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15 そんなお心遣いはいらん

「いえ…あの日の殿下の立ち振る舞いが(前世の私と同じで)周りのいいように動いている人形だと思ったのです。それで…その、たぶん無意識に失礼な表情をしてしまったのだと思います。すみませんでした」


私は回りくどく伝える術を持ち合わせていないのでストレートにありのままを話した。

だけど、怖くて顔を上げれずにいた。


ぎゅっとドレスの上に置いた拳に力が入る。


「へぇ…。それで同情のような可哀想な子を見るような顔していたってわけか」


ルイ王太子殿下は「ふむ」と考える仕草をしたあと、ニヤリと顔を上げた。


「つまりだ。僕の演技も、まだまだだったってわけだ」


私は恐る恐る顔を上げた。



???


それだけ?

いや、もっとあるでしょ。

無礼者ーー!とか馬鹿にしやがってとかさ。


「あぁ、別に怒ってはないんだよ。初見で猫被りが見破られてるとは思わなくてね。でも君のいう通りさ。子供のうちはあんまり目立ちたくないし、笑顔でニコニコしておけば周りは何も言わないからね」


私の視線に気づいたのかルイ王太子殿下は説明を付け足して、首を傾向けてウインクをした。


ウインクはいらん。


「猫ーー?兄上はいつの間に猫を飼っていたのですか!僕も見たいです、欲しいですっ!」


カイージ王子が大きな声で訴えたかと思うと、ゆさゆさとルイ王太子殿下の腕を揺らす。


「心配ない。カイは既に大きな猫を僕とは違って、無意識に飼っているみたいだからっ」


ルイ王太子殿下はいい笑顔で笑った。


うん、可哀想だよ。

そんなことないよ、カイージ王子。

あなたのは大きな猫ではなく才能だと思います、周りに愛されるね。


その才能がない私とかルイ王太子殿下は猫を被り、笑顔張り付けるしかないの。

私は現実逃避、ルイ王太子殿下は周りを黙らせて味方にするためにね。


ほら、カイージ王子すっごいハテナ顔しちゃってるじゃん。


「大丈夫よっ!私があなたにぴったりの猫を探してあげます」


なんの話だよ。

カイージ王子が話について来れないのは分かるよ。

ピュアッピュアだし、年下だし、生まれ変わりでもなんでもないからね。

でもランよ、あなたはしがみついてでも会話について来なさいよ。


見てみな?

ルイ王太子殿下が笑っちゃってるよ。


「そうだ、今月末にカイと海に視察に行く予定なんだけどリンディア嬢も一緒にどうかな?」


え。

どういうことかしら。


聞き間違いかしらね。

私だけ誘ったように聞こえたのだけれども。

ランは?

仲間外れにされて拗ねてるんじゃないのこれ。


私はチラッと横にいるランに目線をやった。


(感謝なら後でじっくり聞いてあげるっ)


……。

犯人はお前かよ。

え、どゆこと⁉︎


(前にルイ王太子殿下と話してる時に、リンと仲良くなるにはどうしたらいいのかなって言ってたから。リンってほら、前世でプールとか海に行ったことないじゃん?だから行ってみたいのかなって)


意味が違うじゃん。

その後半の説明がないと、ただただ私は男の人と海でデートするのに憧れてる乙女チックな女の子になるじゃん。

私が行きたいのは家族とだよ。

家族でお出かけに憧れてるのっ。


(そっち〜〜⁈)


そっちしかないじゃんっ!

前世の私のこと本当にちゃんと見てくれてたのか疑問になってきたよ元神様っ!!


(ええぇ、んじゃあ…どうすんのこれ?)


私はくるっと顔の向きを王子達に戻して頬に手を当て少し困り顔を作る。


「どうしましょう…ランったら自分が海に行ってみたいからって私の名前を使うなんて」


「別に私はーーー」


言わせねぇよ?


私はランが口を挟もうとしたのを目で制す。


「それで自分が仲間外れにされたから焦っているのね…。王太子殿下、私はまだ体調もあれですし、代わりにランを連れて行って下さいませんか?」


必殺、生贄の術。

ランよ、今回の大役(代役)もあなたに任せるわね。

というか自分で巻いたタネは自分で処理しなさい。


「あ、あぁ。そういう事なら仕方がないね。ランディア嬢も初めから素直に自分が行きたいと言ってくれればいいのに」


そう言ってルイ王太子殿下はニヨニヨ意地悪く笑った。


バレてるわね、ランが何かを企んでいて自分に跳ね返ってきたのかを。

いい性格をしてらっしゃるわ。

面白い方に乗っかるだなんてね。


「わ、わわわ私は別に海に行きたいなんて言ってないわよーーーーっ」


ランは自分が馬鹿にされているのが分かったのか、顔を真っ赤にし叫んだ。

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