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王様! 進撃と純潔と勘違いですよ!

「……朝か?」


身体を起こし、筋肉を解すために強く身体を伸ばす。

フルトホルンの宿に慣れちまったからか、久しぶりの外は身体に堪えるねぇ……。


仲間の仇を討たんとする英雄―――ゴブリンジェネラル―――を倒した後、川の近くで夜を明かした。当たり前だがテントの中でだ……幾ら俺でも、何もねぇところで寝転がるわけにゃいかねぇからな。


「おぅら! ひよっこ共、起きやがれ!」


「寝たのに身体が痛いっす……」


「おはよう……ございます」


「うぅ……足が張ってるよぅ……」


「おはよ……ござ……ます……くぅ……くぅ……」


俺の声に反応して、ひよっこ共がテントから出て来るが……。


「……もう少し、待機……するか?」


ふらついている姿を見せられりゃ、そう思うしかねぇだろうよ……。




「しっかりと目ぇ覚めたか?」


「はい!」


「……あい」


「……にゃぁ」


……まだ微妙な奴もいるが、まあ良いだろうよ。


「ならとっとと山を下りるぞ!

ゴブリンの住み処の調査と討伐に来てんのに、他の魔物と鉢合わせはしたかねぇだろう?」


長居は無用ってな。

本音としちゃ早く帰って酒が飲みてぇだけだがよ。


フルトホルンへの山道をひよっこ共を連れて歩く……。

来た時と同じような速度で帰りてぇところだが、流石にフラフラのこいつらを連れてそんな真似は出来ねぇからなぁ……後一泊は野宿を覚悟するか。


「あ、あの……フィガロさん!」


「あん? どうしたぁ娘っ子」


「わ、私はアイシアと言う名前が有ります!」


「分かった分かった。

で? 何か有ったのか娘っ子?」


「うぅ……」


「あん?」


アイシアねぇ……おれだって名前ぐらい覚えられる。

……だが、無名の娘っ子の名前何て、呼ぶ機会なんざぁ中々ねぇだろう?

しかも下手に呼んじまったら、僕も私も覚えてもらおうってピヨピヨと五月蝿くなるんだよ。

これでもギルドランクSって言う、テメェの知名度ぐらいは理解してるつもりなんでな。


だからな……覚えて欲しいんなら誰にでも名が知れ渡るぐらいに頑張れや! って言いてぇんだが……俺の柄じゃねぇよな。


「で? 何か有るんじゃねぇのか?」


山道を歩きながら、娘っ子に話をするように促してやる。

そうでもしねぇとずっと唸ってそうだからな……この娘っ子。


「そ、そうでした!

えっと……今回、ゴブリンたちを討伐したので、この近辺にはもう現れなくなったのでしょうか?」


「…………娘っ子は討伐依頼自体が初めてか?」


「えっ? は、はい! 今まではセリ……じゃなくて、知り合いの道具屋さんの配達を中心に依頼を受注していました!」


「なるほどねぇ……なら知らねぇでも仕方ねぇ……か。

一応、今回住み処を破壊したからゴブリンたちはいなくなった……が、あくまでも暫くの間だ。ゴブリン……ってよりも、魔物全体に言えることだがな……気が付いたら住み着いていやがる。

別の地域で繁殖した魔物が、新たな住み処を求めて知らねぇ内に住み着くって言えば分かるかよ?」


「はい! 大丈夫です! ありがとうございました」


「なら良いが……何でそんなこと聞いてきたんだ?」


「えっ? えっとですね……また討伐依頼が有ると良いな……と思ったんです」


「あん? 討伐が好きなのか?」


変わった娘っ子だな……そういやぁ、この娘っ子……初めての討伐って言ってる割には、平然としてやがんのな……いや、良く見りゃあ微かに震えてんなぁ。


「そ、そんなわけ無いじゃないですか!

昨日だって戦った後、ずっと吐き気を我慢してましたし、眠る時にも急に怖くなってしまって、身体がすっごく震えていたんですよ!?」


「なら何でだよ? 怖ぇなら配達とかで暮らして言ったらどうだ?

