3、5歳になったにゃ
生まれてから、5年。
長かった。
すーーーっごく長かったわ。
生まれてすぐの赤ちゃんの時期って父と母にされるがままにぼーーっと過ごすのだろうと考えていた私は甘かった。
そりゃそうよね。横にはぴったりと元神様、ランディアがひたすら念力で話しかけるわくっついて来るわで。
最初は鬱陶しくて屋敷の中をハイハイで逃げ回ってたけどランディアの奴、上手いことお母様を使うのよね。
私がいなくなると大声で泣いて知らせてお母様を召喚すると言う技を習得。
お母様は、「あらあら、ランはリンがいなくて寂しかったのね」うふふと私を捕まえ、ランディアの横に戻す。
あ、ちなみにお母様はステフ・ブルーノというお方。黄緑色の瞳にハニーブランドの癖毛でクルクルしているとても美しい人。
お父様は、ガイ・ブルーノとおっしゃり青い瞳に、サラサラの銀髪。こちらも大変イケオジでございます。
我がブルーノ家は侯爵家であり、代々青い瞳を受け継いでいる。
そんなわけで、私もランディアも青い瞳に銀髪。違うのは、髪質だけ。私はお母様と同じクルクルのくせっ毛だがランディアはサラサラストレートだ。
父と母は、私たちのことを愛称で、リンとランと呼ぶ。だから、私たちもお互いそう呼び合っている。
タタタタっと走ってきたランは木陰で座っていた私の元まで走ってきた。
「リーーーンっ!みーてーー!ねこにゃらしー!」
が、どうした。
あと、ねこにゃらしじゃなくて、猫じゃらしね。
まー、5歳の私たちは滑舌が甘くなるのは仕方ないことだが、ねこにゃらしはもはや可愛さ狙っただろう。
私は読んでいた本から目線だけをランに移す。
「これつかって、あそぶゅっ」
猫もいないのに?
猫もいないのに猫じゃらしで遊ぼうって?
それともなに、私に猫になれってことなの?
「ほ〜〜れ、ほらほらっ」
そう言ってランは私の目の前でゆらゆら持っている空を揺らす。
後者かよ。
しーーーーん。
どれくらいたっだろうか。
腕一個分の距離にいたランは、もはやもう顔スレスレの距離で猫じゃらしを振っている。
さわっ。
痒い。
鼻に当たると痒いわね。
「……にゃぁ」
これ以上続くのも鬱陶しいので私は小さく呟く。
とたんに満面の笑みになるラン。
「かーーちゃま!リンがリンがにゃあって言ってりゅ!ぷくくくくっ」
性格わっっっる。
あんただからね?あんたが言わせたんだよ、半強制的に。
私たちの安全のためにと、近くにある椅子に座っていたお母様は紅茶のカップを置いて何やら近づいてきた。
「ラン、お母様にもそれ貸して貰えるかしら?」
お母様は、うふふと蘭に声をかける。
ま、ままさか。
「いーにょーーー!」
ランはえへっと持っていた猫じゃらしをお母様に差し出す。
この後、お母様が優しい声で「リーン?」と呼びながら猫じゃらしを揺らしたのは言うまでもない。