1 生まれ変わりました
「いやいやいやっ、可哀想かよっ!」
誰かの声が響く。
どちら様かな、やっと窮屈な人生から解放されて自由になったとこに水を差す奴はー。
ゴシゴシと目を擦ってもボヤはとれない。
ふむ、ここ自体に霧?のようなものが発生している…っていうか、あたり一体真っ白なのですが!!!
「だいじょーぶよ!私がいるっっっ」
いや、誰?
「あ、私神様!」
…こわいこわいこわい。
自分のこと神様とか言ってるよさすがにやばいって。
「もーー、花梨ったらひどい!花梨があまりにも報われない人生歩んでたから私自ら出てきてあげたっていうのにさ」
頼んでないす。
…あれ?っていうかさっきから私口に出してないのに会話してないかこれ。
「ま、ここは私の領域だから相手の考えてることなんて余裕でわかっちゃうわよね」
いや知らんがな。
「ぶっふふ。相変わらずドライね〜…ねぇ、花梨本題なんだけどさ。私もっと花梨に幸せな人生歩んで欲しいって思うの」
はぁ。
「だからね、花梨を異世界に転生させる事にしましたっっっ」
ご遠慮します。
「いや、ご遠慮しないでよ!!」
元気だな神様。
「ま、気楽に第二の人生楽しんでよ。ほれ!いってらっさーーいっ」
ポンと肩に手を置かれた。
ーーーーーと思ったらそのまんま下に急降下し出した。
えっ、ちょっなにこれぇぇぇ!!!!
ていうか、何にも説明せずに「いってらっさい」はないって!
「だいじょーぶだいじょーぶ、人生当たって砕けろっいうじゃない?」
いや、人生は当たって砕けたらダメじゃない?
それを物事当たって砕けろじゃーって、違う違うそんなことどうでもいいから助けてーーーーー。
上の方に浮かんでいる私を落とした張本人である自称神様に私は助けてと腕を伸ばす。
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「あぅぅぅっっあ!!!」
パチッと目が覚めた。
「あらぁ、目が覚めたの?おはようリンディア」
リンディア?
って言うか私を覗き込んでいる?この聖女かってくらい嫌いな人は。
「たーーいっ」
パシッ。
ーーーーっいったっ!
え、なんか殴られたんですけど。
私は殴られた先に顔を向けた。
赤ちゃんだ。
私の横にあかちゃんがいる。
(目が覚めた?)
頭の中に響く声。
…この声って、さっきまでいた白い世界の変な神様?え、どこにいるの?
私はキョロキョロとあたりを見渡す。
(ここ、ここっ!)
パシッと再び飛んでくる腕。
ねぇ、それ攻撃力結構あるってわかっててやってます?
ジロリと再び赤ちゃんに目をやる。
「たぅあーーーーーいっ!!!」
(目の前にいるじゃない。この愛らしい赤ちゃんこそ私よ!)
まじかよ。
赤ちゃんになってるじゃん。たしかにめちゃ可愛いけど、どうしたの?
(私だけじゃないわよ?あなたも私と同じ赤ちゃんだもん。)
おぎゃあ。まじですか。