王様! 山の散策ですよ!
〔おはようございます!
今日も元気に「行きまふよー……」……台詞を盗られましたよー……ぐしゅぐしゅ〕
「おはよう迷宮。
まあ……何だ、その……頑張れ?」
今日も迷宮が元気に朝を告げようとするも、シーナが台詞を重ねてしまい、迷宮は悲しさから、ぐしゅぐしゅと泣いている。
……確か迷宮の声は、シーナには聞こえていないんだよな?
チラリとシーナの方に視線を移す……が、シーナはいつも通りに、まだ夢の世界から目覚めてはいない。
……偶然にしても凄いな。
深く考えると何か恐ろしいことになりそうなので、考えることを放棄する……気にしたら負け! と言うやつである。
「それじゃあ、朝食を食べ終えたら予定通りに散策に行って来る。
昼食までには帰って来るからな……って迷宮? 聞いてるか?」
〔ぐしゅぐしゅ……聞いていたりいにゃかったりでしゅので、大丈夫でしゅよー……ぐしゅぐしゅ〕
大丈夫では無いと思うが……今日はぐしゅぐしゅが長いな……うん? 長い? 無駄に脳天気な迷宮の泣き声が?
…………まさか。
「……嘘泣きか?」
〔ぐしゅっ!? 何故バレ……そんなこと無いですよー! 迷宮すっごく泣いてますよー!
……ぐしゅぐしゅ〕
「おい。今、バレ……って言わなかったか?」
〔気にしたら負けですよー!〕
「…………そうか」
〔そうですよ!〕
「…………」
〔…………?〕
「急にぐしゅぐしゅ言わなくなったな?」
〔!!?〕
「…………」
〔…………てへぺろ♪〕
やはり嘘泣きだったか……この迷宮、やってくれる!
「そういうことだから、今日は外に散策に行って来る」
朝食を終え、一息入れてからマオとシーナに昨日の考えを説明して、今日の予定を告げる。
かなり簡単に説明したが……通じたはずだ。
「……♪」
マオは分かってくれたのか、いつものポーズをする。
「……お兄さん。
『そういうこと』では分かりませんよ……?」
シーナは……やっぱり駄目か。
簡単に説明し過ぎたようだ。
いや……分かってはいたんだがな……『そういうこと』で理解されたら逆に怖い。
マオも理解していないけれど、一緒に行く! と言うのが嬉しいだけだろう。
「だろうなぁ……とりあえず真面目に説明すると、ここ数日、魔物が迷宮にやって来ないだろ? 何か有ったのかと、迷宮の近辺の様子を見に行って来るつもりなんだ」
「なるほど……」
「一応、マオと防人も連れて行くけど、行ける範囲で調査とついでに採取をしてくるから、昼ぐらいまで掛かりそうだな」
帰って来るまではシーナに留守を任せるが……心配だな。ブロンズマリオンとブロンズガーゴイル、ストーンゴーレムにも任せれば大丈夫か?
「分かりました!
気をつけて行きましょうね?」
「あぁ……って、シーナは危ないから留守番を頼みたいんだけど……?」
「はい! 危ないからこそ、お兄さんとマオちゃんと一緒にいた方が良いんですよ!」
……外にいる方がずっと危険だと思うんだが…… いや、むしろ一緒にいた方が良いのか?
「うーん?」
〔散策は一キロトの範囲内だけですよね?
ならシーナちゃんも、一緒で良いのではないでしょうかー?〕
「そうか? ……そうだな。
良し、シーナも一緒に行こう」
「はい! 邪魔にならないように頑張ってついて行きます!」
「……♪」
僕とマオとシーナ、ストーンガーゴイル2体にストーンマリオン5体で近辺の散策に出発するため、迷宮の入り口に向かう。
「じゃあ行って来る」
「行って来ます!」
「……!」
〔気をつけて行って来て下さーい!〕
ブロンズガーゴイルやブロンズマリオンは、迷宮の備えとして待機してもらうことにして、迷宮の声を背中に受けながら散策に出発した。
「川の向こうは余り行ってはいないな……良し! 川の向こうに行こうか!」
迷宮の外……川の向こうには余り行っていなかったため、川を渡ろうとしたが……。
「……!?」
「マオー!」
「マオちゃーん!」
行くよー! と言わんばかりに率先して川に入って行ってしまったマオは、やはり流されていった。
川は中々の深さで、中心は一メルト以上だろうか? マオたち、マリオン種には大変な深さになるのだろう。
なのに……。
「…………」
「…………」
「何・故・マオに続く!?」
「ス、ストーンマリオンさんたちー!」
ストーンマリオンたちが、マオに続けと言わんばかりに川に入って行き、当然の如く流されていった!
