王様! マオと畑の戦いですよ!
マオが見つめる畑、トロモイの苗とワタタン草が植えられたその中に、ある物が生えていた。
「マオ? 雑草は抜かないと駄目だ」
「……?」
雑草。トロモイの苗やワタタン草と一緒に生えていると邪魔になる存在。
その雑草たちが畑の中にぴょこぴょこと生えていた。
しかし、マオは僕の方に振り向き、何で? と言いたげに首を傾げる。
マオからしてみれば、畑に生えてるから良いんじゃないの? と言うこと何だろう……。
どう説明したら良いのだろうか……。
少し悩んだが、分かりやすいように直球で説明することにした。
「トロモイの苗とワタタン草は分かるな? 僕たちに必要だ」
「……」
トロモイの苗とワタタン草を指差して聞いてみると、マオはコクコクと頷く。大丈夫そうだな。
「そのトロモイの苗とワタタン草が育つための栄養……食料をこいつらは横取りしているんだ」
「……!!」
今度は雑草を指差しながら説明する。
かなり簡単な説明だったが、意味は通じたのだろう。
ガーン!! と音がしたかのようにショックを受けたらしく、身体をビクッと震わせた後、しょんぼりと項垂れてしまった。
「…………」
「だからな? 今日は一緒に雑草を引き抜こう?」
「……!!」
分かってくれたマオの頭を撫でてから、引き抜こうと雑草に近づく……が、近づく僕を遮るように小さな手が差し出された。
「マオ?」
「…………」
分かってくれなかったのか?
それとも、理解した上で引き抜きたくは無いのか……。
マオが僕を止めてまで何かを―――僕のための暴走は有るが―――することは無いため、どうしてもと言うならば、雑草はそのままでも構わないだろう。
そう伝えようとしてマオの方に視線を移すと、自身の胸をドンッ! と打つマオの姿が在った。
その姿は任せて! と言っているようにも見える……。
「……うん? マオ?」
「……!!」
呼び掛けると、もう一度ドンッ! と胸を打つ。
「……雑草、抜くのを任せろって?」
「……!」
コクコクと頷く。
知らなかったとは言え、雑草を放置していたのは自分だからと、責任を感じているのだろうか?
ならばマオに任せようかとも思うが、マオからすると畑は広い。
僕から見ると、まあこんな物かな? ぐらいだが、マオの大きさではかなりの広さに見えるだろう。
「本当に任せても大丈夫何だな?」
「……」
コクリと、一度だけだが強く深く頷くマオを見て、僕も覚悟を決める。
「分かった……任せるよ」
「……!」
その言葉を聞き、マオは任せてといつものポーズをするのだった……。
はたけじょうほう
さくもついちらん
とろもいのなえ 30かぶ
わたたんそう 20かぶ
きれいなきのこ 10こ
はたけのしんにゅうしゃいちらん
ざっそう いっぱい
〔何か変な情報が表示されましたよ?〕
「僕たちには分からない何かが、始まろうとしているんだよ」
「マオちゃん燃えてますね」
邪魔になるといけないと思い、シーナの傍に待機する。
シーナもマオを気にしながら、ワタタン草と木材を持ち、ワタタン草を水でちゃぷちゃぷ、木材でぺちぺちしている。
〔始まりますよ!〕
マオと侵入者―――この戦いの間は雑草のこと―――との戦いの幕が開けたのだった。
最初にマオが攻撃したのは、小さな侵入者たちだった。両手でえいっ! えいっ! と引き抜いていく。
次々と侵入者を千切っては投げ、千切っては投げ! と容赦の無い攻撃を繰り出す!
もはやマオの独壇場である。
「!!?」
「マオ!?」
さりとて侵入者たちも、黙ってやられるほど軟弱では無い。
一騎当千の強さを奮うマオの足元に忍び寄り(動いていません)、その足を刈り取らんと足に絡み付く!
僅かに身体を崩されたが、身近に有った物を支えとして体勢を立て直す。だが、それが侵入者たちの狙いだった!
マオが支えにしたものは『きれいなきのこ』だった。
マオがハッと気付き、支えた物を見遣ると……それは無惨にも潰れ、畑に押し込まれていた……。
自分が愚かなばかりに……足元を疎かにしたばかりに、仲間が逝った。
そのことがマオに強くのしかかる!
それでも……歩みは止めない! 散った仲間のためにも戦い続けると! 侵入者たちを討たんと、その勢いを増したのだった。
激しい戦いも中盤に差し掛かった……。
依然、侵入者たちは数を以って襲い掛かって来る。
しかし、マオは……畑の守護者は数の暴力を物ともせずに、蹴散らしていく!
「……! ……!」
見える侵入者を文字通り千切っては投げ、千切っては投げ……。
「おぉ!!」
「マオちゃん凄いです!」
侵入者たちを、あと僅かにまで減らしたのだった!
だが、脅威はここからだった……。
トロモイの苗を植えた日から考えても、数日しか経っていないはずなのに、植え初めが苗からだったトロモイの苗よりも大きい雑草……あ、いや、侵入者たちが存在していた。その数は4体!
大きいだけあり、その根っこ……評価も強力だろう。評価が有ればだが……。
マオが動いた! 幾多の侵入者を喰い千切った強力無比のその腕が、1体の侵入者に襲い掛かる!
しかし相手も歴戦(歴戦?)の強者であり、その侵入者たちの血(汁です)に塗れた腕を以ってしても、容易には倒せない!
だが、マオは諦めず、一気呵成に攻め立てる!
その怒涛の攻めに、遂に敗北を認めるかのように1体が引き抜かれた。
残りは3体!
