悪巧み
2月14日バレンタイン、此の日だけは此の道を通ってはいけないと街の人間なら誰でも知っている。
何故ならバレンタインの時だけだけど悪い事を考える奴らが屯しているからなんだ。
例えば、道を歩いている時に可愛らしい女の子がチョコレートまぁだいたいチロルチョコなんだけどねを、「お兄さんあげる」とか「どうぞ」とかと言って差し出して来ても絶対に受け取ってはイケナイ。
受け取るとその先にいる男たちにチョコレートの代金を請求されるから。
だいたいチロルチョコの正規の値段の千倍以上の金を取られるだろうね。
そういう輩だけでは無いよ。
女の子に貰ったチョコレートを強奪する目的でモテナイ男たちも多数群れていたりもする。
まぁ僕の目的はそういう男たちなんだけどね。
兄に此れ捨ててこいって言われた、兄が学校や通学途中に渡された袋にギッチリと詰まったチョコレートを男たちに渡すのが目的なんだ。
モテ無い僕には分からない事だけど、渡されたチョコレートのうち手作りのチョコレートはヤバいんだって。
兄に手作りチョコレートを渡す女たちがチョコレートに何を入れてるか分かったもんじゃ無いんだって。
そんな事を考えながら道を歩いていたらモテなさそうな顔の男たちに取り囲まれた。
「その袋の中身チョコレートか? 痛い目に合いたくなかったら置いていけ!」
って言われたから、袋を放り出すようにしてその場から遁走する。
数十メートル程走ってから振り向いたら、男たちが袋に群がり袋の中身のチョコレートを食い散らかしていた。
暫く様子をみる。
アハハハ、やっぱりだ、チョコレートに何か変な物が入っていたらしく腹を押さえてのたうち回るのは良い方で、中には血反吐を吐いて倒れ伏している奴らもいた。
毎年僕が此処にチョコレートを捨てに来るのは此れが見たいからなんだよ、アハハハ。