ジャンの秘密の依頼
第1区 そこにある闘技場で大会の予選が始まっていた。予選は1区から10区にある闘技場で
試合をして勝ち上がり先に20人に入れば決勝に行ける。
そして大会で優勝した者には騎士団に入隊できるほかにも賞金が与えられたりさらに
今回の注目品としてレアアイテムも与えられる。
それらを目標に集まった参加者は戦い始める。ジャンもまもなく試合が始まる。そのジャンの
所に騎士団の人達がいて周りがざわついていた。
「じゃぁ注意してね」
「わざわざありがとうございます。レイナさん」
「気を付けなさいよ。ただでさえあなたは注目されてるからね」
「アンナさん。でも今は注目された方がいいですからね」
「それはそっか。そうならないと作戦が痛い!」
「あまり話すんじゃない!まったく。じゃぁ後でな」
「はい。お願いします」
二人は見回りに戻った。ジャンは呼ばれてから控室を出た。そこに行くと観客が大勢いて
盛り上がっていた。
「これが大会。予選でもこんなに集まるんだな」
こういう事は実は初めてなジャン。日本でも実はあまりなく緊張していた。相手は
ランクがCの冒険者。いかにも武道家タイプだった。
「それでは試合を始めてください」
実況が合図を出して試合が始まった。
「すぐに終わらせてやるぞ。強化魔法発動」
「!?魔法使えるのか?でもどうせ強化だけだろうからな」
「その強化をバカにするなよ。こんな事もできるんだからな!」
と相手はこぶしを突き出した。するとそこから衝撃刃が飛んできてジャンはそれを
よけた。ギリギリだったので顔に傷がついた。
「危な!遠距離もできる格闘はやっかいだな」
「そんな心配する必要はないぜ。さっきも言っただろ。すぐに終わらせてやるってな」
まっすぐ突っ込んできた。今度は殴り合いになりジャンはそれをよけながら
反撃していく。格闘系も訓練はしていたが相手程強くはない。
(どうする?この手のタイプはそう当たらないから練習にはなるけど。しかたない)
一度わざと受けて距離を取る。するとまた相手は向かってきた。
「一発で仕留める!喰らえ」
「!?」
激しい音が会場に響いた。ジャンは魔光銃で攻撃した。それが命中して相手は
倒れこんだ。
「威力は十分だったな。この手のタイプはしつこいけど」
「なんだその武器は?」
「これは魔光銃。あんたに撃ったのは氷の魔法と同じ。しかもちょっとやそっとじゃ
崩せない程度の強さにはしてある」
「確かに壊せねぇ。くそ」
相手は倒れこみながらも足についている氷を壊そうとするがびくともしない。それを
見て実況者が決断しジャンに勝利宣言した。
珍しいジャンの武器に会場もざわついている。しかもランクもジャンはDでCランクを
倒したというのもまた盛り上がった。
控室に戻ったら他の参加者達もジャンを見てきた。本人は気にせず出ようとすると
誰かが声をかけてきた。
「君、強いね」
「どうも。あなたも参加者ですか?」
「ええ。是非あなたと戦いたわ。私も同じ武器だから」
とフードから手を出しそこには銃が持たれていた。こっちにもあるにはあるがそれで
戦ってるのは珍しいので驚いた。
「それはちょっと遠慮したいな。それの性能はわかってるから」
「そう。でも勝ち上がって行けばいつかあたるわ。その時はよろしくね」
「あなたの名前は?」
「私はシシ。あなた達の敵よ」
「!?」
「ま、この大会に参加している奴は皆的だけどね」
「そうですね」
耳元で言われたその言葉には棘があった。大会での敵もあるがおそらく彼女は
組織の一員だとジャンは想像した。
大会は順調に進み他の会場も盛り上がっている。ジャンと別行動で動いている
アーヤも一回戦を戦い勝利した。
「予選じゃつまらないの。中には強いのもいるみたじゃが」
「そうですね。私も賛成です」
「そのた何者じゃ。我の後ろを取るとわ」
「ただ偶然ここにいただけですよ」
「よく言うわ。我にごまかしは効かんぞ」
「みたいですね。では正々堂々当たりましたらお相手しましょう」
「お主名は?」
「・・・・・・私はアイリ。よろしくね。警察さん」
「!?」
アーヤは剣を抜いて斬りかかるがアイリは姿を消していた。
「何者じゃあいつは」
この事を宿に戻ってからジャンに報告した。ジャンも同じ事があったのを話した。
それをエスタにも通信で伝える。
「そうか。こちらは特に何もなかったが、注意はしておこう。二人も引き続き調査を
頼むぞ」
「了解」
「意外とやっかいな事になりそうじゃの」
「ああ。しかも相手から近づいてきてこっちの事もわかってる。これでわかるやっかいな
事がある」
「何じゃ?」
「相手の調査の方が上かもという事と、もしかしたら内通者がいるかもしれない事だ」
「内通者、裏切り者がいると言うことか?」
「考えたくはないけどね。俺達の事を知ってるのは一部の人だけ。だからその中で
そういう人がいたらという事も考えないといけない」
「そうか。どうしたもんかの」
「それには一応考えがあるから明日それをしてくるよ」
ひそかに進めていた事を実行するジャン。翌日、ギルドに行ってジャンは誰かを
待っていた。少ししてその人物が現れた。
「お待たせ!誘ってくれてありがとう」
「いや。来てくれて感謝するよヒースさん」
ジャンは警察になってくれそうな人を探していた。それでギルドにいた彼女に声をかけて
いたのだ。彼女はヒース。自称盗賊らしい。色んなアイテムを奪ったり情報収集も
お手のものらしい。
「それで私に依頼したい事って何かな?」
「本当に秘密にできる?」
「もちろん。報酬さえもらえれば私は裏切らないわよ」
「わかったじゃぁ話そう」
ヒースに依頼した事。それは騎士団の調査だった。今の事情を説明しさらに騎士団の
中で内通者がいないかどうかを調べてほしいという依頼をした。
つまり国を調べる事と同じなのでs見つかれば終わる事も分かったうえでヒースは
その依頼を引き受けた。
そしてヒースはすぐに城への侵入をこころみた。