王様! 戦いの後ですよ!
〔…………て!〕
…………ん……。
微かに声が聞こえる……。
〔……王……て!〕
再び聞こえる声と共に、ゆさゆさと身体が優しく揺らされる……。
その心地好い揺れに誘われるように、再び眠ろうと意識を手放す……。
〔王様ーー!!
起・き・て・下さーーい!!〕
「うわっ!!? 何だ、何……あ痛っ!?」
「!!!」
突然の大きな声に驚いてしまい、身体が跳ねるかのように起き上がる……が、ゴンッ! という鈍い音と共に頭が鈍い痛みに襲われ、靄に覆われていた僕の意識が一気に覚醒させられた。
「い……痛い……」
〔あっ! 王様が起きて下さいました!
傷は大丈夫ですか?〕
「いや、かなり痛いな……頭がくらくらする……」
〔……いえ、頭では無くてですね、脇腹の方ですよ……〕
「脇腹……!!?」
そうだ! ゴブリンキングは!?
いや、ゴブリンたちはどうなった?
思い出すのを待っていたかのように痛み出す脇腹を押さえつつ、慌てて辺りを見渡す。
直ぐ目の前の地面には、鉄の剣と鉄の鎧、赤色のボロボロのマントが、主だけを失ったかのように落ちていた……。
その一式の装備品よりも僕から近いところに、マオが座っている。
……額を摩っていたが起きた僕に気付くと、両手を上に上げるいつものポーズをやりだした。
そんなマオの頭を撫でながら更に広範囲を見渡すが……ゴブリンたちは1体もおらず、15体ぐらいのウッドマリオンと、2体のストーンマリオンが膝を抱えて座っていた……。
「迷宮……ゴブリンたちはどうなったんだ?」
〔ゴブリンジェネラルたちは、ゴブリンキングが倒されたことから撤退して行きましたよ!
ただ、2階層のゴブリンとゴブリンウォリアーは撤退しなかったので、マリオンたちが倒しました〕
「2階層……ってことは、1階層のゴブリンたちは……」
〔……2階層のゴブリンジェネラルと共に撤退して行きました〕
……2階層のゴブリンとゴブリンウォリアーは、目の前に敵がいたから最期まで戦った……。
1階層の生き残ったゴブリンとゴブリンウォリアーは、撤退したと言うことは……。
「生き残った防人は、此処にいるマオとウッドマリオンとストーンマリオンだけなんだな?」
〔はい……〕
「そうか……」
最終的には、僕が残っていたらそれは勝利と言える。
でも……やっぱり戦闘が終わってから、防人たちのことを考えてしまうと胸が痛いな……。特に今回は、ストーンガーゴイルたちを始めに1階層の防人は僕が死地に向かわせたようなものだから、尚更だな…………。
〔……例え自身が滅んでも、王様を守るために戦えたことを、防人たちは誇りに思っているはずですよ……。
だから誇ってあげて下さい。防人たちの存在を。
だからこそ讃えて下さい。防人たちの戦いを。
防人たちのおかげで勝利出来たと……〕
「……もちろんだ。
迷宮の王としても、ただの僕としても防人たちに感謝をしているよ」
〔はい!〕
「……♪」
その後、いつものように戦利品を集めてもらったが、激しい戦いに因って多くは破損していた……。
中でも木のこん棒はほぼ全て破損していたため、全部素材に回すことにした。
銅の剣と革の鎧も破損している物が多く、殆どを素材に回す。
皮肉にも、破損の所為で銅の素材が手に入ったので、早速ブロンズの防人を作成しようと思ったところで、迷宮パワーに気が付いた……。
「…………迷宮パワーが798……?
……はぁ?」
〔いっぱいですよー♪
嬉しいですよー♪
今夜はご馳走ですよー♪〕
迷宮の変な歌? を聞きながらも回らない頭で考える……。
大量にゴブリンたちがいたとしても、こんなにも増えるのか?
……ゴブリンキングの迷宮パワーが余程多かった……のか?
