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王様! シーナちゃんのトラウマですよ!

〔……おはよう……ございます。

今日も……頑張りましょう……〕


「おはよう……今日はどうした?」


〔無口路線で攻めてみようと思ったのですが、やっぱり迷宮のお口は止められませんよー!〕


「う~ん、そうだなぁ……確かに迷宮は賑やかな方が良いなぁ」


〔!!?

王様にデレ期が到来です!?

遂に幻の王様ルート攻略の時ですよ!〕


「あぁ……迷宮は今日も平常だな。

……マオもおはよう」


いつも通りの迷宮だ。

律儀に迷宮との挨拶が終わるまでじっとしていたマオに、いつも通りに挨拶と頭撫でをする。

……シーナはまだ、ベッドの中で小さな寝息を立てている。

今日も一日頑張ろう。




「鍋ぐらいは欲しいなぁ……」


「欲しいですねぇ……」


「……?」


〔鍋です?〕


シーナが起きてからの朝食時、調理器具に思いを馳せる……。


「木の実やキノコも美味しいが、何日も同じように食べ続けると流石に……少し飽きてくる」


「私は山の幸を食べることが新鮮なので、まだ飽きることは無いですけど……お料理出来ないのは残念です」


ここ数日の食事は、採取した物をそのまま食べるか、火を起こして焼いて食べるぐらいしか調理出来ていない……。

火起こしはストーンガーゴイルを作成してからは魔術で簡単に出来るようになったが、その前までは石材で火花を散らし、燃えやすい種類の木材を燃やす……と、正直かなり面倒だった。


「形の良い石を組み立てて、かまどは作れる。

水も流れている量は少ないから時間は掛かるだろうが、畑への水路から汲めば良いし、迷宮の外に汲みに行けば良いが、肝心の料理は……」


「平たい石を使えば、焼く料理は出来ます……ですが、煮込みなどの料理は出来ないので、やっぱり残念ですね」


「……鍋か」


「フライパンでも大丈夫ですけど……」


「……五十歩百歩だよなぁ」


「うぅ……」


「水を入れられる物か…………うん?」


話の途中でマオが畑部屋に向かって行き、直ぐに帰って来る……。

何かを見て欲しい雰囲気を出しているので、マオに目を向けるが……。


「…………!」


「……その気持ちだけで十分だよ。

マオ、ありがとう……」


「…………」


マオは小さな両手に水を汲んで、僕に差し出していた。

きっと、その手を鍋代わりに……と言いたいのだろうが、如何せんマオの手は小さく、当然だが水の量も少ないため、料理には使えない。

何よりも、マオの手を鍋代わり……つまり、下から火を当てるなどは考えたくもない!


僕のために、自分に出来ることを精一杯考えてくれたんだろうが、これは無理だろう。

頑張ってくれてありがとうと言う気持ちを込めて頭を撫でる僕に、少しだけしょんぼりとしてしまった……。


「鍋の代わりになりそうな物……か」


中の水が零れず……且つ、燃えない物……うん? 何か有った気がする……う~ん、思い出せない。


「どうしました?」


「使えそうな物が有った気がするんだけど……何だったかなぁ?」


「考えても出てこない時は、気分転換したらどうですか?」


「気分転換かぁ……食後の運動に散策にでも行こうかな?」


「私もお供します!」


「……水浴びしたい?」


「…………はい」




迷宮のいってらっしゃいませー! と言う言葉を聞きながら散策に出発する。

同行する防人を見て不思議に思ったが、何故かマオを入れると11体が外に出て来れている……。

試しにマオを迷宮に待機させて、11体目――ウッドマリオンに外に向かわせたが、いつだったかのマオのように、ポーン! と跳ね飛ばされ迷宮に戻されていった。

……マオがどんどん規格外になっている気がする。


「……マオは凄いな」


「??? ……♪」


良く分かっていないようだが、褒められたと思い、マオは喜んでいた。




「それではお兄さん、私は水浴びに行って来ますね?」


「あぁ、気をつけてな?」


「マリオンさんたちが守ってくれますから、大丈夫ですよ」


外についてから僕とマオとストーンマリオン5体で散策に向かい、シーナは水浴びに向かう。ブロンズマリオン5体は、シーナの護衛として同行させた。

マイムマイムの効果が届かないだろうが、ブロンズマリオンならある程度の強さが有るから大丈夫だとは思う……。


「散策しながらも採取はして行こう」


「……!」


マオとストーンマリオンたちと一緒に、当てもなく緑溢れる山の中を歩く。

途中で木の実やキノコ見つけては採取する……やっぱりマオは毒持ちしか採取しないが……。


「おっ? もう1キロトか?

……残念だが、ここまでか」


真っ直ぐに歩いていたが、突然マオを筆頭に見えない壁のような物にぶつかり、僕の近くに来れなくなった……。

相変わらず鍋の代わりになるものは思い出せないが、気分転換としては十分だ。


「少し早いけど帰るか……」


「……」


見えない壁を鉄の剣で切り付け続けるマオを抱き上げ、見えない壁から離してから下ろし、迷宮に帰るため、元来た獣道を歩く。

シーナも水浴びを終わっている頃だろうし、昼食にしようかなぁ……?