それに冒険者以外にも、職なんざ幾らでも有るだろうよ?」


「……それじゃあ駄目何です……守れる強さが欲しいんです!

大切な友達や仲間……いつかまた出来るかも知れない家族を守れる強さが……」


……まあ……な? 十代の娘っ子が冒険者をやる理由なんざ、出稼ぎか……孤児ぐらいだろうよ。

いつかまた出来るかも……ってことは後者か?

それに冒険者に拘ってるってことは家族を魔物に……。


……危ねぇとは思うが、この娘っ子が考えて選んだだろう道だ……他人の俺が口出しするもんじゃねぇな。


「そうかい……まあ頑張れや?

あぁー何だ……。

とりあえず、ゴブリン辺りと戦って、慣れてきたらウォルグと……って順々に戦えよ? やべえと思ったら直ぐに逃げろ。

後は……一人で行くなよ? 仲間と一緒に行け」


まあ……アドバイスぐらいは……な?


「……!

はい! あの……ありがとうございます!」


「はんっ! 礼を言われることでもねぇだろうよ」

頑張れや……娘っ子。







「フィガロさーん……休憩……しましょうよ……」


「お願い……しま……す」


「……はぅ……」


…………まだ昼前だぞ?

もちっと頑張れよ……。


「しゃあねぇなぁ……休憩すんぞ!」


「やったー!」


「おっしゃー!」


「疲れましたー」


……野宿二日とかは勘弁してくれや?



暫く休憩を挟んでから再び山道を進む。少しでも急ごうと、僅かに足を速める……が、その途中……茂みから気配を感じる。


……あん? 茂みの方から……殺気だと!?


「おい! お前ら全員集まれ!

……魔物だ!」


「えっ?」


「!?」


俺が声を出すと同時に、2体のウォルグが茂みから飛び掛かって来た!


「グルァ!」


「グルルッ!」


こいつら程度に相棒は勿体無ぇが、ひよっこ共もいやがるしな……勿体振らずに叩っ斬ってやらぁ!


「おらぁ!!」


背中に担いでいた俺の相棒である大剣をウォルグに向かって縦に振り下ろす!


「ァッ……?」


大した抵抗も感じずに、1体のウォルグを頭から真っ二つに斬り裂き、勢いの止まらない相棒はそのまま地面まで砕く。


「す、すげぇ……! ウォルグが真っ二つになった……」


「じ、地面が……凄いことに……」


「ふんっ!」


「グベッ!?」

地面を砕いた相棒を右手で掴んだまま、もう1体のウォルグの顔を左拳で粉砕する……。


「…………」


「……フィガロさんは本当に人間?」



「……ウォルグの顔が弾けたんだけど……」


「弾け……グチャッて……きゅぅ~……」


……何気にひよっこ共も余裕が有りそうじゃねぇか。

まっ、ウォルグなんぞに遅れは取らねぇがな!




「ガァーー!!!」


2体のウォルグを倒して直ぐに、茂みから更に数体のウォルグと……普通のウォルグよりも一回りでかいウォルグが2体現れた。


……マジかよ。

ウォルグガラフだと……?

フォルグ共の上位種……ゴブリンたちに例えれば、ゴブリンジェネラルのような奴だ。

ウォルグの上位種だけあって、かなり速え……。

当然だが、俺だけなら何てこたぁねぇ……が。


「くそがっ! お前ら! 動くなよ!

ウォルグガラフはお前らじゃ絶対に殺られる!」


……ひよっこ共を守りながら……か。

大変じゃねぇかよ……なぁ?

だが……何としても……ひよっこ共は守ってやらぁ!

