声から考えるに少女のようだが……シーナの声では無く、少し低めの中性的な雰囲気がする柔らかい声。


そっと目を開ける…………開けられた視界の中には……薄紫色の髪? が見え、その下には同じく薄紫色の一対の瞳が見え、心配そうな気持ちを孕ませて、上目遣いに僕を見つめてきていた。


「……えっと……?」


ウォルグがいたはずの場所に、誰かも分からないを少女がいる……混乱した頭で何か言おうとするも、何も出てこない。

と言うよりも顔が近過ぎる。


「…………リリィ」


「……リリィ?」


「……私の……名前」


痺れを切らせたわけでは無いようだが、少女は自分の名前を教えてくれる。

僕が困っていることに気付いて、名前を教えてくれたんだろう。

……名前では無く、それ以前の問題で混乱して困っているんだけど。


「えっと……リリィさん? 貴女はどちら様でしょうか?」


「……リリィで良い。

敬語も……要らない……」


……話が上手く噛み合っていない気がする。

リリィと言う少女自身は表情を変えず、真面目な雰囲気を感じるが…………!?


「ちょ、ちょっと……リリィ……さん? すみません!」


「……リリィで……良い……のに」


……落ち込んだ雰囲気のリリィさんから離れ、抱き寄せていたシーナを見遣る……。


「シーナ? 大丈夫だったか?」


外傷は無さそうだが、心配なためシーナに確認する。


「ハァ……ハァ……ハァ……」


「シーナ!?」


息が荒い……何か有ったのか!?


「ハァ……お兄さん……抱きしめて……ハァ……くれるのは……嬉しい……ですが……ハァ……息が出来ません……よ?」


「…………ごめん」


シーナは無事だった……マオも防人も無事だったようだ。

ウォルグがシーナしか狙っていなかったため、攻撃されなかったからだろう……。


マオは僕の傍に寄って来ていて、ストーンマリオンとストーンガーゴイルは膝を抱えて座っている。


皆無事だったことを確認してから、漸くウォルグについて考える。

どこに行ったのか……と。

しかし、辺りを見渡す必要も無く、ウォルグは直ぐに見つかった。


首と胴体が離され、背中に鉄の剣が突き刺さった姿で、足元に横たわっていた。


鉄の剣はマオのだろう……今も引き抜こうとしているから直ぐに分かる。

……マオは離れていたはずだから……投げたのか? それに……翼っぽいのは?

マオを見るが、当たり前だが翼っぽい物は無い。


……勘違いか?


不思議に思いながらも、もう一つのウォルグの傷……首を見る。

シーナは一瞬だけ見たが、びっくりして直ぐに僕の後ろに隠れてしまった。死体……それも首切られは怖いだろうからなぁ。


首の切断部分はかなり綺麗に切られていた。

余程、鋭い刃か……卓越した技術が必要だろう。


「……凄いな、この切り口は……」


「……それ……やったの……私」


横からリリィさんの声が聞こえる……。


「って、やったの? 私?」


「……? やったの……私」


信じられない言葉を聞いた僕は、思わず聞き返すが……リリィさんはもう一度繰り返す。


「……リリィさんが?」


「……リリィで良い」


「…………」


「……えへん!」


マオたちで鍛えた観察眼で真偽を探ろうと、じっと見つめていたが……何故か可愛らしく胸を張られた。

白いドレスを押し上げる二つの果実が、プルンッ! と揺れた。


嘘は言っていないようだけど……えっと……どうしよう?







迷宮情報 21日目

迷宮評価 9

迷宮パワー 583 毎日+14

迷宮コスト 39+2

迷宮階層 全3階

迷宮部屋数 全10部屋


住人一覧

シーナ シビリアン


防人一覧

マオ ストーンマリオン

ウッドマリオン 20体

ストーンマリオン 5体

ブロンズマリオン 5体

ストーンゴーレム 2体

ストーンガーゴイル 2体

ブロンズガーゴイル 1体


罠一覧

簡易射槍壁 12個


施設一覧

畑 規模(小) 2反


人物一覧

リリィ ???

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