表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/42

王様! ゴブリンキングとの決着ですよ!

2階層の大部屋の南……通路の前まで走る。直ぐ後ろから、ゴブリンキングたちの迫る気配を感じる……。


「逃ガサヌ!」


階段を降りきったゴブリンキングたちを、振り向いて確認する。

2階層に降りて来たゴブリンは、ゴブリンキングの他に、ゴブリンジェネラルとゴブリンウォリアー、ゴブリンがそれぞれ数体ずつのようだ。


……もう少しだけ数を減らしたかったが……仕方が無い。

大部屋の南――通路前で、ゴブリンキングたちの方に向き直る。


そのゴブリンキングたちに、待機させていたストーンゴーレムとストーンマリオンが殺到する!


「……コレガオ主ノ我ヲ仕留メルタメノ罠ナラバ、我ハオ主ヲ過大評価シテイタラシイナ……」


「…………」


「沈黙スル……本当ニ万策尽キタカ……?

迷宮ノ王ヨ……少シ残念ニ思オウ。

我ガ刃ニテ冥府ヘト向カウガ良イ!」


まだだ……。

ゴブリンキングの口上を聞きながらも、ストーンゴーレムとストーンマリオンと、戦っているゴブリンキング以外を注視する……。


「終ワリニシテヤロウ! 迷宮ノ王!!」


その言葉と共に、ゴブリンキングが鉄の剣を掲げ、僕に向かって突撃して来る!

階段のゴブリンたちとの距離が開いている……。


……今だ!


「迷宮! 防人作成だ!

ウッドマリオンを20……いや30体!

最終確認はもちろんいらない! 最速で作成してくれ!」

〔了解しました! ウッドマリオン30体を作成します!

交戦状態のため、必要迷宮パワーは5倍となります!

ウッドマリオン作成に必要な迷宮パワーは150、素材は木材が30です!

確認無しで作成します!


…………必要素材が足りません!

作成範囲内の素材で作成可能数は27体です!

必要迷宮パワーは135です!

その数で作成を継続します!〕


交戦中に倒して得られる迷宮パワーを考慮して、20体作成するつもりだったが、予想以上に迷宮パワーが増えたことも有り、更に10体上乗せした……が、用意して有った木材の方が足りなかったか……。

だが、これで……。


木材が埋まっていく光景に、ゴブリンキングが僅かに眼を見開いたが……直ぐに不敵な笑みを浮かべた。


「作成……ト言ウコトハ、伏兵ノツモリダッタカ?

ソレガ本当ニ最後ノ策ナラバ、残念ダッタナァ……伏兵ガ現レル前ニ、オ主ノ首級ヲ掲ゲサセテモラオウカ!!」


ゴブリンキングが更に突出して来る……。

1体だけで……。

僕とマオの方に、向かって来る!

単身でも僕を仕留め得ると、慢心して突出する……言い換えれば、孤立している!


もはや恐怖から来る震えは、ゴブリンキングを挑発していた時ぐらいから限界を超えて、感覚が麻痺しているのか、震え無くなっていた。

しかし、僕でも分かるような明確な殺意を受け、再び身体が震え始める……歯がカチカチと音を立てる。


そんな僕の前に、小さな勇者が立つ……。僕を守るように。それでも震えは止まらない!


だが! この僅かな間だけで良い……!

僕の身体……動いてくれ!

勝つために……動いてくれ!


「ストーンゴーレム! ゴブリンキングの背後を強襲しろ!

叩き潰せ!」


「フン! 小癪ナ!

……何ダト!?」


僕の言葉に、ゴブリンキングは後ろ良く見ずに、振り向きざまに鉄の剣を一閃させる……だが、ストーンゴーレムは他のゴブリンたちの相手をしていて、ゴブリンキングには見向きもしていない!