深く考えても、何せ気絶していたのだから分からない。
考えることを放棄して、防人作成を開始する。
「そういえば、迷宮評価も上がっていたな……。
何か新しい防人作成とかは有るのか?」
〔有りませんよ!〕
「……何も?」
〔はい! 一つとして有りませんよー!〕
「……えぇー」
〔ブロンズの防人で我慢して下さい〕
「…………うん」
気を取り直して防人作成を開始。
ウッドマリオンは、しっかりと数えると14体いたので6体作成する。
ストーンマリオンも、切りの良い5体にするために3体作成する。
ストーンガーゴイルは、コストが痛いが遠距離攻撃はもちろん、奇襲や撹乱にも使えるので2体だけ作成する。
そしてお待ちかねのブロンズの防人は、ブロンズマリオンを5体、ブロンズガーゴイルを1体作成した。
ブロンズマリオンは作成に必要な迷宮パワーは1体につき5、素材は1らしい。大体銅の剣1本分ぐらいだった。
ブロンズガーゴイルは必要迷宮パワーが7、素材は2だったが……。
〔ブロンズマリオンとブロンズガーゴイルの情報を表示します。
ブロンズマリオン
迷宮コスト 複数で6
戦術評価 24
魔術評価 18
技術評価 25
思考評価 15
ギフト一覧
無し
ブロンズガーゴイル
迷宮コスト 7
戦術評価 26
魔術評価 32
技術評価 55
思考評価 25
ギフト一覧
無し
以上です!〕
「ブロンズガーゴイルのコストの高さに、全王が泣いた……」
何となく高いだろうとは想像していたけれど、やはり高かった……。
同じブロンズの防人である、ブロンズマリオンと一緒に表示されている分更に高さが際立つ。
「迷宮パワーが多く無ければ、かなり厳しいな……」
〔その分きっと頑張ってくれますよ!〕
「カカカッ!」
とりあえず今はこれで防人作成を終わらせる。
使った迷宮パワーは合計で58だった……。
余談だが、防人は一応素材変化と言う、簡単に言えばウッドマリオンからストーンマリオンに変化させることも出来るらしい。(迷宮パワーと素材はその分必要)
普通は作成する方が良いので気にしなかったが、マオをブロンズマリオンに変化させるべきかと思い、変化させようとしたが、マオがいやいやと首を振りながら後退りをしたので断念した。
「防人作成で侵入者への備えも完了したことだし、眠るとしようか……」
〔そうですね……零時も過ぎてしまって日付も変わっていますからね……。
ゆっくりと休んで下さいよー!〕
欠伸をしつつ寝室に向かう。
もちろんマオもちょこちょことついて来る。
「そういえばそうなんだよな……」
〔でしたねー〕
「……!!」
寝室についてから、迷宮の中に有る唯一のベッドに、眠れる少女がいたことを思い出した……。
困ってしまった僕に気付いたマオが、少女に突撃しようとするのを察知して抱き上げながら、どうしようかと悩む……。
「また苦しそうだな……」
〔そうですね……〕
魘されている少女を見遣りながら、じたばたと身体を動かすマオを落ち着かせる。
次第に大人しくなっていったマオを下ろしながら、沈痛効果の薬草と滋養効果の薬草を口に含み、少女に口移しで流し込む……。
「うぅ……ん」
コクコクと小さく喉を鳴らしながら嚥下する少女が、口を塞がれて息苦しいのか小さく唸る。
その声を聞きながらも、ゆっくりと流し込んでいき……もういいだろうと唇を放そうとした瞬間!
ぱちりっ! と少女の目が開かれた。
「…………」
「…………」
〔……わぁ……〕
唇が重なったまま、見つめ合う僕と少女……。
今夜はまだ、眠れそうには無いらしい……。
迷宮情報 10日目
迷宮評価 8
迷宮パワー 740 毎日+13
迷宮コスト 33+2
迷宮階層 全3階
迷宮部屋数 全10部屋
防人一覧
マオ ストーンマリオン
ウッドマリオン 20体
ストーンマリオン 5体
ブロンズマリオン 5体
ストーンガーゴイル 2体
ブロンズガーゴイル 1体
罠一覧
簡易射槍壁 12個
施設一覧
畑 規模(小)
人物一覧
シビリアン 1体




