視線①
あれは都立高校入試試験の本番前日のことでした。
私が自室の中で最後の詰めとして過去問を解いていました。その時、ふとどこからか視線を感じました。それを私は、最初は緊張のせい、疲れのせい、ストレスのせいだと自分に言い聞かせていました。
しかし、体感で一時間ほど経ってもその感覚は消えませんでした。その「何か」は、確かに私の背後にいると確信してしまいました。じっと、私の背中を、首筋を覗き込むような感覚でした。そこから私は、受験勉強のことなど頭からさっぱり消え、その感覚を気の所為だと頭の中で強く念じるしかできませんでした。しかし、どれだけ気の所為だと念じても「何か」が背後にいるという感覚は消せませんでした。
ついに、私はそれに耐えきれず声を漏らしてしまいました。今でも、その行動をしたことを本当に悔やんでいます。
「やめて……本当に……」
そのとき、風が吹いていないにも関わらず、ひとりでに机の上の消しゴムが転がりました。床に落ちて、コトンと音がなったのが、私には地の底にまで響くように聞こえました。
そこから、私は怖くなって、うつ伏せになって
「お願い……消えて、消えて、消えて、消えて、……」
と目を閉じて祈り続けました。
しかし、そのとき耳元で明確に囁かれました。
「……私の番、だったのに……」
その場で私は絶叫して、振り向きました。