ストーンゴーレムは思考評価が低いから、ゴブリンが目の前にいる状態で、命令を聞くことは無い。


ストーンマリオンに命令してしまえば、ストーンマリオンは命令に反応してしまい、ストーンマリオンに隙が出来、結果交戦中のゴブリンにやられてしまうだろう……。


だが、命令通りに来ると思っていたゴブリンキングは、背後を見る暇も無いまま咄嗟に鉄の剣を振ってしまった……。

空振りと言う、大きな隙を生み出して!

その隙を逃す理由は無い!!




「『ストーンガーゴイル』! ゴブリンキングに魔術を放て!!

更に魔術を放ってから直ぐに、自身も突撃してくれ!」


「カカカッ!」


隙を見せたゴブリンの王に、2階層の通路に待機させ、僕が戻って来てからは僕の背後に隠していた、4体目の……最後のストーンガーゴイルが魔術を放つ!


孤立した王を守る者は誰もいない。


その裸の王に、人間の頭ほどの大きさの火の玉が飛んで行く! 更にその火の玉のをストーンガーゴイルが追うように飛ぶ!


仕留められるとは思っていない。

だが、かなりの痛手は与えられるはずだ……!


「ヌゥ! ヌオォーーー!!!」


「カカッ!?」


なっ!?


しかし、迫る火の玉に気付いたゴブリンキングは、振られた鉄の剣に因って泳いだ身体を一回転させ体勢を戻し、そのまま鉄の剣を持っていない左手で火の玉を『握り潰し』、火の玉の後ろから襲い掛かるストーンガーゴイルに、ドスリ! と、鉄の剣を突き立て地面に串刺しにする!


突き立てられたストーンガーゴイルは、辛うじて消えてはいないが、時間の問題だろう……。

ストーンガーゴイルの魔術と突撃は、左手に火傷を負わせるだけで、防がれてしまった……。




でもな……?

僕はストーンガーゴイルで仕留められるとは思って無い!


言わずとも理解してくれる小さな勇者が、ゴブリンキングとストーンガーゴイルの一連の攻防が始まる前に動き出し、ストーンガーゴイルがやられた瞬間に、ゴブリンキングの左手の方から攻撃を仕掛ける。

狙うのは……鎧に覆われておらず、且つ、致命傷になり得る箇所……首だ!


「……!!」


「!!?

オノ……レーー!!」


「……!?」


マオの持つ銅の剣が、ゴブリンキングの首を切…………れなかった。

横薙ぎに銅の剣を振るおうとしたマオの頭を、剣が振るわれるよりも速く左手で掴み、地面に叩きつけられた。


「流石ニ肝ガ冷エタゾ……?

見事ナ策ダッグヴェッ!!」







…………グチュリ! と、肉に突き刺さる生々しい感触が両手に伝わって来る……。


僕の両手に、強く握られているのは銅の剣。前日の僕を仕留めようとしたゴブリンジェネラルからの戦利品だ。

殺されかけたため、最低限の備えとして、防人に渡してはいなかった物を、ストーンガーゴイルと同じく通路に隠していた。


「ガ……ァ……!? ゴプッ!」


「油断しただろう……?

伏兵と強襲を全て防いで……残るのは、戦えない迷宮の王だけだと思って油断しただろう!?」


「ゴフッ! ……マ、サカ……!」


「僕は戦えないんじゃない! 『戦わなかった』んだ!」


そう……迷宮の王になってからは防人がいることと、魔物に狙われやすくなったことから戦わなくなっただけで、本当は有る程度は戦える。

全く戦えなかったら、一人暮らしの時に山奥には住んでいない……。


ゴブリンジェネラルたちが偵察していた時に、僕自身は何もしなかった……。

あのゴブリンジェネラルの強襲の時にも、不意を突かれたことと油断していたことから、身体が動かなかった……。

非常の時でも一切動かない僕は、偵察していたゴブリンたちから見たら、どう考えても戦えない王にしか見えなかっただろう。


実際、あの後直ぐにはこの作戦は思い付かなかったが、勝つための作戦を練るうちに、戦えないと思われていることを逆手に取ることを思いついた……。

尤も……昨日の今日の付け焼き刃のような作戦だったから、流石に完璧に上手くいく何て思っていなかったが……。


「この戦いは……僕たちの勝ちだ!!」


ブヂュリ! と、更に首に銅の剣を深く食い込ませていく……首と胴が分かれるように。

ゴブリンの王……死んでくれと、強く願いながら……。

だが……!


