ジャン正式な警察になる!
第3区に帰る途中、ジャンは怪しい気配に気づいた。それは自分を追ってくるのではなくどこか
近くでそれらしい気配があったからだ。
「何かいる。しかも怖いぐらいの何かだ。それでも接近するしかないな」
恐る恐る歩いていくと近くで悲鳴が聞こえた。それは本物の悲鳴だ。すぐにかけつけると路地の裏で
男達が倒れていた。しかも冒険者みたいで全員がランクCはある者達だ。
その男達の後ろに黒いフードを被った人物?がいた。
「お前がやったのか?」
「ええ。おいしかったわ。男の魂は」
「魂?まさか死神のたぐいか?」
「死神?言葉の意味がわからないが、なんとなく理解はできる。私はカリナ。すいませんが
殺させてもらいます」
「!?」
そう言ってカリナは姿を消した。するとジャンの後ろから姿を現して大きな鎌を取り出し
首を切ろうとするがジャンはそれを詠んでいて小剣で防いだ。
「防いだ!?私の攻撃がわかっていたのかしら?」
「ああ。なんとなくだけどな。フードとその鎌でどこに攻撃するか、死神なら首だろうと
思って防御した」
「・・・・・・妙な奴だ。知らない言葉を使い、私の攻撃を防いだ。お前名前は?」
「ジャン。騎士団志望の警察だ!」
「警察?本当におかしな言葉を使う。少し興味が出てきた。すいませんがやっぱり
殺させてもらいます。そしてあなたの魂をもらうわ」
「そうはさせない。あんたを捕まえて組織の事を話してもらう」
二人の戦いが始まった。能力的にはカリナが上だが、そのカリナの予測不可能な動きと
武器で対抗していく。
「どんな戦い方なんだ。こいつは本当に何者だ」
「俺はただの警察だ!魔光銃はあまり効果がないけど、こっちはどうだ!」
「こっち?同じ武器ではないか」
「じゃぁ当たってみてくれ」
ジャンはリロードして普通の銃弾に変えた。そしてバンッ!と銃声が響いた。
さすがにそれに驚きカリナはよけれず肩に命中してしまった。そのすきにジャンんは
間を取って後ろにさがった。
「もしかしてと思ってたけどちゃんと身体はあるんだな。幽霊とかじゃないなら
まだ倒せるかのせいはある」
「こ、こんなのたいしたことはないわ。少し驚いただけよ。でもそろそろ時間みたい
だから今日はここまでにしておくわ」
「そうか。じゃぁ次は捕まえるから」
「それじゃ失礼するわ」
カリナは姿を消した。少しして騒ぎを聞きつけた騎士団員が来て倒れた男達を運んだり
ジャンから話を聞いたりした。
朝、店に戻ったジャン。さすがに疲れたのかこの日は夕方まで部屋で倒れこむように
寝込んだ。
目を覚ますとそこにはアーヤがいた。さらに窓の方にはもう一人のいた。それはエスタだった。
身体を起こして二人を確認した。
「どうして二人がここに?」
「やっと起きか。我はいつもの事じゃが、あやつはさっき訪ねてきたぞ」
「無事でよかった。団員から話を聞いてね。直接聞こうと思ったんだが」
「大丈夫ですよ。疲れて寝てただけですから」
「そうみたいじゃな。じゃがもう少しゆっくりするといい。今は安静にせい」
「ありがとうアーヤ」
「じゃぁ寝ながらでもいいかな?」
「どうぞ」
エスタに昨日の事を話した。それらからエスタはやはりグリムリーパーの仕業だと
思い、さらに調査を進める事にした。
それにはジャンの協力も必要でエスタはジャンを正式に自分の部下にしたいと
申し出た。表立って正式に調査ができるようにするにはそれがいいと思ったからだ。
「でもそれじゃひいきな感じがするけど」
「大丈夫だ。正式と言っても騎士団になるわけではない。まぁさらにその部下とでも
言った方がいいかな。特別部隊、お前の言う警察として正式に任命したい」
「そうですか。それなら喜んで受けます。それとアーヤも一緒にいいですか?」
「我もか?」
「一緒の仲間なんだし。一人より二人いた方がいいから」
「エスタ殿よいのか?我は鬼族だぞ」
「確かに。でもジャン君の仲間なら皆信用するでしょう。私の責任であなたも
一緒に任命しよう」
「わかった。よろしく頼むエスタ殿、そしてジャン」
「うん。よろしく」
この事をエスタはエルザに話、それを喜んだ。アーヤと一緒にその日はエルザが
ごちそうを作った。リオンやフィリスも呼んで盛り上がった。
二日後、ジャンとアーヤは城に来ていた。そこで任命式をするみたいでこの前
使わせてもらった部屋に二人はいた。
「本当にすごいのこの国の城は」
「それはわかる。遠くからでも見えるぐらいだし、改めてこの部屋も広いって
思うよ。二人でも余裕だし」
そんな風に話していると誰がドアをノックして入って来た。それは姫のクリスだ。
それにアーヤは驚いた。国のお姫様が普通に入ってきたのだから。
「ジャン様。ようこそ」
「姫!ありがとうございます。体調は大丈夫ですか?」
「ええ。ありがとう。それでこちらの方がアーヤ様ですか?」
「我を知っておるのか?」
「ええ。ジャン様と一緒に任命される方ですから。式には私もいますので」
「そうか。なんか思った以上にすごい事になったの」
「本当だな。だからその期待に応えないと」
それから数時間後、王の間に呼ばれる二人。扉を開けるとそこには左右の列に騎士団の
隊長達が並びその後ろに部下達がいた。
本当に想像以上の式になっていた。二人は前に進み王と王妃の前で跪く。この国の
王エバンス王の話を聞き、王妃のモーラから激励の言葉をもらった。もちろん姫の
クリスからも。
そうしてエスタから自分の部下の証であるリングを受け取った。こうしてジャンと
アーヤは国の正式な部隊、警察という部隊に所属する事になった。
式の後は食堂の様な所で食事会をして他の隊長達とも交流をした。この日は
城に泊まる事にした。前回は泊まれなかったので今回は泊まって行こうと決めた。
さすがにアーヤと一緒はあれなので一人ずつの部屋になった。ジャンは
ゆっくりしてアーヤは教えてもらった風呂場に向かった。
そこはやはり広くアーヤはすぐに服を脱ぎ捨て飛び込もうとしたがそれを止めた
者がいた。それはエスタだった。
他にも先にいた人達もいたりエスタと一緒にやってきた女性隊員たちが
アーヤと一緒に入って話を聞く感じになった。
アーヤがエスタ達とお風呂に入ってる頃、ジャンは部屋のバルコニーにいた。すると
そこに空から箒に乗ってやってきた人がいた。
それはエスタと同じ隊長で第2部隊長の女性隊長、ソシエルだった。