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7、対面しました

ざわざわざわーーー


人多過ぎじゃない?

私達は、人混みから少し離れたテーブルに腰掛けていた。


うむ、私1人帰ってもバレなさそうだわね。

…帰るか。


(いや、さすがにバレるからっ!)


だよねーー。



私達は今お披露目会に参加している最中だ。

そう、お揃いのドレスを着てね。


元気なランには淡い黄色のドレスがふわふわ揺れてよく似合っている。サラサラストレートいつみても羨ましいわね。


ランは黙ってたら本当に可愛いと思う。これを言うと自動的に自分を褒めてるみたいで嫌だがしょうがない。

だが、今日はドレスのおかげもあってどこからどう見てもお淑やかな侯爵令嬢に見えている。


そう、だから、口に次から次へとお菓子を運ぶのを一度辞めなさいよ。


私はそっとティーカップに口に運ぶ。

さすがは王宮ね。紅茶いっぱいがこんなに美味しいなんて。


(ねぇ、王子様達どこなのかなー)


興味がないわね。

私気づいたんだけど老け専?ってやつなのかもしれないわ。


(フケセン…?)


なんていうんだろ、前世の時も同い年の人に恋した事なかったし。

でも唯一、ヴァイオリンの大会に来る審査員長の横井さんは60歳くらいだったけど喋ると落ち着いたんだよね。


(ヨコイサン?うう〜ん、リン。それは流石に勘違いじゃーー)


「こんにちわ、お邪魔してもいいかな?」



突如として現れたのはこの国の王子様達だ。

第一王子 ルイ・カラーナイト様

第二王子 カイージ・カラーナイト様

ルイ様が私たちと同じ5歳で、カイージ様が一つ下の4歳。


なんで?

なんで私達のところに来たのこの2人。

おっと、いけない挨拶挨拶。

ラン!ランってば!

もうっーー!


未だにお菓子に夢中になっているランに念力では気付かされないと思い私はテーブルの下でグッとランの足を踏みつけた。


不覚。

ガタッと少しテーブルが揺れてしまった。

バレていないだろうか。


私はチラッと王子達を見たがお二人とも綺麗に微笑んだままのようだ。…セーフみたいね。


(っっーー!いったいなぁ!なによ!)


やっとこっちを見たかバカラン。

ほら、横見て王子達がいるのよ。姉はギリギリあんたなんだから先に挨拶しないと私まで挨拶できないの。


(あーー、なるほどね。おーけ!任せてっ!)


「お初にお目にかかります、私はブルーノ侯爵家が長女、ランディアと申します。横にいるのが妹のリンディアでございます。」


ランが立ち上がって淑女の礼をしたのに続いて、私も続いた。


楽だわ〜。

毎度ランが私のことまでちゃんと自己紹介してくれるから私は淑女の礼を取るだけでいいんだよね。

それに今回は王子達と仲良くなるつもりもないから話さずに済むならそのほうがいい。


「お二人とも顔を上げて。私はルイ・カラーナイトです。よろしく」


しません。

よろしくなんてしーまーせーんー。


「僕はカイーザ・カラーナイト!2人ともとーーってもきれい!キラキラしてるっ」


どーも。


「ありがとうございます」


ランディアが微笑み返す。

…猫かぶるのうまいな。


「そうだね、まるで妖精のように輝いてるから話しかけるのに一瞬戸惑ってしまったよ」


嘘つけ。

私この顔知ってる。

笑顔張り付けただけの顔。ま、王子様って色々大変そうだしね。

…可愛そう。前の私みたいだわ。


ま、だからと言ってこれ以上関わるつもりはないんだけどね。


私はランのドレスをちょいちょいと引っ張る。


帰ろ?


(うーーん、ま、王子様達に挨拶したし任務は完了したもんねぇ。じゃ、もういっか!お腹いっぱいだし)


最後のが本音だろ。食べ過ぎて眠たいだけだろっ。


「ふふふっ、お褒め頂き光栄ですわ。あらっ、リン大丈夫?あなた体調が悪そうね…申し訳ありません。妹の体調がよろしくないようなのでここでお暇させていただきます。ご機嫌よう」


姉は少しわざとらしく私を心配する仕草を見せた後ツラツラツラーっと言葉を並べた。

そして私と姉が仲良く会場を後にした。


王子様達はポカンとしたまま置き去りにしてしまったけど。

しかたないよね?

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