「オ゛ォ゛ォ゛!!!」


「ガッ!!?グハッ!?」


〔王様っ!!〕


突然、脇腹に衝撃を受け、その衝撃の余りの強さに身体が跳ね飛ばされ壁に叩きつけられる……。


ゴホゴホと咳き込む口からは、血が吐き出される。

な、何が……?


痛む脇腹と溢れる血を無視して、ゴブリンキングがいる場所に視線を向ける僕の眼に映ったのは、銅の剣を首から生やし、今にも倒れそうに弱々しく身体を震わせながらも、僕を殺さんとする殺意を湛えた眼を向ける、ゴブリンの王の姿だった。




「迷……ギュ……ウ゛ノオウ゛……見事ダ……ッタ。

ワレ゛ハ……ダズカランダロ……ウナ。

オヌ゛ジノ……勝チダ……」


その王が自身の最期を告げながらも、一歩……また一歩と近付いて来る……。


「ダガ……ナ゛?

ワ゛レハ……同胞タヂ……ノ、タメニ゛モ゛……オ主ヲ……冥府ヘ……ノ、道ヅ……レニ……」


「あ……あぁ……」


〔王様っ!!

立ち上がって下さい!

どうか逃げて下さい!〕


分かっている……!

だけど! 逃げようと身体を動かそうとしても、動かないんだ!


ゴブリンの王が一歩近付く……。


僕は……動けない!


ゴブリンの王が一歩近付く……。


壁に張り付いたかのように、壁に預けられた身体は動かない……!


〔王しゃま!!!〕


「共……ニ、冥……府ニ……マイ゛……ロウ゛……ゾ!!」


鉄の剣がゆっくりと、ゴブリンの王の上まで持ち上げられる……。


周りではまだ、ゴブリンたちと防人たちが争っているはずなのに、耳には何も入っては来ない……。


……なのに、迷宮の声だけは聞こえる……。


また泣いてるなぁ……。本当に僕と共に在る迷宮は泣き虫だな……。

泣いてしまうのは、全部僕のためだけど。




……僕が死んでしまったら、迷宮も崩壊するんだっけ?

それは嫌だな……。


迷宮に突然契約させられた時はびっくりしたけど、一人暮らしでは得られないモノが得られた……。迷宮とマオという……家族だ。


大切な家族を……死なせたくはない……。


そう……だ!

僕の所為で、家族を死なせるわけにはいかない……!




最後まで……最期まで抗ってみせる!

ゴブリンキングを睨みつける! 殺されて堪るかと!


家族を守ると決意して、ゴブリンキングを睨みつける僕に、ゴブリンキングの鉄の剣が振り下ろされ…………ずに、ゴブリンキングの首が切り落とされた……!




崩れ落ちる首無しのゴブリンキングの身体の傍には、銅の剣を握り締めるマオの姿が在った……。


「マ……オ……?」


倒れ伏したゴブリンキングと、マオの姿を見つめながら……僕は……意識を……失った。


耳にはやはり、迷宮の声が届きながら……。







迷宮情報 10日目

迷宮評価 8

迷宮パワー 754 毎日+13

迷宮コスト 6+2

迷宮階層 全3階

迷宮部屋数 全10部屋


防人一覧

マオ ストーンマリオン

ウッドマリオン 17体

ストーンマリオン 2体


罠一覧

簡易射槍壁 12個


施設一覧

畑 規模(小)


人物一覧

シビリアン 1体


侵入者一覧

ゴブリンジェネラル 4体

ゴブリンマージ 1体

ゴブリンウォリアー 8体

ゴブリン 5体


(いらない)補足




迷宮情報に、きっと誤字は有りません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