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隠れ蓑
私の足音に気が付いて、階段の前に佇んでいた17〜8歳の高校生か大学生くらいの女の子が振り向いた。
女の子は私の背後を見て小さく頷き、チョコレートの小さな箱を私に差し出す。
「オジサンさんあげる」
「ありがとう」
私は礼を言って小箱を受け取り、階段を降り駐車場に止めてある車に戻る。
運転席に座りエンジンを掛ける前にチョコレートの小さな箱に入っていた、女の子から貰うチョコレートなんかよりも、もっともっと気分が良くなる白い粉が入った小さな袋を取り出した。
しかし密売人も色々と考えるものだな。