気合いを入れ直し、大剣を構えた……直後。




「魔物……殲滅する」


呟くような娘っ子―――アイシアじゃねぇ――― の声が聞こえ、ウォルグたちの周りを舞う、白い娘っ子の姿が映り……その白い娘っ子が『空に舞った』瞬間! ウォルグガラフを含む、ウォルグたちの首が……転がり落ちた。




「魔物……殲滅……した?」


「こんなところで……か? ウォルグガラフ以上にびっくりするぜ……」


返り血を一切浴びていない真っ白なドレスに身に包み、銀製の細剣を両手に握る。薄紫色の髪を肩までで切り揃え、一メルト七十セントは有るだろう長身に、ドレスに負けないほどに白い肌を持つ娘っ子……。


『純潔のリリィ』が、そこに在った……。


「……えっ?」


「な……に?」


「あの人……誰?」


……ひよっこ共が混乱してやがるな……俺だって驚いてんだから、仕方ねぇのかも知れねぇな……。


「純潔のリリィだな?」


「……うん。

そういう貴方は……進撃?」


「はっ! 光栄だ……純潔のリリィにまで覚えられている何てなぁ」


「……冗談?

貴方を……進撃を知らない人間は……いないと思う」


「そうかい? そりゃどうも!

だが安心しな……お前さんも大概有名だぜ?

若ぇのに、めちゃくちゃ強いらしいじゃねぇか。

眉唾だったが、目の前で見ちまえば信じられるってもんだ」


「…………」


実際すげぇな……大人びて見えるが、恐らくまだ十代後半ぐらいだろうよ。

だって言うのに、あの首切り……ぼやけてしか見え無かった。初めて見るが……ありゃギフトか?


流石に戦っても負ける気はしねぇが……軽傷で済むってわけにもいかねぇだろうな。

何より、こいつらを狙われたら……。

「純潔のリリィって……! あの敵味方関係無く殲滅するって……あの狂戦士?」


「えっ? じゃ、じゃあ……私たち殺されちゃうの?」


「な、何言ってんだ! こ、こっちには、フィガロさんがいるじゃないか!」


「……私……狂戦士」


……あん? 一瞬悲しそうに見えたが……気の所為か?


「それで? 俺ともやり合うつもりかよ?」


「…………それこそ冗談。

依頼は……魔物の殲滅で人間は関係無い。

何より……」


「…………何より、何だぁ?」


「何より……進撃に勝てるなどと……自惚れるつもりは無い」


「……そうかい」


「……さよなら」


そう一言告げると、純潔は現れた時と同じように、白くぼやけ……掻き消えた。




……なるほどな。

純潔が魔物の殲滅に当たっていやがったか。

なら、間違い無くゴブリンキングを倒したのは純潔だろう……そう考えりゃあ、納得出来るしな。


フルトホルンに戻ったら、ギルドマスターの爺さんに直ぐに知らせるとしよう。


……『あいつ』だと思ったんだがな……そりゃそうか、あいつなわけがねぇな。

あいつならゴブリンキングどころか、この山の全てが殺されてるだろうよ。




「よぉし! ひよっこ共! 急ぐぞ!」


「えっ?」


「無理っすよ~」


「……うにゃあ」


「は、はい!」


「うわ~ん!」

「わかり……ました……ぐすん!」









「……やぁ!」


「おぉ!?」


「……!」



〔湯気が魚の形に……? 湯気の魚が空を舞いましたよ!〕


ぐつぐつと音を立てる鍋箱の中にいつものようにキノコや野草、木の実が入っており、更に川魚も入っている!


「出来ましたよー!

シーナスペシャル、山と川の終わらないロンド! 完成ですー♪」


「おぉー! 料理名からは美味しさと料理が全く想像出来ないけれど、料理自体は目の前に有るから大丈夫!」


「……♪」


〔マオも踊っていますよ!〕


「さあ! お兄さん召し上がれ♪」


「いただきます! もにゅもにゅ……美味い!」




今日も侵入者は来なかったけど、魚も釣れたし夕食も美味しいし、今日も平和で良い一日だった。






迷宮情報 18日目

迷宮評価 9

迷宮パワー 664 毎日+14

迷宮コスト 39+2

迷宮階層 全3階

迷宮部屋数 全10部屋


住人一覧

シーナ シビリアン


防人一覧

マオ ストーンマリオン

ウッドマリオン 20体

ストーンマリオン 5体

ブロンズマリオン 5体

ストーンゴーレム 2体

ストーンガーゴイル 2体

ブロンズガーゴイル 1体


罠一覧

簡易射槍壁 12個


施設一覧

畑 規模(小) 2反


人物一覧

無し

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