何がしたいんだ?
呆れる僕と慌てるシーナの心境など何のその! と流されながらも、マオとストーンマリオンたちは、向こう岸に向かって泳いでいたらしく無事に向こう岸に着いていた……。
「マオちゃんたち……溺れていたんじゃ無いんですね……」
「……信じられないけど、泳いでいたのかも知れないな。
シーナ、ストーンガーゴイル……僕たちも行こうか」
「は、はい!」
「カカッ!」
早くー! と言っているかのようにぴょこぴょこと跳ねるマオを見ながら、残る僕たちも川を渡る……が、シーナが大変そうだったので背中に乗せて川を渡った。
「うぅ……不出来な娘ですみません」
背負っているシーナは、迷惑を掛けたと思っているのか謝ってくる。
うーん……フォローするべきだろうか?
「シーナはまだ(背が)小さいから仕方ないだろ? シーナの成長はこれからだから気にするな
」
「なっ……!?
た、確かにまだ(胸は)小さいですけど……成長するのもこれからですけど……うぅ~……」
背負っているシーナが悲しげに呟くが……余計に落ち込んだ? 何故だ? これが複雑な乙女心と言うやつか?
と、とりあえず更にフォローを考えよう……。
「今は(背が)小さくても仕方がないんだ!
大丈夫! シーナは小さかろうと十分魅力的だ!」
「……!!!
あ、ありがとうございます。
そうですよね……太古の昔にも貧乳はステルスだ微乳勝ちだ! って言葉が有るぐらいですからね!
ステルスの意味が分かりませんけど、微乳が勝ちだと言うぐらいですから良い意味何ですよね?」
「そうだ! 貧乳も微乳も……乳?
……えっ!?」
「えっ?」
「…………貧乳?」
「…………微乳です」
…………何の話だ?
背の話をしていたはずなのに……いつの間に胸の話?
……あれっ?
向こう岸に着いてから詳しく話し合う内に、シーナの顔がどんどん赤く染まっていってしまったのは、当然……なんだろうか?
その後、散策を続けたが魔物は姿も声すらも無かった……。
結局、何も無いまま採取だけを終えて迷宮に帰ることになった。
「何もいなかったな……」
「ゴブリンすらいませんでしたね……」
やはり冒険者が討伐でもしていったのだろうか?
だとしたら……迷宮パワーがまずいことになるな。
どうしたものかな……うん?
「マオ? さっきからどうした?」
「…………」
散策の途中から、マオが頻りに見上げている。
視線を追っても見えるのは木々ばかり……。
「くしゅん!」
「……?」
「お兄さん大丈夫ですか?」
川を渡った時に、濡れてしまった服の所為で寒気がする……。
心配そうな『二つ』の視線を感じる。マオや防人たちのおかげか、そういうことに敏感になっているから直ぐに分かる。
「大丈夫だ! ……でも、早く迷宮に帰ろう」
「はい!」
「…………」
マオの心配そうな『気配』と、シーナの心配そうな『視線』を感じながら、迷宮へと帰っていった。
……あれっ? ……視線?
マオは目は無いから、感じるのは気配とか雰囲気……だよな?
……二つ感じた視線は、気のせいだったのだろうか?
迷宮情報 20日目
迷宮評価 9
迷宮パワー 610 毎日+14
迷宮コスト 39+2
迷宮階層 全3階
迷宮部屋数 全10部屋
住人一覧
シーナ シビリアン
防人一覧
マオ ストーンマリオン
ウッドマリオン 20体
ストーンマリオン 5体
ブロンズマリオン 5体
ストーンゴーレム 2体
ストーンガーゴイル 2体
ブロンズガーゴイル 1体
罠一覧
簡易射槍壁 12個
施設一覧
畑 規模(小) 2反
人物一覧
無し




