6、ドレスの色
「ねぇ、あなた!この子達のドレスなんですけど、色違いにしたらどうかしら?とーっても可愛いと思わない?」
色違い…え、なんで私がランとそんなイタイカップルみたいなことしないといけないわけ。
「お母様、私はーーーー」
「さんせーーーいですーーー!」
おいこら。
人の言葉をボリュームと勢いで遮るな。
(こーゆー、お揃いってのに憧れてたのよねっ!それに私とリンは何着ても似合うから心配しないでっ)
心配だよ。
色違いなんか着てたら私までバカだと思われるじゃない。ただでさえ見た目が同じですぐ双子だってわかるのに。
目立つ事はしたくない。
(…それはむりじゃね?)
無理じゃないっ。
(リン…私達の可愛さ舐めたらいけないわ。お父様とお母様、屋敷の者達もけっこう顔が整ってるからと言って、基準ではないのだよ)
…この世界ってみんな美男美女じゃないの?
(ま、基本ね?でも、私達はその中でもトップクラスよ!だから、リンディアを選んだんだもんっ)
それでか。
顔だけみて選んだから、悪役だったとかほんと笑えないわ。
バカじゃないの⁈
「それはいい!2人とも好きな色はあるかい?」
もう話進んじゃってるよ。
ランと念力で話している間にもう決定で話進んでたよ…はぁ。
せめて地味な色にしよう。
「ランはねぇ、お母様の髪の色と同じ色のドレスにしますっ」
「まぁ!!」
やりやがったな。
「ランもお母様とお揃い欲しいのです。ランもリンも髪の色も瞳の色もお父様なのでお母様の色欲しいですっ」
お母様がウルウルしてる横で違う意味でウルウルしてるお父様が目に入らないの?
「くっ。で、では…リンはお父様と同じ色のドレスを着ようかっっっ!!!」
圧がすごいなお父様。
「お父様のお色既にあるからもういらないよね、リン?」
コテンと首を傾げるラン。
まー、そうなんだけどね。そうなんだけどさ。
いらないって言葉の攻撃力はお父様に強過ぎたんじゃないかな。
「では、リンはお母様の瞳と同じ黄緑色のドレスはどうかしら!」
お母様、お父様のこと無視ですか。
嬉しいのは分かりますけど、横のお父様もう口開けてピクピクしてますよ。
でも考えてみると濃い色のドレスは目立つんだよね。
お父様と同じ色となると、銀色のドレスか青色のドレス。濃い色じゃない銀色を選ぶにしても、銀色て。
あかん。
どこの目立ちたがりやって色のドレスだ。
よし…ここはやっぱり。
「で、ではそれで…」
私の言葉がお父様への最後のダメージとなり、お父様はそのまま床に手をつきへたり込んだのであった。