王様! 迷宮充実ですよ!
〔王様!
おはようございます!
……べ、別に王様が目を覚ましてくれて嬉しいとか、そんなんじゃないんだからね! ……ですよ〕
「…………そうだな、それで良いんじゃないか?」
〔!!?
迷宮が慣れない言葉を使って、羞恥心で胸をドキドキさせているのに、生返事どころか会話すら成り立っていません!
迷宮とのことは遊びだったん「おはよう、マオ」…………しくしく〕
もう迷宮が可笑しいのは仕方ないので、軽く流してマオに挨拶する。
ただな? マオ……寝息すら顔に当たっていただろう距離に、顔が有るのはどうなんだ?
「……♪」
「ふにゃっ?」
マオがいつものポーズをする……が、ベッドの中でそんな動きをしてしまえば、当然ベッドの掛け布が引っ張られてしまうわけで……反対側に寝ていたシーナの掛け布が取り払われてしまい、シーナが寝ぼけた声を上げる。
「シーナもおはよう」
「……お兄さん? おはようごにゃいまふ……」
「…………」
朝に弱いのか?
シーナは挨拶をしながら上半身を起こしはしたが、目はしょぼしょぼしているし、頭がゆらゆらと揺れている……。
〔…………王様ぁ。
そろそろ迷宮にも、おはようを言って欲しいですよー?〕
「うん? ……おぉ! 言ってなかったなぁ……」
〔忘れられても王様に健気に尽くす迷宮……マジ天使ですよ!
いつかきっと、『王様! マジ天使ですよ!』と言う物語が「無いなぁー」……ぐしゅぐしゅ〕
……流石にやり過ぎただろうか? ……自分でやっておいて何だが。
「今更だが、迷宮おはよう」
〔…………〕
「迷宮?」
〔王様に弄られると、何だかイケない気分にさせられてきましたよ!
これがきっと! Mの道への出発点ですかー?
……俺よりMい奴に会いに行く! ですよ!〕
「…………」
もう放っておこう……主に僕の精神のために。
「マオちゃんおはようー」
「……♪」
シーナの目が覚めてきたんだろうか? マオと挨拶している。
そんな二人の間に僕が挟まっているので、直ぐにシーナは僕の視線に気付き、こちらに顔を向けてきた。
……真剣な顔つきで。
「お、お兄さん……」
「うん? どうした?」
その真剣な顔に、正面から視線をビシビシとぶつけられているため、自然にこちらの顔も真剣な雰囲気に強張り始める……。
どんな話が来るんだ? と、僕は戦々恐々としているが、言い辛いことなのだろうか?
一応、暫くはここで暮らす仲間のため、余程の問題でも僕は頑張って協力するつもりだ。
どんと来い!
……そう思っていた時期が、僕にも有りました。
シーナは僕の顔を見ながら、ポンッ! と音がしたかのように顔を赤らめ、ゆっくりと目を閉じて唇を口づけるような形に変えていった……。
「…………」
「ど、ど、どうじょ!?」
……その姿に昨日―――正確には今日だが―――の睡魔にやられる直前のシーナの言葉を思い出した。
……良し! 大人として、この少女のためにお話しをしよう、いやしなければ!
「とりあえず座りなさい」
「もう座っていま……はい……」
「……?」
何故かマオも真似しているが、いつものことだからそっとしておく……。
「女の子が簡単に唇を許すのはいけない」
「……でも、眠っている間に奪われちゃいました」
「……あれはシーナに手当てするためにした、医療行為と言うやつだ」
「でもでも、キスに代わりは有りません」
「こういう場合はカウントはしないものだよ……たぶん」
「……初めてのキスでした」
「ぐっ!? いや、だから……カウントを……」
「私の初めては、お兄さんに奪われてしまいました……」
「その言い方は色々とまずい……」
「うぅー……」
…………お話しは無理だった。所詮、僕は山奥で生活していた、しがない山人……人に説くことなど出来ないのか……無念だ。
だが、最終的には自身を大切にすると言うことは分かっていたようで、問題は無さそうだった。
……なら、お話しは僕の精神にダイレクトに自爆アタックを繰り出しただけになったわけだった……。
もう、僕の精神力はゼロだと思う……。
その後、何とか立ち直った僕はシーナを連れて迷宮を回る。
マオは畑に向かって行き、また踊っていた。とても畑が好きなんだろう。
迷宮? ……ドMの波動に目覚めた誰かが、ドSに洗脳された誰かと戦うんですよー! とか、楽しそうに妄想しているから放っている。
シーナにたくさんのマリオンを見せた時はとてもびっくりしていたが、直ぐにニコニコとしていた。ガーゴイルに対しては若干怖がっていたが……。
シーナがガーゴイルを怖がっていたため、ブロンズマリオンとストーンマリオンを同行させて採取に向かう……ゴブリンキングとの戦いで素材の貯蓄がまずいことになっている……。
ストーン2体とブロンズ2体の4体構成の2斑に分かれてもらい、食べ物と素材集めにそれぞれ行ってもらう。
離れるとマイムマイムの効果が受けられないから少し心配だが……。
残りの2体には僕とシーナの護衛に就いてもらい、僕とシーナは順番に水浴びをする。
僕はともかく、シーナは女の子なわけだから水浴びはやっぱりしたいだろう……現に水浴びを終えたシーナは、さっぱり出来たのが嬉しいのか、より笑顔になっていた。
水浴び出来るように迷宮に水を引こうか……?
