眠れない私と貴方へ
貴方
昨日が数時間前となった時計。
君にも見えるだろう?見えるなら「見える」と伝えて欲しいものだ。
刻々と進み続ける。1秒に1回必ず鳴るその音でノイローゼになりそうだ。
夜。鬱も孕む青色をした夜。
そんな安寧と混沌の時間に1人横たわっていた。
あまりの目の乾きで眠れずにスマートフォンを眺める。Twitter(現X)もゲームも時間を食う虫だったため消去したそのスマートフォンでできることといえばこのぐらいだった。
「いつぶりだろうか。なろうを開くの。」
そう貴方も思っているのならば、貴方と私は奇跡の出会いだ。
夜はクレヨンで塗りつぶされた。昨日は無くて、数分前も存在しない存在となった。
少年は1人外へと繋がる扉を開けた。
北海道の夏はとても暑い。本州の夏はどうなのであろうか?
夏風とも夜風ともいえる気持ちの悪い、生暖かい風にふれながら歩く。
人工的な光と視力のせいで星は見えなかった。
明日は起きれるのだろうか?
明日は学校だ。確か…明日はテストがあった。大丈夫かな。あ、でも時間を見れば0:00をとっくに過ぎている!じゃあ明日の心配をしなくとも良いのだ!
少年は昼間も夜中も誰もいない空き地に向かう。
橋を越えて空を見渡して、人の目をあざむいて…。
何もいない空き地の真ん中に立つ。
虫もいない。人も星も何もかもがない。
少年は不良少年となってしまったことで誰も好いてくれなくなったのだろうか?
深夜徘徊は眠れるようになるまで続く。
夜空に星座で絵を描いた。少年は幻に憧れた。
自らが創作の中で生きているという簡単なことにも気づかずに、彼は2次元の世界の真ん中で1次元を描いた。
星と嘘の匂いがする中で少年は1人立ち止まっていた。
世界は土の匂いとともに夏の匂いがする。
東の方向にある、高い草が数本生えている丘には1人の少女がいた。
彼女の名前は「アイ」というらしい。漢字で書くと「曖」と書くらしい。とても不思議だ。
少年は彼女に名前を聞くが、流れ星が地球に降るまでは何も喋らずにボーッとしていた。
誰も気づかない間に地球の崩壊が始まっている。
理想的な予想を彼女に話した。
「苦しまずにみんな死んでしまえば、みんな幸せだよね。」
彼女はゆっくりと少年の方を見た。
とても綺麗だった。
顔はライトノベルの表紙のように整っていて、唇はプルプルとしたピンク色。弱々しい表情で語りかける。
「毎日ここへと来てよ。貴方がいないと私が寂しいの。ここにきたら…なんでもする。ご奉仕してあげる。」
少年は驚き、揺らぎ、興奮した。
が、少年はつまらなかった。
「次はもう会えない。たとえ地球が生きていても。」
彼女は泣いた。小さな体で泣いた。
少年と彼女は寝ている間に死んだ。
次また話せるのはいつであろうか。
少年は家へと帰っている途中に空を見上げた。
流れ星はなかったが、名前も色も分からない2等星を見つけることが出来た。
家へと帰ると、誰の声もしなかった。
少年は布団に入ると、また寝れずに一夜を遂げた。
ここまでで1000文字だ。
早いものか遅いものかと葛藤しているうちに眠気が来た。
熱と自由と退屈が巣を作る夜は私を歓迎しているようだ。
交わる男女も鬱で首を吊る明くる日の人気者も自由の奴隷だ。
時計が進まなくなった3.141秒と微弱な時間。
貴方を満たして、貴方を羊水の中で眠れたでしょうか。
私は貴方が気になって気になって眠れません。
がリラックスしていることを願います。