バナナが死因の死体
私は刑事であり、数多くの事件を担当してきたが、今回の事件は私を本当に恐怖させた。事件は、ある夜のことだった。
警察署に持ち込まれたのは、バナナを食べた男性の死体だった。検死の結果、死因はアナフィラキシーショックと判明した。ただ、この男性は普段からバナナを食べていたということで、一体何が原因でアナフィラキシーショックを起こしたのか、この事件は謎に包まれていた。
「バナナ食って死ぬなんて、また難儀な死因もあったもんですねェ。」
ガラスに囲まれた喫煙室で、ぷかぷかと煙草を吹かす隣のコイツは私の同僚の西田だ。
寿命が減るだけだから煙草なんてやめておけ、と何度も言っているのだがどうしても聞かない。
ついこの前、コイツに付き合って煙草を吸ってから私も喫煙にハマってしまった。
吸いすぎで火の消えた煙草を灰皿に押しつけ、西田を連れて捜査に出た。
私たちは事件の真相を突き止めるため、現場付近の証言や監視カメラの映像を調べた。すると、ある男性が被害者の後をつけている様子が映っていた。男性は犯人と思われたが、その男性は事件当日に海外に旅行に出ており、犯行には関与していなかった。
ふりだしに戻ってしまった私たちは、被害者の生活を調べることにした。すると、被害者が最近まで働いていた果物店で、あるバナナが売られていたことがわかった。そのバナナは、珍しい品種で、風味が良く、多くの人々に人気があった。
私たちは果物店に調査に行き、そのバナナがどこから入荷されたのかを尋ねた。果物店の店員は、ある倉庫から入荷していると答えた。私たちはその倉庫を訪れたが、何も異常はなかった。
しかし、私たちが倉庫を出ようとしたとき、壁から何かが落ちてきた。私たちはその場でその物体を調べたが、それは腐ったバナナだった。そして、その倉庫には数百本の腐ったバナナが積まれていた。
私たちはそのバナナを解体して調べた。すると、中には異物が入っているものが何本も見つかった。その異物は、何と、毒物だった。私たちは調べた結果、その毒物が入っていたバナナを食べた人たちが、アナフィラキシーショックを起こし、死亡したことを知った。
私たちは、果物店の経営者を捜し出し、取り調べを行った。
結果。経営者は、倉庫に入荷してくるバナナを全くチェックしていなかったことを認めた。そして、その毒物が入っていたバナナを売りさばいていたことも白状した。
私たちは、経営者を逮捕し、事件を解決した。だが、私はこの事件から、食べ物にも命を奪われる可能性があるということを痛感した。食べ物は私たちの身体に入り、栄養を与えてくれるものだが、その逆に、毒物が混入されることもあるのだ。
「ただの腐ったバナナだけじゃなく毒入りバナナだとは……こりゃァ暫くバナナなんか食えそうにないっすね」
そう言ってライターを取り出し煙草をふかし始めた西田は、軽く喉で笑った。
「あぁ、そうだな…それに、この経営者だけじゃなく毒入りバナナを売り捌いてる奴もとっ捕まえなくてはな。」
「これから、また仕事増えそうだ。」
事件が終結してから、私は夜な夜なその腐ったバナナが落ちてきた倉庫のことを思い出すことがある。私たちは、その倉庫からバナナを回収したはずだが、果たして本当に回収し切ったのだろうか。それとも、まだ何本か残っているのだろうか。そこら中で毒入りバナナを売り捌いてる奴は?私は、それが心配である。