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王様! 川辺の戦闘ですよ!

川辺でウォルグと蠍の魔物が戦っている……。

だが、勝敗は誰の目にも明らかに見える。


「蠍の魔物の甲殻はかなり硬いのか……?」


蠍の魔物の動きも遅いわけではない……が、ウォルグと比べるとその差は歴然であり、ウォルグはその速さで圧倒的な手数を繰り出し、蠍の魔物を攻撃している。

しかし、蠍の魔物の甲殻はかなり硬いようで、ウォルグの攻撃――爪や牙を受けても、大したダメージにはなっていない……。

逆に甲殻によって弾き返されたり、受け止められた隙を狙われてしまい、動きを止められたところを尾の針で身体を突かれている。

やはり毒――それも麻痺毒だろうか……数度突かれたウォルグは、次第に動きが鈍くなっていき、やがて泡を噴きながら地に倒れ伏していく……。

やがて既に倒れていた2体のウォルグを含む、8体のウォルグが地に沈んだが……蠍の魔物は5体全て残っている。


「いくぞ! ブロンズマリオンたちは正面から銅の剣で攻撃! ストーンマリオンたちは2体が僕の護衛、残りの3体は蠍の魔物共の側面から攻撃だ!

マオ! お前も攻撃に加わってくれ!」


マリオンたちは命令を聞き、即座に行動する。

マオも鉄の剣を構え、ブロンズマリオンと共に正面から突撃する。


ガギン! カン! キン! と金属同士がぶつかっているような音が響く。

ブロンズマリオンの振るう銅の剣が尽く弾かれる!


「くっ!? ブロンズマリオン後方に跳べ!」


弾かれて踏鞴を踏むブロンズマリオンに向かい、反撃と言わんばかりに蠍の魔物が尾針を振り下ろしてくる!

固有の名が無いため、全部のブロンズマリオンに命令するかたちになる。

……サッ! と下がるブロンズマリオンのいた場所に、ドスリッ! と尾針が突き刺さる……。


人形族だから毒は効かないだろうが……突き刺さったら普通にやられそうだ……!


地面に深く突き刺さる尾針の威力に、ゾッとする…………おっ?


地面に深く突き刺さった尾針を、蠍の魔物はぐいぐいと必死に引き抜こうとしているが、その威力からしっかりと刺さっており、抜けないようだ……。


…………今だな!


「マオ! あの蠍の魔物を攻撃だ!」


「……!」


任せて! と言うように、マオは蠍の魔物に向かって突撃する!

自分を倒そうとするマオに気付いたのか、尾針を引き抜こうとするのを止め、迎撃しようと両の鋏を構える。


「ギギギ!!」


「……!」


正面から突撃するマオが、両の鋏の攻撃範囲に入ったのだろう蠍の魔物が鋏をマオに振るう!

だが、真正面には自身の尾針が突き刺さっているため、微妙に鋏を振るい難そうで攻撃も大振りになっている……。

当然の如く、そんな大振りの攻撃にマオは当たらず横に避ける……側面を捉えたマオは、がら空きの脇腹に鉄の剣を突き刺す!


「…………」


「ギッ!」


カキンッ! そんな音を奏でながら、鉄の剣が弾かれる……。

鉄の剣を持ってしても、蠍の魔物の甲殻は貫けなかった!


奴の甲殻が硬過ぎるのか……それとも単純にマオの力が足りなかったか?

とりあえず、一旦マオを下がらせよう!


マオに下がるよう指示を出そうとするが、その前にマオが再び動く……。


「……! ……! ……!!」


「ギギッ!!!」


弾かれた反動を使い、クルリと身体を回転させ、再度突く! またも弾かれる……が、またもや身体を回転させて突く! 弾かれる、突くを繰り返す……。

連続で突くこと六度目、マオの持つ鉄の剣が弾かれることなく、ズブリと蠍の魔物に突き刺さる!

……甲殻を突き破ったようには見えなかった。恐らく、甲殻と甲殻の間に突き刺さったのだろう。

ずぶずぶと鉄の剣の刃は、蠍の魔物の中に消えていき……勢い良く引き抜かれた!


