王様! 猪突猛進ですよ!
〔王様~!
まさかまさかの朝一侵入者ですよ!
交戦状態に移ります!〕
朝食を食べ終え、それぞれが好きなように過ごそうとした瞬間に、迷宮から侵入者出現を知らされた。
「朝食を食べ終えて直ぐに……か。
まあ、食べている最中に来られるよりは良いことだし、来ないよりかはもっと良いことだよな。
迷宮、侵入者の情報を頼む」
〔はい! 侵入者の情報を表示します!
ゴブリンマージ 3体
戦術評価 10
魔術評価 28
技術評価 14
思考評価 33
以上です!〕
「全員がゴブリンマージとは言え、昨日よりも更に戦力が少ないな…………うん? 何だ?」
表示された地図の上、侵入者のゴブリンマージを表す3つの印。
その印は、侵入して来て直ぐに迷宮内を動き回っている……が、その動きは正直、意味が分からない。
3つの印は最初の部屋の中をぐるぐると輪を描くように動いているだけで、奥に来ようとはしていない。
侵攻する……と言うよりも、迫る脅威に因り恐慌状態になっているように見える。
何だ……?
「お兄さん?」
「えっ? あぁ……ゴブリンマージが3体だけだけど、様子が可笑しいから防人たちを連れて見て……なっ!!?」
ゴブリンマージたちの印が見える地図の上に突如、別の印が入り口から侵入して来た!
その印は全部で3つ……。凄い速度で最初の部屋に向かって進む。
速い……ウォルグか!?
ウォルグならば、あの速さとゴブリンマージの逃げるような動き……全てに納得がいく。ウォルグに襲われて勝てないと考えて逃げているのだろう。
〔お、王様! 更に侵入者が現れました!〕
「あぁ! 確認している。
迷宮! 情報を……はっ?」
新たな侵入者はその速さのまま、ゴブリンマージの印に接触した瞬間……ゴブリンマージの印が文字通り吹っ飛んだ……。その侵入者の一撃でゴブリンマージが倒されたのだろう、迷宮パワーが20増えた。
と、突撃……か? ……ウォルグじゃない?
ウォルグはその速さを活かしての、圧倒的な手数で攻める。
しかし、この新たな侵入者の攻撃は地図上からの判断では、恐らく突撃。
「……迷宮! 侵入者の情報を頼む!」
〔は、はい!
侵入者の情報を表示します!
ランバウト 3体
戦術評価 45
魔術評価 1
技術評価 28
思考評価 1
以上です!〕
「……ランバウト?」
〔ランバウトとは、動物の猪に似た魔物です!
前に突き出た二本の太く長い下から上に反り返った牙を持ち、敵を見ると突進して行き、その牙で突き上げるらしいです!〕
「思考評価が1しか無いんだが……」
〔そこまで低いと、逆に判断し難いですね〕
思考評価が1……敵を見たら突っ込んで来るのか? ……いや、それなら思考評価20以下と何ら変わりが無い。
……考えている内に、残りのゴブリンマージたちが後続のランバウトに突撃されてしまい、地図上から印が消えた。
迷宮パワーが40増えた。
気を付けて下さい……と言うシーナに見送られながら、2階層を目指す。
ゴブリンマージたちだけだった場合は、1階層の大部屋で防人たちに対処して貰うつもりだったが、ランバウトと言う初めて相手にする敵のため、2階層の大部屋での包囲攻撃に作戦変更、防人たち皆に2階層にて待機してもらう。
「マオ! 頑張ろう!」
「……!」
3階層から2階層への階段を昇りながら気合いを入れる。
魔術評価も思考評価も1。
しかし、油断してはしない……戦いでは何が有るか分からない。万全を期してもその『何』に因って、万全は一瞬で崩れ去る……。
〔お、王様ー!!〕
突然迷宮が驚いた声を上げ、それに続くようにドゴンッ!! と言う音が1階層から響く。
何が起きた? と迷宮に聞く前に、地図上で理解させられた……。
「思考評価1……って、こう言うことか……!」
1階層の地図の上、ランバウトを示す印は階段前の大部屋を進んでいる。
……文字通り、入り口から階段の有る北に向かって邁進して進んでいる……大部屋に無いはずの通路まで作ってまで……。
1階層の大部屋の南側、射槍壁が設置されただけの『行き止まりだった』はずの通路は、今は大部屋へと続いている。
「……くそっ! 迷宮の構造を無視して進む何て……想像出来るわけ無いだろう!」
余りの非常識な行動に悪態を吐きつつも、2階層の大部屋へ向かう足を速める。
「ブフゥ!」
「ブフブフ!」
僕とマオが2階層の大部屋に到着するのと同時! ランバウトたちも降りて来た。
初めて見るその姿はなるほど、猪に見える。
体長は頭部から臀部までで一メルトと五十セントほどだろうか?
