はるか雲の上にいるあなたへの詩
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君がため 惜しからざりし 生なれど
渡らぬ約束 黄泉つ平坂
解説
わたしがいつか作ろうと思っている小説の中の一場面を描写した短歌です。
『君がため』は君に逢うためならば、という意味です。
後拾遺和歌集に収録されていて、百人一首にも選ばれている(50番です)藤原義孝さんの『君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな』を踏まえて詠ませていただきました。
藤原義孝さんは恋愛が成就して、恋がいつまでもつづきますようにと願っている詩ですが、こちらは惜しくはないけど黄泉つ平坂をまだ渡らない。つまり、まだ死なないと約束したので会いに行くことができないということを詠いました。
『黄泉つ平坂』とはわたしたちがいる現世と冥界の間にあるとされる坂のことで、この詩では死ぬことを示しています。
また、命ではなく生|(人生)とすることで本当に持てるもの全てをなげうっても、約束(小説の中で残される人に対して亡くなる主人公がわたしの分も生きてからこっちに来てね。と言います)を果たさない限り会うことができないことを示しました。