昨日考えたように、シーナをフルトホルンの街に送ることは現状ほぼ不可能だろう。
なら、暫くは一緒にいるわけだから、水浴びぐらいは快適に出来るようにしてあげるべきでは……?
しかし、コスト5……実質は現状から3増えるだけだが、毎日となると以外に多いだろう……。
今でこそ迷宮パワーは700を超えているが、いつ何時、魔物が来るか分からないし、逆に魔物が全く来ない日が続くことも考えられる。
700は多いが、防人に依る伏兵などを戦略に組み込むことを考えると、正直足りない……。防人は必要なコストだが、それ以外の部分で節約出来たり不可欠じゃない物には、今はまだ使うべきでは無いだろう……。
残念だがシーナには、採取の時に水浴びをしてもらおう。
「いっぱいですね♪」
「これだけ有ればある程度には備えられるだろうな」
水浴びを終えてからは、シーナとマリオンたちと協力して採取に励む。
結果、貯蓄分を合わせて食料は二週間分ぐらい、
木材はマリオン20体分ぐらい、石材はマリオン30体分ぐらいになった。
……銅はマリオン2~3体分ぐらいだ。
定期的に採取して食料と木材と石材だけでも、切れさせないようにしないとなぁ……。
鉱脈も一応探したが、1キロトの範囲内に都合良くは無かった。
……だが! シーナが素晴らしい知識を持っていた!
ワタタン草と呼ばれる草が有る……そのワタタン草を丁寧に加工すると、布になるらしい……。
加工途中に色々とやるらしいが、これが中々難しい(聞いただけだが)。
シーナがいる間は、加工をお願いすることになりそうだ……シーナはお世話になるんですし、裁縫とか料理とか家事は得意ですから任せて下さい! と、嬉しそうに任されてくれた。良い娘さんだ。人形満載の迷宮にも適応してくれるし……ある意味変わってるとも言えるけど。
結局……今日は魔物の侵入も無く、のんびりした日になった。
ワタタン草も迷宮内で育つらしいので、畑を拡張して加工しない分を植えてみた。必要迷宮パワーは2だった。
広くなった畑に、マオが凄くはしゃいでいた。畑の何がマオをそうさせるんだろう……?
迷宮は僕が気が付いたらいなくなっていて寂しかったらしく、外から帰って来て暫くはぐしゅぐしゅと泣き声に絡まれてしまった……。
それからシーナの部屋も作ろうとしたが、孤児院では皆で生活していたので、一緒の部屋でも構いません。と言うことで作らなかった。迷宮パワーの節約である。
一応、寝室と畑部屋に扉だけでもと思い、木製の扉をそれぞれ作成する。必要迷宮パワーは1だった。
扉の作成途中に、木製のベッドが作成出来ることを思い出し、作成した……が、文字通り木製のベッドだけだった……。
必要迷宮パワーは2だった。
シーナが布を作成するまで結局、暫くは一緒に寝ることになった。
明日も頑張ろう……。
今日も三人で眠るのだった。
…………マオ? 畑に毒キノコを植えても意味がないぞ?
迷宮情報 10日目
迷宮評価 8
迷宮パワー 735 毎日+13
迷宮コスト 33+2
迷宮階層 全3階
迷宮部屋数 全10部屋
防人一覧
マオ ストーンマリオン
ウッドマリオン 20体
ストーンマリオン 5体
ブロンズマリオン 5体
ストーンガーゴイル 2体
ブロンズガーゴイル 1体
罠一覧
簡易射槍壁 12個
施設一覧
畑 規模(小) 2反
人物一覧
シーナ シビリアン