「やっぱり鍋とか欲しいよなぁ……マオ、どうかしたのか?」


「…………」


獣道を引き返し、帰路を歩く僕の前にマオが出る。鉄の剣を再び握り締め、切っ先を目の高さに来るように構えている……。余りにも真剣なマオの姿に、自然と僕も警戒する。


「……!!」


「マオ!?」


突如マオが走り出す! 真っ直ぐに迷宮の在る方へと向かうマオに、一瞬呆然とするも直ぐにストーンマリオンを連れて後を追う。

マオに追いつき、一緒に迷宮へと走る。

迷宮に近付くにつれ、グルルッ! と言う鳴き声と、ギギギッ! と言う鳴き声が聞こえてくる。


魔物!? 僕のいない間に迷宮襲撃か!? ……いやそれより、迷宮の近くの川にはシーナが!!


走る速度を更に強める。

1キロトがやけに長く感じる……迷宮の入り口はまだか?


漸く迷宮の入り口が見えた! 実際は五分も経っていないだろうが、気持ちが急いていたからか、やっとか! と言う思いだ。

息も絶え絶えだが、直ぐに川へと視線を移す。


「ウォルグと……蠍の魔物か?」


川の傍では三つ巴の戦いとなっていた。

ブロンズマリオンが4体とウォルグが6体、それに淡い青色の甲殻に包まれた蠍に似た魔物5体が互いに攻撃を繰り出している。

蠍の魔物は尾の針まで合わせると、体長120セント以上は有るだろうか? 両の手には鋭い鋏を持ち、頭上には尾の針が構えられている。

蠍の魔物には、毒が有るのだろうか? 2体のウォルグが地に倒れ伏している。そのウォルグたちは口から泡を溢れさせ、身体を小刻みに震わせている。

ブロンズマリオンは1体やられてしまったのだろう、折れた銅の剣が倒れ伏したウォルグの傍に落ちている……。


……いや! それよりも今はシーナと残りのブロンズマリオンのことを考えるべきだ!


「ブロンズマリオンたち! 警戒しながら迷宮の方に下がれ! ストーンマリオンは僕を守るように待機だ!」


マイムマイムの効果から、戦っているブロンズマリオンたちも命令を聞き、武器を構え敵を警戒しながら迷宮の入り口へと下がる。


「シーナ! どこだ! 返事をしてくれ!」


僕たちも迷宮の入り口に行き、ブロンズマリオンたちと合流する……シーナはどこだ!?


〔王様!? シーナちゃんは迷宮には帰って来ていません!〕


迷宮の入り口だからか、迷宮の声が聞こえる……帰って来ていない? なら、外にいるのか? どこだ!?


「……!!」


「マオ!!? マオに続くぞ!」


マオが何かに気付き、再び走り出す。シーナを捜している今、走り出したと言うことはシーナを見つけたんだろう。

マリオンたちを引き連れてマオに続く……。


「……あぁ……嫌ぁ……嫌なの……」


ウォルグと蠍の魔物が戦っている場所より少し離れた川岸に、シーナが蹲っている。服を着る間も無かったのか、白い身体は何にも隠されていない。

良かった……無事だったのか……。


「シーナ! 大丈夫か?」


「……赤いのは……嫌なの……」


「シーナ?」


「首から……爪が生えて……血が溢れてるの……赤いの……嫌なの……怖いの……」


爪? 血? これは……。

確か……迷宮に来る前にウォルグに襲われたと……トラウマか!?


「シーナ!!」


「痛い! 背中が痛いの! 逃げなくちゃ……! 食べられちゃうの!! 助けて……痛い……助けて……痛い……」


「シーナ……」


そっと抱きしめる……。滑らかな背中を優しく撫で、シーナの耳を僕の胸に押し当てる。


「大丈夫だ……僕やマオ、迷宮が守るから……安心して良いんだ……。

ウォルグがどれだけ来ようとも、絶対に守るから……」


大丈夫、大丈夫と囁き、背中を撫で続ける。

シーナは抱きしめられながらも、痛い、助けてと震えながら言い続けていたが、やがて眠りに就いた……。




「魔物は無視だ……と言いたいが、ここにいるウォルグが侵入して来ないとも限らない! ……倒すぞ!」


蠍の魔物には悪いが、ウォルグ共々全滅してもらう!

シーナを抱き上げて、一旦迷宮の入り口まで引き返す。


〔王様! シーナちゃんは大丈夫ですか!?〕


「外傷は無いが……精神的に疲れて眠ってしまっている……ガーゴイル!」


「カカッ!」


「シーナをベッドまで運んでくれ……優しくな?」


「カカカッ!」


「迷宮、蠍の魔物についての情報を教えてくれ」


入り口までシーナを運ぶと待っていたかのように、心配する迷宮の声が聞こえてくる。

とりあえずは大丈夫だと説明し、ガーゴイルに運んでもらう。3体のガーゴイルが丁寧にシーナを運んでいくのを見届け、迷宮に蠍の魔物の情報を聞く……が。


〔迷宮内にいないと分からないです……ごめんなさい〕


「そうか……仕方ないな……」


無理だったか……。

蠍の魔物の評価が分からないが……やるしか無いな!







迷宮情報 11日目

迷宮評価 8

迷宮パワー 713 毎日+13

迷宮コスト 33+2

迷宮階層 全3階

迷宮部屋数 全10部屋


防人一覧

マオ ストーンマリオン

ウッドマリオン 20体

ストーンマリオン 5体

ブロンズマリオン 4体

ストーンガーゴイル 2体

ブロンズガーゴイル 1体


罠一覧

簡易射槍壁 12個


施設一覧

畑 規模(小) 2反


人物一覧

シーナ シビリアン

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