コーリア騎士団第3部隊長エスタ
朝。大介、ジャンは目を覚ました。体を起こしカーテンを開ける。そこは昨日見た世界と
同じだった。もしかしたらと思ったが夢ではなかった。
部屋にある机に座り紙に書きだした。ジャンは日記をつけることにしたのだ。この
異世界での出来事を一日も忘れない様に日記を書いてそれを帰れる時に持ち帰って
土産話にしようと思った。
今まではスマホやPCに事件の事や遊びの事を書いていたがここにはそれらの機械は
ないので書いていくようした。
その間にエルザに呼ばれ一階のリビングで二人で食事をする。リオンとフィリスは
泊りではないので時間になったらやってくる。
「ありがとう片付けもしてくれて」
「いえ、前の所では習慣だったので。エルザさんは休んでていいですよ。これまで
一人でやってたんでしょ」
「そうね。でも私も習慣だから。二人でやった方が速いしね」
「わかりました」
片付けを終えて店の支度をしているとリオン達がやってきた。午前中は暇なのでジャンは
この街を見て回ることにした。
ドアを開けるとそこはゲームの様な世界だった。服装に武器や防具、それにエルザから
聞いた亜人もいる。ここは大都市なので色んな種族がいるらしい。
ジャンは一応この世界での服を着ている。エルザからもらったので怪しまれずに
すんでいた。そうして歩いているとどこかの店の前がざわついていた。
そこはあの有名なギルドがあった。どうやらその中で騒ぎがあるらしい。中を
覗いてみるとそこには冒険者の様な姿をした男女が剣を向き合わせていた。
「この私に気安く話しかけるなんていい度胸ですね」
「そんな性格なら話しかけなかったぜ」
「無礼な。それだけで万死に値します。私自ら粛清してあげますわ」
「やれるものならやってみろ。女に負ける程のレベルじゃないぞ」
「面白いですね。私はAランクと知っての事ですわね。せいぜい後悔しないよう」
女騎士っぽい方が構えてすぐに男に向かった。誰も止めなかったがそれを見ていた
ジャンがその間に入っていってしまった。
「!?」
ジャンは元の世界から持っていた銃で剣を防いだ。ジャンは警察になる為に鍛えて
いた。それもあって今の事ができた。
が、その光景にその場にいた全員が驚き辺りが静寂に包まれていた。その静寂を
破ったのは女騎士だった。
「あなたどこから?それに私の剣を!?」
「す、すまない。揉め事には首を突っ込みたくなるんでね。これでも警察だから」
「警察?まさか他国の騎士団!?そんな報告は受けてませんが」
「そ、そんなじゃない。俺はジャスティン。ここには来たばかりで今はエルザの宿で
働いてる一市民だ」
「エルザの?それも聞いてないわね。まぁいいわ。そこのあなた。彼に感謝する
事ね。彼が止めなければ大けがをしていたところよ」
「そんな事はない。お前も余計なことをしてくれてな。覚えてろ」
「俺は何もしてないが。まぁおさまったならいいか」
騒ぎがおさまり、野次馬も消え、店の中もスタッフや冒険者たちが片付けをする。ジャンも
一緒になって片付け落ち着きが戻った。
そこにさっきの女騎士と違う女性が話しかけてきた。
「あのありがとうございました」
「いや、警察なら当然の事をしただけです」
「そのけいさつ?とはなんだ?騎士団や自警団ではないのか?」
「まぁ同じようなもんです。俺が勝手につけた名前なんで」
「それでジャスティンとか言ったな」
「ジャンでいいですよ」
「ではジャン。お前は何ランクだ?私の剣を防いだのだ同じAランクでなければ
説明がつかんぞ」
「えっと、その前にあなたは?」
「私を知らないのか?」
「あの、ジャンさん。彼女はこのコーリア帝国を守るコーリア騎士団の第3部隊長の
エスタ様です。このギルドの管理も任されており、騎士団の兵士さん達を鍛え上げ
ているのもエスタ様です」
「そうですか。どうりで強いわけだ。でも揉め事はダメです。周りに迷惑が
かかりますからね。上に立つ人ならなおさら」
「面白いなお前。私に説教をするとは」
「説教なんて。俺は正しいと思ってる事言ってるだけです」
「それが面白い。誰も私や上に奴にはそんな事言えないからな。それでお前はエルザの
所にいると言ったな」
「はい。街の前で倒れてた俺を拾ってくれて働かせてもらってます」
「倒れてた?本当に興味ぶかいな。では失礼する」
そう言ってエスタは店を出た。騎士の様な格好だが長い金髪に豊満な胸をしてるが
スタイルが良くいなくなった後でも香る彼女の匂い。ジャンは見えなくなるまで
彼女を見ていた。
その後エスタの事やこのギルドの事を教えてもらうために一緒にいたここの受付嬢を
している女性アキに色々話を聞いた。
異世界の定番であるギルドがあり冒険者のランクがありとずっと話を聞いていたい
ジャンだったがすでに昼を過ぎていたのでしかたなく宿に戻る事にした。
それから夜まで働き、ギルドで起こったことをエルザに話したりした。エスタは
この宿がある第3区を任されているのでお店をしている者達は彼女によって
守られていた。このコーリア帝国は広く街事を区でわけている。
第一から十まであり入口もたくさんある。
そんな街を守るのが国の騎士団だ。第10部隊までありその騎士団に居る者はもちろん
冒険者達にはランクがあった。ランクはⅮが最低で最高がSだが、それは一部の者だけ
だという。
そう言った情報もジャンはメモしていき、この世界の知識を学ぼうとしていた。そんな
風に勉強をしているとふと元の世界の事を思い出してしまった。
「そういえば、元の世界はどうなったんだろうな。一人ぐらい行方不明になるのは
よくあるが、その不明になったのが警察官じゃ大騒ぎだろうな。俺もまだ警察と
してやっていきたかったし。早く情報を集める為にはあの人にも協力してもらうか」
そのあの人に協力を求める為にジャンは翌日ギルドに向かった。