「ギッギッギッ……!」


尾針を大地に突き立てたまま、蠍の魔物は地に伏せ、弱々しく身体を揺らしていたが、やがて動かなくなった……。


「ギッ!?」


「ギギッ!!」


仲間が倒された瞬間……残る蠍の魔物はピタリと動きを止め、キョロキョロとマリオンたちを見遣る。

何だ? と警戒するまでも無く、脱兎の如く逃げ出した。

川を越え逃げる蠍の魔物は速い!


「なっ!? 逃げ……た?」


マリオンたちに目を向けてから逃げたと言うことは、勝てないと考えたと言うことだ……。

つまり……奴らは思考評価が大体20以上は有ると言うこと。


「かなり厄介だな……」


銅の剣はもちろん、鉄の剣すら弾く鎧と、凶悪な威力と毒を孕む尾針。更には思考評価も高い……。

それに、動きも速い。ウォルグとの戦闘で動きが遅いと感じたのは、比較対象が動きの素早いウォルグだったことと、そのウォルグが四方八方に動いていたからだろう。

蠍の魔物は動きは速いが、小回りが利かないと言うことだ。


迷宮内では苦戦しそうだな……。

大部屋はともかく、通路では真正面からしか戦い難いだろう……。

頑丈な甲殻に守られた身体に攻撃しても、弾かれ尾に有る針が突き刺さる……手強いなぁ。


「……!」


「うん? どうした、マオ?」


「……!」


マオにむいむいと太股を押されて、漸く考え込み過ぎて短くは無い時間が経っていることに気が付いた。

倒れ伏したウォルグたちに止めを刺すと、指示を出そうとしたが既に事切れていた……。

動けなくさせて、更に死に至る毒……か。

人形が防人で良かったと、今ほど思えたことはない。


「全員でウォルグと蠍の魔物を迷宮内に運ぼう!」


「……!」


マオとマリオンたちと協力して、ウォルグと蠍の魔物をよいしょよいしょと一緒に運んで行く。


〔王様! ご無事ですか?〕


「僕は後方にいたから大丈夫だよ。

それよりも、これで蠍の魔物の情報を表示出来るか?」


〔迷宮内ですからね、大丈夫ですよ!

情報を表示します!

リッパーコルト

戦術評価 40

魔術評価 3

技術評価 25

思考評価 23

以上です!〕


「……針に鋏の武器に甲殻の鎧が有るからか、戦術評価が高いな……」


〔そうですね……魔術で倒すのが有効ですね!〕


「ガーゴイル様々……か。

迷宮、シーナはどうだ?」


〔眠ってますよ。

ガーゴイルたちはベッドに運ぶまでしか出来なかったので、服を着せて掛け布も掛けてあげて下さい〕


「あぁ、直ぐに向かおう!」


迷宮パワーが増えるのを確認してから、マオを連れて寝室に向かう。

ウォルグから手に入った牙の素材と、リッパーコルトの尾針? と甲殻、採取してきた物はマリオンたちに運んでもらった。


「シーナ……?」


ベッドで眠る少女は、初めての時と同じように苦悶の表情を浮かべていた。


「大丈夫……大丈夫……僕もマオも迷宮も、防人たちも皆いるから……」


だから、もう一度安心させるために抱きしめる。

冷えてしまっている身体に服を着せ、掛け布を掛ける。僕とマオでシーナを挟んで抱きしめ続ける。

そのままシーナが安らげるまで優しく囁き続ける。




迷宮の外を月が優しく照らす頃には、穏やかな寝顔になったシーナと、シーナを抱きしめて横になるマオの姿が在り……それを見ながら、僕も眠りに就いた……。







迷宮情報 11日目

迷宮評価 8

迷宮パワー 769 毎日+13

迷宮コスト 33+2

迷宮階層 全3階

迷宮部屋数 全10部屋


防人一覧

マオ ストーンマリオン

ウッドマリオン 20体

ストーンマリオン 5体

ブロンズマリオン 4体

ストーンガーゴイル 2体

ブロンズガーゴイル 1体


罠一覧

簡易射槍壁 12個


施設一覧

畑 規模(小) 2反


人物一覧

シーナ シビリアン

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