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僻み
私は部下たちに指示する。
「買え! 買い尽くせ! 高くても良い、金に物を言わせて買い尽くすんだぁー!」
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公園の片隅で女の子が夜景を見ながら流れ落ちる涙を拭っていた。
それを見て私は声をかける。
「どうしたの?」
女の子は私に警戒の目を向けたが訳を話してくれた。
「今日はバレンタインなのに、チョコレートの値段が高すぎて憧れの先輩にチョコレートを渡す事が出来なかったの」
「そう言えばテレビや新聞で、誰かがカカオを買い占めたと言っていたな。
可哀想に」
『なーんてな、世界中のカカオを買い占めたのは私なんだよ。
バレンタインなんて無くなってしまえは良いんだー!』