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14、友達

ーーーーどうしてこうなったんだ。


私は今、我が家が誇る綺麗な庭のテラスでお茶をしている。

…そう4人でね。


私の横にはランが座っている。

私の向かいにはルイ・カラーナイト王太子殿下。

そしてランの向かいにはカイージ・カラーナイト王子。


なぜよ。

ただださえ会いたくない王族が2人もいるんですけど。


ジロっと横にいるランをみる。


(…さ、サプラ〜イズっ!)


いらないよっ、こんなサプライズ。


「ははっ、あんまりランディア嬢を責めないであげて下さい。僕がブルーノ家を訪れる日をリンディア嬢に秘密にしてってお願いしたんだ」


そう言って王太子殿下は首を少し首を傾けた。

何だその可愛さ狙ったポーズわ。

わざとでしょ。

ぜっっったいわざとよね。


「いえ…別に私は何も」


私は相変わらずの無表情でスンッと答える。


「でも、こうでもしないとリンディア嬢に会えないと思ってね…ほら、リンディア嬢は何故かお茶会を開くとお腹が痛くなってしまうみたいだからっ」


痛い痛い痛いっ!

おかーさーまー、お腹じゃなくて今日は心が痛いですーーーっ。

私今ものすごく精神的ダメージ与えられてますお母様ーー。

そう、目の前のいい性格している王太子殿下にぃ。


その時の王太子殿下の笑顔はいつも通りのはずだったけれど、私にはその笑顔が黒く見えた。


「…」


何も言て言い訳したらいいんだこれ。


ぎゅっと横にいたランが私に抱きついた。

…ラン。


「はいはい、私のリンをいじめないでくださいねー」


ランが助け舟を出してくれたみたいだ。

やるじゃないか姉よ。


「うぇっ!?兄上ダメだよいじめはっ」


あら、あなたも味方してくれるのねカイージ王子。

その調子です、お兄様やっつけちゃって下さい。

というかお2人で仲良く帰って下さい。


「いやいや、いじめてないよ。僕はただ知りたいだけなんだよ」


ルイ王太子殿下は先程までの放っていた緊張感ある空気が薄れ、まいったというような顔した。


それに話し方も表情もなんだが嘘っぽくないわね。

ランと友達になったって本当だったのね。


とは言え、知りたい…とは。

???

なんだ。


「…知りたい、ですか?一体何を知りたいのでしょうか?」


リンディアは恐る恐る質問を投げた。


「あ、リンディア嬢もランディア嬢みたいに気軽にしていいよ。僕堅苦しいの苦手なんだよね。気のおける者の前でまで猫かぶるのは正直しんどいし」


ルイ王太子殿下はそう言ってヘラッと笑ってみせ

た。

そして、横にいるカイージ王子の頭をポンポンッと撫でている…カイージ王子も嬉しそうに笑っている。



ーーーーーー。


なんだ。


なんだなんだかんだっ………。

私とは違う……違ったんだ。


この人は、ルイ王太子殿下はちゃんと自分がある。

前の私みたいにただ周りのいいように動いてる人形なんかじゃないんだ。


むしろ、それを逆手にとって周りを動かしていると言ったほうがいいのだろう。


そう思分かった同時に、何故私はそうできなかったんだろう。

この人みたいに器用に生きていれば、もっと楽に楽しく生きれたのかもしれないのに。


「……っ」


目の奥が熱くなってきている。

2度目だ。

こういうことは…こうやって気づき学ぶことは。


前世では誰もいなかった。

もっと力抜いていいと言って教えてくれる周りの人が。


…友達かぁ。

そうか、これが友達なのね。


「ふっふふふふっ!…ルイ王太子殿下。よろしければ、私もあなた様のお友達に立候補してもよろしいですか?」


リンディアは涙を片手で拭いながら、それはもう綺麗に笑った。

その蕾だった花がふわっと咲き乱れたような笑顔に、周りもつられて笑った。


「リンディア嬢…僕としてはね。もうすっかり友達気分だったからなんだが恥ずかしいね」


そう言って、少し恥ずかしそうにルイ王太子殿下は笑ってくれた。


「そうだよ!友達っていうのは自然になってる者だよっ」


えへんと胸を張るカイージ王子。


この流れ…カイージ王子までこんな私と友達になってくださったのかな。


(ね、友達っていいもんだよね!私も人間になって初めてできたけど、私もすごく心がね、温かいのっ)


ラン…ありがとう。


あなたがーーーーー



「ーーーで?そろそろ教えてくれる?初対面の時何故僕に向けた君の表情についてっ」


その和やかな空気をぶった斬ったのは紛れもないルイ王太子殿下だった。


今さ、私すごく感動してたんだけど!!!!

なんだこの空気の読めない自由人はっ!

ルイ王太子殿下と友達になったのって…早まったかな?

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