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4、聞いてない

(そーいえばもうすぐだねぇ)


???

いや、何が。


久々に念力飛ばしてきたかと思えば、主語もないわ突然だわで。春ですねぇ…的な何かなのか。

 って言うか、食事にどうしても言いたかったことなのか?


(まぁまぁ、私に任せてよ!なんて言ったってランは神様だしっ)


元ね。

元神様。


怖い。どうしよう。

ランの奴いつか、人前で私は神様だーー!とか言い出しそう。

父と母、屋敷の者達は3秒止まってデレ〜っと「そうだねー、でも、どっちかっていうとうちの子の可愛さは天使と例えるのが無難かなぁ」とか意味わからない返しで終わりそうだけど。


いや、それもそれでやばいか…。

ってそうじゃなくて!!

あれ?何を私は悩んでいたんだ?



「そうだわ!来月の王子達のお披露目会の事もあるし、そろそろマナーの講師を付けようかと思うの」


お披露目会?


「あぁ、そうだね…くっ」


「あなた?」


話の途中でお父様が何やら苦い顔をしているみたい。


(わかるわ、私もこのピーマンという野菜。コイツとだけは分かり合える日が来るとは到底思えないもの)


と同じく苦い顔をするラン。


うん、黙ってて。


(ひっ、ひど!はっっ。さてはメイド達に媚を売って自分だけピーマン抜いてもらったのね卑怯者っ)


よく言えたな。

私は知っているぞ。


毎日厨房に行っては、「ランねぇ、ピーマンきらいきりゃいなのぉ」と涙いっぱい浮かべ料理人達を困らせていら事を。

私はその度に、ランが去った後に、「ランのことはきにせずに、おりょーりしてくだしゃいませ」って頭下げてるんだからな。


ていうか、誰が卑怯者だよ。私は別にピーマン嫌いじゃないし。


そもそも前世の両親のおかげで、好き嫌いって言う概念があんまり無いのよね。

だって、お母さんの指示通りに動いてただけって感じだし…おっと、話がずれた。


「うちの天使達を他の奴らの目に触れさせなきゃいけないなんてっっ」


おっと?

私も天使になってるぞ。


そんな父に母は優しく微笑む。


「あなた、これは避けられない運命なの」


運命。なんか重い話に聞こえるけど、パーティーに参加するだけだよね?え。パーティーと書いて、戦と読む的な感じなの?


(いえ、ある意味戦が始まると言っても過言じゃないわね)


あなたまだピーマンと戦ってるの?いい加減にしなーー


(ちょっと!私がいつまでもピーマンの話するような子に見えるって言うの⁈)


ええ。


(〜〜っ!もう!だから、お披露目会のはなしっ!)


ほう。

その感じは、あなた何か知っているの?


(ぷっくく。逆に知らないの?)


ニタ〜ときみが悪い笑顔を浮かべるラン。


知らんがな。


(まぁ、そーだよね。花梨の時はゲームする暇なんてなかっただろうし)


げーむ?


(そう!この世界は前世で流行ってた“きみが世界の中心だマイハニー”ってゲームの世界なのよ。そして来月に控えてるお披露目会でやっとこさ話が進み始めるってわけ)


…。


(あ、って言ってもね!ゲームの世界であってゲームの世界じゃないって言うか…リセットややり直しボタンがあるわけじゃないしここで生きる人や私たちにとっては現実世界であってーー)


待って。


(??どうしたの?)


ドウシタノチャウ。


…聞いてないってぇぇぇぇ!

は?なにその“きみが世界の中心だマイハニー”て。だっさぁ。

何当然かのようにペラペラ話し出してるのよ。

いくら前世でこう言う、乙女ゲーム?やってないとは言え、話には聞いたことぐらいあるわよ。


でも、あなたがそんなに自信満々に大丈夫って言うぐらいなんだから、私達はモブか何かなのよね?


(え?けっこうメインどころだよ?ヒロインをいじめたりとかするサポートキャラ?ってやつ)


それメインって言わないから。世に言う悪役令嬢って奴なんじゃないの。

え、今世でも私虚しく死ぬの?


(だから私がいるんじゃないっ!本当はブルーノ家にはリンディア1人しか子供がいないところ、私が割り込んじゃったから⭐︎もう、そもそもゲームがバグってる状態なわけよ!)


てへっとウインクするラン。


なるほど。そう言う事なのね。


「〜と言う事になるからよろしくね、ラン、リン」


「あーーいっ!」「…あい」


ランに続けてお母様に返事をする私。

ん?…あれ、お母様の話聞いてなかった。


はぁ。

一気にいろんな情報が入ってきたせいでもう頭の容量パンパン。

なんか食事の味もしなくなったような…。


ふぅとため息まじりにピーマンを口に運ぶリンディアをメイド達は「リンディアお嬢様も本当はピーマンお嫌いだったのね!!なのに、ランディアお嬢様と共に頑張ってらっしゃるのだわ」と感激していた事に気づかないリンディアであった。

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