だが、残りの3体は仲間がやられたと言うのに涼しげな顔(?)をしている。
今の奴は我ら四天王の中でも最弱……四天王の中の面汚しよ……と。
そんな奴らの言葉(?)に怯まず、再びマオが攻撃を仕掛ける。
しかし、今度の強者は卑怯にもトロモイの苗と苗の間に陣取っている。
やれるもんならやってみな! 俺を倒そうとするならば、こいつらも道連れだぜ?
そう言わんばかりのふてぶてしさだ!
憤るマオ! しかし動けない! このまま敗北してしまうのか……。
「マオ……やれ!」
「……!!」
だから背を押してやる。
一人では無いことを思い出させる。
やらねばならないことを教える。
その卑怯な侵入者を野放しにすれば、より多くの苦しみが生まれると……。
マオの纏う雰囲気が再び力強くなる。
こちらを向いてコクリ……一度だけ頷いた……。
そして……奴の身体の一部を握り締め、勢いを付けて引き抜いた!!
「……!!!」
虚空に投げ出される侵入者と……共に空に舞うトロモイの苗たち……。
だが、マオにはきっと、彼らが笑っているように見えただろう。
奴を倒してくれてありがとう……と。
失った仲間に涙を流す時間も無く、マオは侵入者に向かって行った……!
残りは……2体。
マオが引き抜きに掛かる!
しかし、奴は策士だった……。他の奴らとは雰囲気が違うそいつは、地の利を得ていた!
多くの侵入者たちのし……血で染まった大地は滑り易い、それを利用し、勢い良く引き抜こうとしたマオを……滑らせた!
「マオ!」
「マオちゃん!」
〔!?〕
ツルリッ! と滑ったマオは、地面に倒れ伏した。
策士の罠に嵌まり、形勢を逆転させられたのだ!
「もう見ていられません!!」
「シーナ?」
倒れ伏したマオを見て、我慢が出来なくなったのだろう……シーナがマオの傍に向かおうとする!
その動きに直ぐさま気付き、シーナを後ろから抱きしめる。
「お兄さん! 離して下さい! マオちゃんが! マオちゃんがぁ!!」
「落ち着くんだ!
マオが一人で戦うと言ったんだ!」
「ですが!!」
「……マオを信じるんだ!!」
「!!!」
マオの傍に向かおうと、じたばたと暴れていたシーナが大人しくなる……。
「……そうですね。マオちゃんを信じないと……」
分かってくれたようだ……。
その思いに応えるかのように、マオがゆらりと立ち上がる。
まだ……やれる! と。
そして、策が尽きた策士を……引き抜いた!
残りは1体だけだ。
最後の侵入者はトロモイの苗はもちろん、先の3体をも遥かに越える風格を纏っていた……。
その圧倒的な存在感は、正に覇王と謳われても過言では無い!
絶対にお前、畑が出来る前から生えていただろうと邪推してしまう……そんな力強さを持っていた。
〔実際トロモイの苗の三倍は有りそうですね〕
「突然変異か?」
〔迷宮には分かりません〕
「そうか……」
「お兄さん! 始まりますよ!」
「…………」
〔…………〕
シーナはかなりノリノリだった。
やはり先手はマオが奪う。
両手で掴み、引き抜こうとする……が、最後の侵入者「お兄さん……侵入者では有りません。覇王です」……覇王はその不動の構えを崩さない。
〔……もしかして、心読まれたりしました?〕
「……うん。シーナさん怖い」
…………気を取り直して戦いを見る。
マオが一方的に攻撃を加えているが、覇王は揺るがない!
やがて……疲労困憊のマオの手が滑り、引き抜こうとする力を自身に受け……勢い良く後方に跳ね飛んだ……!
「マオ!?」
「マオちゃん! 立って!
覇王を倒せるのはマオちゃんだけだから!
お願い!」
〔……迫真の演技です?〕
「いや、恐らく本気だろう……」
〔シーナちゃん、恐ろしい子! ……です〕
その声が届いたのか、マオがゆっくりと起き上がる。
僕たちが見守る中、もう一度覇王に立ち向かって行き……そして!!
「……!!!」
覇王の身体を掴み、身体を一回転させるように……覇王に背中を見せ、腰を低く落とし、肩に担ぐように……引き抜き! 投げた!!
「何と!?」
「やりました!」
〔えぇー!!〕
投げられた覇王は壁に打ち付けられ、天に還っていった……。
「……!」
しかし、激しい戦いを終えたマオもまた、力尽きたのだった。
その後、マオはシーナに任せて畑を手直しした。
途中で空を舞ったトロモイの苗も再び植えて、綺麗になった。
頑張ったマオにご褒美にキノコを増やしてあげた。
……この時から、マオは雑草を定期的に取ってくれるようになるのだった。
踊りと眺めるのは相変わらずだが……。
迷宮情報 13日目
迷宮評価 8
迷宮パワー 702 毎日+13
迷宮コスト 33+2
迷宮階層 全3階
迷宮部屋数 全10部屋
住人一覧
シーナ シビリアン
防人一覧
マオ ストーンマリオン
ウッドマリオン 20体
ストーンマリオン 5体
ブロンズマリオン 4体
ストーンガーゴイル 2体
ブロンズガーゴイル 1体
罠一覧
簡易射槍壁 12個
施設一覧
畑 規模(小) 2反
人物一覧
無し
はたけじょうほう 今回限り
さくもついちらん
とろもいのなえ 30かぶ
わたたんそう 20かぶ
きれいなきのこ 19こ




