まんが日本よとぎばなし『裏島太郎 vs ビックン法師』
「あー、あー」
竜宮城で濃厚なサービスを受けすぎて、裏島太郎は廃人になっていた。
「あー…、あー……」
亀は彼を元の砂浜に送り届けると、何も言わずにすぐ帰って行った。
「あ〜……。あは〜……」
ふと腰に下げている玉手箱に気がついた。乙姫さまはこれを渡してくれる時、「決して開けてはいけません」と言っていた、とっても開けてほしそうな顔で。
意地悪そうに目を細め、口元のニヤニヤしていた乙姫さまの顔を思い出しながら、裏島太郎はそれを開けた。
ぼわんっ。
「あぶなーいっ!」
横からとても小さい人が突き飛ばして助けようとして来たが、あまりにも小さかったので裏島太郎はびくともせずに白いけむりを浴びた。
「あっ」
裏島太郎は正気に戻った。
「これは……賢者モードだ」
「老人になっちゃっただけだよう」
裏島の着物の袖にくっついたとても小さい人が言った。
しかしノミの鳴くような声だったので裏島は気がつかなかった。
「僕と勝負しろ!」
仕方なくとても小さい人は、裏島の耳の中に入って行って、言った。
しかし裏島は歳をとって耳が遠くなっていた上にモスキート音は聞き取れなかった。
「我が名はビックン法師だ! 勝負しろ!」
ビックン法師は腰をビックンビックンさせながら、さらなる大声で言った。
しかしやはりモスキート音は裏島には聞こえていなかった。
仕方なくビックン法師は裏島の耳穴の中深くへ潜って行った。
「ぼく、ビックン法師。今、あなたの耳の中にいるの」
「あっ」
裏島はそれを感じた。
「虫が耳ん中入りよった」
ちょうど熊と一緒にそこへ通りかかった18禁太郎が言った。
「どれどれ僕が取ってやろう。ぐへへへへ」
18禁太郎は裏島の耳穴の中を覗き込んだ。何も見えなかったので、細い舌をアリクイのように出し、長く伸ばして差し入れた。
「あっ」
裏島が悶えた。
「そこは……だめ」
「いいじゃないかよう。減るもんじゃなし」
18禁太郎は長い舌で耳の中をほじくりながら、
「べちょべちょにしてやんよ」
目を充血させた。
熊はその間、川で洗濯をする桃尻太郎を見つけ、後ろから襲いかかっていた。
昔の空は青く、とてもよく晴れていた。
おしまい