壁を打ち破っただろう速度のままで、こちらに突進して来る。
「くっ! マリオンたちは守りに徹してくれ!
ガーゴイルたちは上空から魔術で攻撃だ!」
「カカッ!」
マリオンたちは階段を爆走しながら降りて来るランバウトたちに対して守りを固め、ガーゴイルは上空に舞い上がる。
爆走するランバウトの一体は、身体から血を流している……北側の通路の射槍壁に突き刺された時の傷か?ゴブリンやウォルグを仕留める罠を受けても尚、爆走を続けるとは……ランバウトの体力はかなり高いようだ。
「ガーゴイル! 今だ!!」
「カカッ!」
マリオンたちと接触する前……階段を降りきったランバウトにガーゴイルたちから火の玉が放たれる。
「ブフッ!」
2体には命中しなかったが、射槍壁に出血を強いられたランバウトには命中する!
1体のランバウトの頭が炎に包まれる。
外れたか……しかし、1体だけでも減らせられたのな……ら!!?
「ブフゥ!!」
ランバウトたちが突進して来る……ガーゴイルの魔術攻撃で、頭が炎に包まれた1体も同様に!!
「嘘……だろ?」
呆然とする僕を無視してマリオンたちとランバウトたちが戦闘を開始した!
「ブフゥ!!」
「ブーフゥー!」
「ブフフッ!」
だが、その戦闘は戦闘と呼べるようなものではなかった……。
マリオンたちが空に跳ね飛ばされる。
跳ねられたマリオンたちは、その衝撃で関節を砕かれ、地に落ちると同時に消えていった。
一瞬でウッドマリオンが2体、ストーンマリオンが1体倒された。
しかし、その代わりに奴らの爆走は止まり、勢いが無くなった。
「くっ……マリオン! ガーゴイル! 奴らが再び勢いを付ける前に接近して倒せ!」
これ以上倒されるわけにはいかない……!
僕も参加して、3体のランバウトを囲み、勢いを殺して攻撃し、仕留めることが出来た。
……迷宮パワーが21増えた。
〔侵入者が全滅しました。
交戦状態を終了します〕
「……こんな魔物までいるのか……」
〔突撃を受けると一撃ですか……備えとしてゴーレムを作成しますか?〕
「そうだな。ゴーレム……それもストーンかブロンズなら、一撃を受け止められるかも知れない……。
寝室に戻る前に防人作成しよう」
〔はい!〕
その後に防人作成を開始したが、ブロンズゴーレムの必要な銅が足りず(ブロンズマリオンの三倍)、ストーンゴーレムを2体、ブロンズマリオンを1体、ストーンマリオンを1体、ウッドマリオンを2体作成した。
必要迷宮パワーは22、必要素材は木材が2、石材が1、銅が1だった。
……遂に銅の剣からの銅素材が無くなってしまった。
ランバウトに破壊された壁については、迷宮変化以外での変化であるため、生き物にとっての怪我と同じような物らしく、
迷宮が頑張って修復するらしい。正直……助かる。
更に、この戦いで迷宮評価が9に上がったらしいけど、特に変化は無かったらしい……。
戦力増強のためにも、新しい防人と鉱石採掘出来る場所が切実に欲しいところだ……。
迷宮情報 15日目
迷宮評価 9
迷宮パワー 745 毎日+14
迷宮コスト 39+2
迷宮階層 全3階
迷宮部屋数 全10部屋
住人一覧
シーナ シビリアン
防人一覧
マオ ストーンマリオン
ウッドマリオン 20体
ストーンマリオン 5体
ブロンズマリオン 5体
ストーンゴーレム 2体
ストーンガーゴイル 2体
ブロンズガーゴイル 1体
罠一覧
簡易射槍壁 12個
施設一覧
畑 規模(小) 2反
人物一覧
無し




