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チョコレートを貰えなくなった理由
俺が通っている高校は今の時代には珍しい男子高。
通学も徒歩圏内って事もあって女の子と出会える機会は殆ど皆無。
だから当然バレンタインの今日、女の子からチョコレートを貰うことも無い。
それでも俺はブラコンの妹からチョコレートを貰えるからまだマシなんだと思ってる。
部活の後輩と「今年もチョコレート貰えなかったな」なんて事を愚痴りながらの帰り道、帰り道の途中にある公園のブランコに妹が腰掛けているのが見えた。
妹は俺の姿を見つけブランコから下りて駆け寄って来る。
駆け寄って来た妹は俺の数メートル手前で急に立ち止まると、俺の隣に立つ後輩の顔を見ながら顔を赤らめた。
そして胸に抱いていたチョコレートを「受け取ってください」と言いながら後輩に差し出す。
差し出されたチョコレートを妹と同じように顔を赤らめた後輩が受け取る。
それが俺がチョコレートを貰えなくなった理由だった。